Entries

『バトルスピリッツ烈火魂』に見るキャラクターと「モチーフ:戦国時代」の表現について

『ニンジャスレイヤー』。アニメのあの作りも繰り返し見ている内に慣れるというか、今では普通に楽しんで見ているんだけど、ヤモト・コキ初登場となる「ラスト・ガール・スタンディング」だけは真面目なアニメをしているのに結構、いやかなり笑う。この話は心情の方に寄せているので、アニメのあの独特の演出をする必要は確かにないのだが、この話だけこういう演出にするのはなんというか「一周回って面白い」とかそういう類な気が。
しかし放送開始した当初こそ「これは……どうなんだ!?」と言われていた『ニンジャスレイヤー』だけど、結果としてこれはこれで正しい手法だったことがよく分かる。普通のアニメとして作り上げることも出来ただろうけど、よっぽどの品質でなければ言語センスのトチ狂い具合は埋没してしまうわけで、「アニメであること」と「ニンジャスレイヤーらしさを表現する事」のバランスを考えると、ここに行き着いてしまうのもわからないでもない。
とはいえ、要所ではちゃんと動かしてくるし、見せ方も工夫している。ペース配分も盛り上げたいところにちゃんとリソースを割けているし、この作品はこれでいいんじゃないかなぁ。



『バトルスピリッツ』とはバンダイが販売しているトレーディングカードゲームである。
そんな『バトルスピリッツ』のメディアミックス作品として四月より放送開始した作品が本作『バトルスピリッツ烈火魂』だ。
バーチャルシステムの登場によりバトルスピリッツの人気が最高潮に高まった事に端を発する「バトスピ戦国時代」となった近未来世界を舞台に、天下統一を夢見るカードバトラー、烈火幸村の活躍を描く本作は『バトルスピリッツ』シリーズの第七作品目に当たる。
『バトルスピリッツ』シリーズといえば「日曜朝」というスーパー戦隊や仮面ライダー、プリキュアが始まる前に濃密な人間ドラマを展開していたシリーズで、シリーズ第二作目となる『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』では異世界を舞台に「世界救済」というものの難しさを描き、シリーズ第三作目『バトルスピリッツ ブレイヴ』では前作で世界救済を成し遂げた「英雄」である主人公を通じて「英雄のその後」という苦い物語を鮮烈に描いてみせた。その人間ドラマの濃密さは『バトルスピリッツ ソードアイズ』にて一つの頂点を極めたのだが、シリーズ第六作目となる『最強銀河 究極ゼロ 〜バトルスピリッツ〜』の完結をもってシリーズの歴史に一旦幕を下ろした。そんな『バトルスピリッツ』シリーズ再開の一作目となるのが『バトルスピリッツ烈火魂』なのである。
『メタルファイト ベイブレード』やOVA版『ストライクウィッチーズ』で監督を務めた杉島邦久が監督として参加しているが、シリーズ構成は『マップス』などで有名な長谷川裕一の実弟でもある脚本家、長谷川勝己が起用され、『少年激覇ダン』以降全てのシリーズに参加していた冨岡淳広は今作では参加していない。
またシリーズの伝統となっていたバトルフォームは今作では採用されておらず、『SKET DANCE』の篠原健太がキャラクターデザイン原案に参加しているなどシリーズ再開一作目らしく様々な新機軸が見られるが、一方で物語の構造そのものは『バトルスピリッツ』シリーズらしいものだ。
とりわけ本作で『バトルスピリッツ』シリーズらしさを感じるのはダブル主人公の物語として展開されている事だろう。
本作では烈火幸村を主人公にした「天下統一するためにライバル達と死闘を繰り広げていく」という物語が主軸となっているが、その幸村の物語と平行する形で暁佐助を主人公とした「幸村のライバルになるために成長していく」という物語が展開されている。
佐助は幸村ほど強くはない。むしろ弱いしバトスピについては知識の面でも足りていない。しかし弱いからこそバトスピを最近知った初心者に寄り添って共に学びながら成長する姿を描くことができるし、目標が目標なだけに幸村では描きにくい「敗北から這い上がっていく物語」を描くことが出来る。またひとまずの目標を「主人公のライバルとして認められる」に設定していることもあって、幸村の物語と絡めながら描けているのも面白いところだ。
また「戦国時代」と言うモチーフの落とし込みも、本作はかなり上手に落とし込んでいる。
「戦国時代」自体手垢にまみれているモチーフであり、多くの作品はそこに一捻りを加えているが、本作では「幸村と同じようなS級バトラー達が自身の使う属性を主とするチームを結成しており、縄張り争いをしている」という、モチーフをほぼそのまま落としこむ手法が取られている。それにより負けた勢力の縄張りに他勢力が侵略をしてくるなど、戦国時代モチーフらしさの溢れる展開が多く用いられている。
作中でも言及されているようにS級バトラー同士の戦いは「武将同士の一騎打ち」のようにも感じられるし、『バトルスピリッツ』シリーズの特徴となっている3DCGによるバトル描写もあって、互いのデッキのエース同士の戦いなどは手に汗を握るほどに熱い。
モデルになっている武将をキャラクターだけでなくカードサイドにも上手く反映させる事で、「デッキも含めてキャラクター表現につなげている」という点も面白いが、だからこそ熱いのは「試合に勝って勝負に負けた」という決着の付け方をしていることだろう。
五話までは炎利家、群青早雲、宝緑院兼続のS級バトラー達と幸村の戦いが描かれているが、この戦いにおいて幸村は一度として相手のエースカードを破ることができていない。あくまで幸村が勝っているのは戦略面のみで、彼の信条となっている「相手のエースを倒してこそ真の勝利」は果たされていないのだ。
そうして幸村が勝てたのは運の巡り合わせだったかのように感じさせる事で、対戦相手の強さの格が全く下がっておらず、むしろ相手の強さを引き出している。特にその描写が生きているのが宝緑院兼続で、彼は幸村を苦しめながらも未だにエースカードを出していない事で「本気の強さはこんなものではない」ということが演出されており、本気の彼との再戦に期待を抱かせる。
早雲にしても利家にしても、そのデッキにはさらなる強さの可能性を匂わせている事もあって、幸村以外のS級バトラー達の強さが今後どのような形で紡がれていくのか楽しみである。

第六話からは幸村が天下統一を目指す理由が明かされ、佐助の新たなエースカードが登場する一方で、大六天魔王の名を受けた真白軍が利家の縄張りを荒らしまわるなど、物語は大きく動き始めている。
「誰が天下を取るのか」も楽しみだが、「天下統一後の世界」も気になるところだ。
『バトルスピリッツ』シリーズとして新たに幕を開けた『バトルスピリッツ烈火魂』が描くだろう、天下統一後の世界は非常に楽しみである。




スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://ilya0320.blog14.fc2.com/tb.php/2138-8bd62c8d

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

水音

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

    魔界戦線



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
    @を半角にして下さい

カウンター