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『ガンダムビルドファイターズトライ』三人の主人公によるガンプラバトルを巡る物語表現について

『プリパラ』36話視聴完了。36話を見てまず思ったことは「諏訪部順一の使い方が上手いと言わざるをえない」ということだ。本作で諏訪部順一は赤井めが兄ぃというメガネをかけた青年を演じており、女子から「結婚して!」と叫ばれるほど高い人気を誇るイケメンなのだが、あんなポンコツな性格なイケメンキャラであるとは誰が予想しただろうか。ハロウィン回の「ガオー!」などは卑怯すぎる。もうハートマークでもついてそうな「ガオー!」を見せられたら反応に困る。極めつけは今週のメガネがプロジェクターになる辺りで、もう何がしたいのかよく分からない。ただ声だけはイケメンで、そのギャップで笑ってしまう。ずるい。
話としては「トモチケをパキろうとしたファルルはなぜ倒れたのか」と「ファルルを取り戻すためには」の説明回で、衝撃のラストを迎えた前話の展開の説明と来週をつなぎ合わせる溜めの回と言うところで、特筆すべきところは特にない。いやらぁらソロでのライブをこんな終盤にねじ込んできたのには驚かされたけれど。
残すところあと二話となってきたけれど、着地地点は明確なのにどうやってそこに持っていくのか非常に気になる展開に、ミーは今からもうドキドキしっぱなしクマよ!



サカイ・ミナト達が操るトライオン3を打ち破り、無事に決勝戦へと駒を進めたトライファイターズ。ヨーロッパ・ジュニア・チャンピオンであるルーカス・ネメシスの奇策と圧倒的完成度を誇るクロスボーンガンダムX1フルクロスに苦戦しながらも無事に大会七連覇に王手をかけたソレスタルスフィア。両役者が出揃い、『ガンダムビルドファイターズトライ』も完結へと向かいつつある。
2014年7月に制作が発表され、同年10月より放送を開始した本作だが、決勝戦前に改めてこの『ガンダムビルドファイターズトライ』と言う作品がどういう作品だったかを振り返って考えてみると、前作『ガンダムビルドファイターズ』の「正当な発展形」ではなかったかと思う。これは単純に一対一から三対三のチームバトルになったというわけではなく、前作で描いた部分を少し変え、描ききれなかった部分を膨らませたのが『ガンダムビルドファイターズトライ』と言う作品だ、と言う意味である。
その事は主人公達三人と三体の主人公機によく現れていると言えるだろう。
まずカミキ・セカイとビルドバーニングガンダム・トライバーニングガンダムに注目してみると、カミキ・セカイは前作の主人公の一人、レイジと大変良く似たキャラクターとして造形されている事が目につく。それは見た目だけの話ではなく、「素手での格闘戦を得意とする」といった戦闘スタイルや「セイからガンプラを託されるもの」「ガンプラバトルの初心者である」など物語上の立ち位置なども含めてだ。とりわけ戦闘スタイルについては作中でもセイ自身の言葉として言及されているからもよく分かることだが、ではセカイは前作で自分の世界へ戻ったレイジに置き換え可能な存在だろうか? 答えは違うといえるだろう。
確かにセカイはレイジと戦闘スタイルや全体の物語の中に背負わされている役割という点でも似ている。しかし『トライ』の中で描かれている事はレイジでは絶対に描けなかったことばかりだ。最新話となる23話の「トライバーニングを託されるに相応しいビルドファイターになる」というセカイの決意もその一つだろう。
セカイ達が戦っているのはまだ全国大会、それも中高生の部だ。三代目メイジン・カワグチやルーカスの台詞からも分かる通り、セカイ達にはこの全国大会が終わった後も戦うべき場所があるのだ。セカイは「ガンプラもガンプラバトルも、この全国大会の参加者の中で一番知らない自分」というものを恥じた上で「トライバーニングガンダムに相応しいビルドファイターになる」と言う決意を固めているが、これは「全国大会中高生の部」という「学生」を中心にしていたからこそ描ける決意だ。この世界の人間でもなく、そして学生でもないレイジではセカイのような決意は描けない。同年代のガンプラバトルが好きな人達と拳を交わしてきたセカイだからこそ、「トライバーニングに相応しいビルドファイターになる!」という決意が描けるのだ。
しかしそんなセカイの一方でコウサカ・ユウマはというと、彼にとってガンプラ選手権は「雪辱戦」としての側面が非常に強く出ている。元々はイオリ・セイのようなファイターになることを夢見たユウマだが、アドウ・サガに敗れたことでその夢に蓋をしてガンプラ制作の技術を磨いてきた。そんな彼にとって「アドウ・サガを倒す」ということは言ってしまえば過去の因縁の精算だ。しかしユウマ自身の話として考えてみると、「かつての自分の弱さと向き合った上で打ち勝つ」というのが彼に背負わされている物語だったのではないだろうか。
この「かつての自分の弱さと向き合う」は『ビルドファイターズ』のイオリ・セイでも似たような事は描かれていたが、「レイジと共に戦い続ける中で克服した」と言う描き方になっていたのに対して、ユウマはかなり直接的にそれを描写されており、アドウサガに名前を覚えさせたあの戦いでは「ビルダーとしての技術を注ぎ込んだライトニングでも敗北する」と言う形でユウマの「弱さ」を描写している。その弱さとはメイジンカワグチが指摘したように「自分の中に限界を作ってしまう」ということなのだが、あの直接的な描写があるからこそ「もっと強くなれる」というユウマの晴れ晴れした表情が彼の強さと成長を感じさせてくれる。
そしてホシノ・フミナにスポットを当てると、彼女は他二人と比べると純粋にガンプラ選手権へと挑もうとするスタンダードなキャラクターだったように思う。ユウマのように過去に決着を着けるためでもなく、セカイのようにガンプラバトルを通じて色々学んでいくでもなく、ある意味ただ純粋にガンプラバトルを楽しんでいるキャラクターとして位置づけられていたように思うのだが、だから面白いのはスナイバルドラゴギラ戦だろう。
スナイバルドラゴギラはガンプラ学園への恨みの象徴とも言える怪物だったのだが、トドメを刺したのが「誰よりもガンプラバトルを楽しんでいたフミナ」というのは、本作のガンプラバトルを見る上でとても象徴的だ。スナイバルドラゴギラの恨みを浄化させる事が出来たのは、「ガンプラバトルは皆で笑い合うためにやるもの」という考えを持つごくごく普通の存在であるフミナだから出来たことだといえるだろう(余談だが、「ガンプラバトルに復讐を持ち込む」というのは『ビルドファイターズ』ではライナー・チョマーがやっている事なのだが、スナイバルドラゴギラ戦で主題になったのは本作が学生を中心としているためだろう)

こうして振り返ってみると『ガンダムビルドファイターズ』が主にレイジとイオリ・セイに物語を振り分けたように、トライファイターズの三人に物語を振り分けるようにデザインされている事がよく分かるだろう。
セカイはガンプラには詳しくないが、だからこそ「ガンプラの事をもっと知りたい」という言葉を決意として口にできる。
ユウマは本職がビルダーだからこそ、ガンプラが壊れることを厭わない行動を覚悟の証明として描くことができる。
フミナは誰よりもガンプラバトルがすきだからこそ、ガンプラバトルの楽しさを忘れた少年の心を解きほぐす事ができる。
このように物語を三人に分担させるように振り分けたからこそ、それぞれの形で発展させる事が出来るのだ。また物語を集約させる相手を固定する必要がなくなった事で、毎回のバトルに変化をつけることに成功している点も面白い。
本作は『ビルドファイターズ』のヒットを受けて制作が決定したシリーズだ。そのため、本作は『ビルドファイターズ』のヒット要因を分析して意図的に変えた部分もかなり多い。世界選手権から全国大会になっていることなどはその筆頭で、一期で描けていた事が本作では描けなくなっている部分も多い。
しかし変えたからこそ描けたこともかなり多いと言えるだろう。前三人の主人公達だからこそ、より多くの物語を内包して前に進んでいける。そうした部分に注目してみると、『トライ』に続く新シリーズが公開された時、『ガンダムビルドファイターズ』と言うシリーズが歩むべき道が見えてくるはずだ。


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