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『Go!プリンセスプリキュア』「学園」という舞台とプリキュアを特別視しない物語について

うたプリ。一期シリーズをアイドルデビュー編、二期シリーズを新人アイドル編とすると、今回の三期シリーズは「ST☆RISH飛躍編」とでも言えばいいのだろうか。何にせよ、二期シリーズでは「良き先輩」として描かれていたカルテットナイトが、今作では「良き先輩でありライバル」と言う立ち位置になっているのは凄く面白いと思う。
でも一話の「春歌が道を歩いていると、アイドル達が登場して一言二言会話して去っていく」を一人づつ丁寧にやったのはもうギャグだよなぁ。映像的には物凄く幻想的な雰囲気だし、アイドル達一人一人の描写も「こういうキャラなんだな」という事が見えるように描かれていたけど、それが全員分(七人+四人で十一人分)あるというだけで笑いがジワジワとこみ上げてくる。狙ってやっているなら、なかなか高度なギャグだと思うけど、その辺はどうなんだろうか。いや大好きだけどね、ああいうの。
二話ではカルテットナイトとの共同の仕事を通じて関係性の再確認、三話では新たに結成したユニットの話になっていて、ストーリーやキャラクターも含めた作品の展開に関してはほぼ文句の付け所がない。春歌が決して蔑ろにされることはなく、要所で存在感を示しつつも、彼女なりの葛藤が見えてくる辺りも三回目のアニメ化ということもあって上手い。
惜しむらくはEDの3DCGだろうか。シルエットは見事なんだけど、動きが均一で、バラつきがないおかげで動くと違和感しか無いんだよなぁ。もったいない。まあ最終話できっちり調整してくればいい話で、その辺は特に心配してないのだが。



「シリーズを続けていく」というのは大変な労力と困難が付きまとうものだ。
そのシリーズであることの意味と過去に制作された作品とは違うものを求められ続けるからだ。
だから三年続いているシリーズは立派だし、五年続いたものはそれだけで価値がある。シリーズ開始から十年ともなれば「一つの歴史を持っている」と言っても過言ではないだろう。そしてこれが二十年、三十年ともなれば「世代を超えて愛されるシリーズ」と呼ばれるようになるのだ。
2004年の『ふたりはプリキュア』から始まった『プリキュア』シリーズも、2014年の『ハピネスチャージプリキュア!』で十年目の節目を迎え、2015年2月より放送開始した『Go!プリンセスプリキュア』で十一年目に突入。
一つの街を舞台にする作品が多い『プリキュア』シリーズだが、今作では全寮制の私立ノーブル学園という一つの学校が舞台として採用されていたりと、『プリキュア』ではあまりやってこなかった要素が随所に散りばめられており、そのストーリーも「夢を叶えるためにノーブル学園にやってきた春野はるか達が真のプリンセスを目指して努力していく」が主軸となっている。
「『プリキュア』の新しい十年」というもの可能性を感じさせる作品に仕上がっている『Go!プリンセスプリキュア』だが、面白いのはプリキュア達と物語に登場するサブキャラクター達が「同志」として描かれていることあろう。
確かに春野はるか達はプリキュアへの変身能力を持つし、夢を奪って世界を絶望に染めようとするディスダークとの戦っている。プリキュアになれる存在は「強さ、優しさ、美しさを兼ね揃えた人間」とされているため、その点を持ってすればプリキュアに変身できる彼女達は特別な存在だといえるだろう。
しかし彼女達はプリキュアとなって戦うために私立ノーブル学園にやってきたわけではない。
彼女達は自らの夢を叶えるために私立ノーブル学園にやってきた存在なのだ。そして「自らの夢を叶えるためにこの学校で頑張っている」という点は他のサブキャラクター達と同じなのだ。
はるかのルームメイトである七瀬ゆいは絵本作家に、藍原ゆうきはプロのテニスプレイヤーとしてグランドスラムの制覇、一条らんこはトップアイドルになるなど、このノーブル学園に集まってきた生徒達は皆、それぞれの夢をもってそれぞれの夢を叶えるために努力している。「プリンセス」と言う夢を叶えようとするはるかや、「父親や兄に負けないくらい人の役に立つことのできる立派な人になる」と言う夢を持つみなみ、「トップモデルになる」というきららと、サブキャラクター達は「自分の夢に向かって努力している」という点では全く同じ存在なのだ。
そんなプリキュアとサブキャラクター達を「夢に向かって頑張っている仲間」として描く作風が特に生かされていたのが、三幹部の一人であるクローズとの最終決戦を描いた11話だろう。
この回ではプリキュア達の夢の力が秘宝クリスタルプリンセスロッドを呼び寄せた事でパワーアップに繋がるのだが、プリキュア三人が願っただけではクローズに妨害されてしまう。しかし「絵本作家の夢をはるかと共に叶えたい」という七瀬ゆいと共に願った夢は、クローズの妨害すらも容易く突破する。
この描写はプリキュア達と七瀬ゆいを「夢に向かって頑張る仲間」として描写してきたからこそ出来る描写ではないだろうか。
プリキュアになれる少女達を特別な存在として描くのではなく、「夢に向かって頑張る」という点でサブキャラクター達と同じ存在として描くからこそ、『Go! プリンセスプリキュア』のこのパワーアップは魅力の溢れる展開だったように思うのだ。

そうして考えてみると今作の舞台が「全寮制の学校」なのも面白い。というのも、「学校」と言う場所は大人ではなく「子供」が中心となる社会だからだ。
前述したように本作ではプリキュア達とサブキャラクター達に「プリキュアに変身できる」程度の違いしか与えられていない。これは「プリキュアとして戦う」ということを物語の主軸にしていないからだが、物語の主軸を「夢に向かって努力していく」に置くからこそ、夢に向かって努力していく少年少女達全員をプリキュアに変身するメインキャラクター達と同格の存在として描くことが出来るし、「子供中心の社会」である学校を舞台にしているからこそ少年少女の夢に向かって努力する姿と真剣さは本人の技量問わずとても真剣なものとして見える。
そんな学校を舞台にすることで「努力する生徒達の夢を元に絶望を生み出す」というディスダークの邪悪さをより強調している点も興味深い。
これらは従来の「街」を舞台にする作品では見られなかった点であり、「学校」と言う舞台装置が存分に生かされた形だといえるだろう。

最後になったが、今作のプリキュア達は皆夢を持っているが、その夢の在り方は様々な形をしている。
きららは「トップモデル」と言う具体的な夢を持っているが、みなみは「立派な人になる」という抽象的な夢の形だ。はるかに至っては「プリンセス」という夢そのものは具体的だが、「どうすればいいのか」という点が漠然としていて非常に抽象的な夢の形だ。
プリキュアの中でもこれだけ様々な形の夢があって、どれひとつとして同じものがない。だからこそ「夢」というものを多様な形で描くことが出来る。きららで描けないことはみなみで、みなみで描けないものははるかで、というように、夢は様々な形をしているからこそ、一つの描き方に拘ることなくその夢に相応しい展開にすること出来る。
これは主人公が一人だけでは決して出来なかった事だ。主人公格が複数人いるからこそ出来たことなのだ。

最初に書いたように『Go!プリンセスプリキュア』は今まで『プリキュア』ではやってこなかったことが随所に散りばめられている。しかしそれは全て物語から要請された必然性があるものばかりだ。そして必然性があるからこそ、使うところが来た時にとても魅力的な要素に見えてくる。
現在1クールほどの内容を終えたが13話からは沢城みゆきの演じる新キャラクターが登場するなど、一年をかけて物語を描き切る気が満々の『Go!プリンセスプリキュア』。一区切りついた今からでも見て欲しい。
きっとそこには夢に向かって頑張ることの大切さと夢の愛おしさが描かれていくのだから。


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