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『少年ハリウッド』受け継がれる永遠とアイドルの存在を証明するもの達について

『探偵歌劇ミルキィホームズTD』最終話まで視聴完了。『ミルキィホームズ』シリーズの第四作目で、大探偵時代ならぬ大アイドル時代を舞台にした活劇!と言う事で「どうなるかなー」と思っていたら、森脇真琴&ふでやすかずゆきだった第二期シリーズまでスラップスティック・コメディを基調としながらも、「アイドル・天城茉莉音を主人公に、茉莉音から失われた奇跡の歌を取り戻す中で強さを身につけていく」という成長物語で非常に面白い作品だったように思う。
アイドル物として見た場合、面白いのは「奇跡の歌を失った天城茉莉音は様々な困難に直面するも、なぜ自分がもう一度ステージに立ちたいのかを思い出していく」と言うストーリーになっていることで、一発屋回や子役回なんかでその辺はよく描かれていたように思う。
特に素晴らしいのは子役回で、「子供じゃなくなったら必要とされなくなる」と言う恐怖を覚えている子役と、奇跡の歌を失ったことで必要とされなくなった今の天城茉莉音が重ねられており、天城茉莉音がちゃんと自分なりの居場所を作る事で再起している点だと思う。何気にあの子役を演じてたのが悠木碧で、その辺の声優ネタの拾い方も綺麗だったかな。
あと最終回一話前のエピソードが本当に秀逸で、「奇跡の歌があるから困難に巻き込まれてしまう」という黒幕に対して、今まで天城茉莉音を見続けてきたミルキィホームズが「大丈夫ですよ」と言い切ってくれるのは本当に心強い。黒幕の心配する心に真正面から答えられるように背中を押すあの一言はそこまでのエピソードがあったからこそ力強いと思う。
最終回はファンサービスも多かったけど、「ミルキィホームズへのお礼」としてはあれでいいんじゃないかな。
何にしても錦織博監督による『探偵歌劇ミルキィホームズTD』は個人的にはとても面白い作品でした。



「アイドル」とはなんだろうか。「偶像」を意味する「idol」を語源とするその言葉は、今現在人々の憧れの象徴でもあり、夢の存在を指す言葉となっている。
『少年ハリウッド』は生まれ育った場所も境遇も違う、縁もゆかりもない少年達がそんな「アイドル」を目指して努力する姿を描いた作品だ。アイドルアニメが次々と発表されているとはいえ、その殆どが女性アイドルを描いている。そんなアイドルアニメシーンの中で「男性アイドルを描いている」という点で既に本作は珍しい作品だといえる。しかし『少年ハリウッド』の魅力はそれだけではない。『少年ハリウッド』の最大の魅力は芸能活動をリアリスティックに描写していること、そしてそんなリアルな芸能活動の中で、少年達が「永遠の輝きを宿すアイドル」であり続けようと努力する姿にある。
『少年ハリウッド』で描かれる芸能活動の根底にあるものは「アイドルは職業でありエンターテイナーである」ということだ。
劇場に足を運んでくれる観客達、そして応援してくれる人達に精一杯楽しんでもらいたい。
本作が描く「アイドル」とはあくまで「観客達を楽しませるための存在」なのだ。
その事は一話の自己紹介の話や役割を演じる大切さを説いた五話の演劇からも分かるだろう。
「少し前まで、星の国にいたんだよ」や「夢とキラキラさえあれば生きていけます」など、アイドルの自己紹介は大体キャッチフレーズや大げさな振りがついていてはっきり言ってしまえば恥ずかしい。だが、そんな恥ずかしい行いを堂々と行う事でアイドル達の何気ない立ち振舞いやステージ上で行うパフォーマンスを彼らを象徴するような魅力を帯びる。
誰かを楽しませるために何かを演じる。そんな「自分」ではなく「見てくれている誰か」のためになりきるからこそ、人は彼らの持つ輝きに魅せられるのだ。
そんな「アイドルとは何たるか」「アイドルの輝きとは何か」をテーマに、どこにでもいるような少年達が本物のアイドルとしてステージに立つまでを描いたのが第一期シリーズとするなら、第二期シリーズはクリスマスライブでようやくアイドルとして輝きだした五人が、「少年ハリウッド」という永遠の輝きを担う「二代目」へと成長していく姿を描いている作品だといえるだろう。
一期以上に初代少年ハリウッドのメンバー達との交流が多く用意されていたのはそのためなのではないだろうか。
初代は二代目達と出会い、彼らの人となりを知ることで「少年ハリウッド」を受け継ぐ者達を見極める。
十六話では柊剛人が風見颯の「本物の握手」について語る姿を見てその可能性を知り、十七話では初代トミーは二代目トミーと出会い、初代の憧れから少年ハリウッドに入った事を知ることで、自分をまだアイドルでいさせてくれる事を思い出す。初代リーダーだった風原乱は舞山春と出会って彼を祝福し、伊達竜ノ介は目の前の仕事にすら真面目にこなせない二代目達を激励を持って送り出そうとする。
そして最後に登場した速水海馬は二代目少年ハリウッドを認めずに一度は解散させようとするのだが、「無くなるかもしれない」「終わってしまうかもしれない」という危機を覚えた事で自覚し、最後の最後の瞬間まで「少年ハリウッド」であり続けようとする五人の「俺たちが少年ハリウッドだ!」の叫びを持って、彼らを「少年ハリウッド」として認める。
自分達が永遠にするために終わらせた「少年ハリウッド」を受け継ぐ、新たな「少年ハリウッド」として。
「初代少年ハリウッドから二代目少年ハリウッドへのバトンタッチ」と言ってしまう事は簡単だ。しかし誰かに与えられるのではなく、自分達の意思で少年ハリウッドであろうとした五人の姿は、あの場にいる誰よりも少年ハリウッドらしい姿だったのだろう。だから最終話のアバンタイトルで、五人は少年ハリウッドのサインが刻まれたフラッグに名前を刻むのだ。
彼らは「少年ハリウッド」と言う輝きを担う役目を与えられた者達の二代目なのだから。
彼らが少年ハリウッドであろうとする限り、「少年ハリウッド」の輝きは永遠だ。そしてその輝きは、少年ハリウッドであろうとする者達が現れ続ける限り、きっと永遠に語り継がれていく。
二代目から三代目、三代目から四代目、五代目へと。そうして輝きを受け継ぐ者達がいて、「少年ハリウッド」である限り途切れることはないのだ。

さて、『少年ハリウッド』の特徴の一つとなっている事の一つとして「一話丸々使った演出」があるだろう。
五話のエアボーイズや十話のときめきミュージックルーム、十九話の渡り鳥コップSPなど、『少年ハリウッド』では一話丸々使って様々なものを描いてきたが、最終話では「一話丸々クリスマスライブ」というアイドルアニメシーンでも他に例を見ないような事に挑戦している。
カメラが観客の視点だったり佐伯希星の名乗りでは収録用カメラなのか、十四話で見られたエフェクトが見られなかったりと細かい演出と、少年ハリウッド達ですら知らないサプライズ演出。「聖なる旅は続く」の言葉通り、アンコールの声が鳴り響く中で終了するなど、「少年ハリウッドはまだ終わりじゃない」という事を描き切った最終回となったわけなのだが、なぜ『少年ハリウッド』は一話丸々使って演劇やライブを描いてきたのだろうか。
それは視聴者を「少年ハリウッドがいた」という存在を証明する証人の一人にするためだろう。
演劇や音楽番組、ドラマや最終回のライブなど、これらの話ではいずれも「観客の視点」というものが非常に意識して演出されている。
演劇を描いた五話では観客席からステージ上を見上げているかのような、少し煽り気味のアングルになっているし、十話では音楽番組で見かけるようなアイドル達をナメるカメラワークをしている。最終話であるライブもAパートの導入では「観客達の中からステージ上が遠くに見える」と言うアングルで幕を開けているなど、「一話丸々使って何かをやっている回」というのは「観客の視点」を中心に演出されているのだ。このように「観客の視点」を中心に演出することで、それを見ている視聴者は「本当に少年ハリウッド達がパフォーマンスをしている」という錯覚を植え付けられる。
この錯覚こそがとても大事なのだ。
なぜなら本作を見た視聴者には、「少年ハリウッド」と言う存在が「確かにここにいた」という事を語り継いでもらわなければならないのだから。そうして考えてみると、「聖なる旅は続いていく」と言う言葉は何もあのライブ会場に居合わせた、作中のファン達だけに投げかけられているものではないことが分かるはずだ。あれはこの作品を追い続けてきたファン達全員にも投げかけられているもので、「少年ハリウッドはまだ終わりじゃない」というメッセージでもある。
既にいくつかの企画が動いているようだが、はたして少年ハリウッド達がどこへいくのか。五人がファンと歩む旅の行く末を見届けたいと思わせるほどに、彼らは「アイドル」だったのではないだろうか。


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