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王道でクラシカルなサンリオアニメ――『SHOW BY ROCK!!』『ジュエルペットマジカルチェンジ』について

アイカツ!133話視聴完了。所謂「プレミアムドレスを手に入れるために、デザイナーに試される」と言う話ではあるのだが、「エンジェリーシュガーのデザイナーの孫娘」と言う設定を活かしている点が面白い。
「家族だからこそ間近で見られたプロの覚悟」を知っているからこそ、「安易に頼めない」「自分がアイドルとして自信を持てるようになるまで頼まない」という事を覚悟していたまどかが、アイドルとしての覚悟を「祖母」ではなく「デザイナー」に見せることでプレミアムドレスを手に入れる。言葉に書いてしまうとそれだけの話しなのだが、プレミアムドレスを身に纏うということは、「ブランドのイメージを背負う」ということでもあるし、「デザイナーの思いを託される」ということでもある。
その事を家族だから間近に見ていたまどかが、アイドルとしてデザイナーである祖母に向き合う展開は彼女の覚悟が本物であるように見せてくれるし、どれだけの覚悟を持ってこの場所に立っているかを物語ってくれていたように思うのだ。
また「新しい世界を見せてくれる人」という天羽あすかのまどか評を活かしたカット割りも冴えている。プレミアムドレスを手に入れて帰る途中のカットでは、閉じた門をバックにしたまどかの姿が描かれ、「門の先にある世界がどんな世界なのか」を想像させてくれるし、ライブパートでもまどかの背後から写したカットを一カットだけ混ぜることで、「彼女が見せてくれる新しい世界が美しいものに違いない」という予感を印象づけてくれている。地味だが凄い仕事だ。
そして来週はやっと大空あかりのユニット回か……。なんというか、もう安心感しかないな……。



マイメロディが世に誕生してから今年で40年になるそうだ。
1975年に誕生したマイメロディが、今年で誕生40週年を迎えられたのは、多くのファンに愛されていたからだろう。そんなファンの愛に答えようと努力を積み重ねてきたのが生みの親となるのがサンリオである。
自社でデザインしたキャラクターを中心に、様々な業界へと展開をしているサンリオだが、アニメが制作されたキャラクターは生み出したキャラクターと比べると数が少ない。
毎年開催されるサンリオキャラクター大賞でトップを競い合うハローキティ(『ハローキティ りんごの森』シリーズ。)とマイメロディ(『おねがいマイメロディ』シリーズ)といった誰もが知る有名ドコロを除くと、「シュガーバニーズ」など数キャラしかいない。そんな数少ないアニメ化されたキャラクターの中の一つがセガトイズとの共同開発作品であり、第七期シリーズ『マジカルチェンジ』が放送中の『ジュエルペット』で、。もう一つがバンドをコンセプトにした現在放送中の『SHOW BY ROCK!!』だ。
「同時期にサンリオのキャラクターを原作とするアニメ化作品が放送されている」という稀有な状況となっているが、どちらの作品もサンリオが原作となっているアニメだけあって作りそのものは王道かつクラシカルだ。

『ジュエルペットマジカルチェンジ』は魔法を信じる心を失ってしまったために、人間の世界に落ちてきたジュエル城を元の世界に戻すため、魔法の修業にやってきたジュエルペット達と魔法に憧れている少女、雲母あいり達の絆を描いた『ジュエルペット』シリーズの第七作目に当たる作品だ。
前作『レディジュエルペット』は「素敵なレディになるために少女達が日夜修行に励む」と言う作品であり、シリーズ第二作となる『てぃんくる☆』の路線への回帰を感じさせる作風だったが、今作はシリーズ第三作である『サンシャイン』や四作となる『きら☆デコッ!』の路線へと戻っており、『レディジュエルペット』と比べるとコメディ要素はかなり強めになっている。
ジュエルペットが魔法の力で人間に変身するなどのシリーズでも初めてとなる要素や予想の斜め上をいく展開、一話完結のコメディ路線であることなどが相成って作品全体のテーマを忘れがちな『マジカルチェンジ』だが、作品の根底にはシリーズを通して貫かれているテーマとなる「ジュエルペットと人間の絆」が流れている。
ジュエルペットと人間が共同生活している事や共に発生した騒動に立ち向かうなどもそうだが、本作の特徴となっている「ジュエルペットの人間への変身」はいずれも人間とジュエルペットが心を通じ合わせた時に限られている。レギュラーキャラでは「福神漬けを取るために変身」という適当さを見せたラブラですらそうで、第七話でゲストキャラとして登場したガーネットも自分を助けようとしてくれた女の子と心を通じ合わせることで変身を遂げるなど、「人間への変身」はいずれも「人間とジュエルペットの絆」を強調するようなギミックとして用いられており、どんなに適当な理由で変身しても人間とジュエルペットの絆を感じさせてくれる。このギミックがあることで、ジュエルペットの一人が一話丸々皿になったままだったり、マイメロディとハローキティが巨大化して戦うなどのぶっ飛んだ展開を見せてもブレておらず、どこかで安心できる作品に仕上がっている。

一方の『SHOW BY ROCK!!』は同名のソーシャルゲームを原作とするアニメ化作品。
軽音楽部に入りたいものの、引っ込み思案な性格から一歩踏み出せずにいた聖川詩杏は、気晴らしにプレイしたソーシャルゲームで伝説のアイテムを手に入れた事でゲーム内世界、サウンドワールドへ引きずり込まれてしまう。成り行きでプラズマジカに加入した詩杏=シアンは、元の世界へ戻るためにサウンドワールドを襲う怪物、ダークモンスターへと立ち向かうことになる――という導入から始まる本作は、「ゲーム内の世界」でこそあるものの「突如異世界に召喚された主人公が世界を危機に陥れる災厄に立ち向かう」という「異世界召喚物」の王道的な導入から幕を開ける。
現実世界では卓越したギターテクニックを持つものの軽音楽部に入ることすら出来なかったシアンが、異世界ではそのギターテクニックを見込まれてバンドに加入。少しづつバンドメンバーと打ち解けあっていく姿は「行きて帰りし物語」のような成長物語を感じさせるが、少し変わっているのは「異世界からやってきた」のような人には言えない秘密を抱えているのはシアンだけではないということ。
プラズマジカのメンバー達はそれぞれ人には言えない秘密を抱えており、様々な理由でプラズマジカとして活動しており、「いつかは別れなければならない」というのも異世界出身のシアンだけの話ではない。「プラズマジカの全員に共通するもの」なのだ。そんな「別れ」を本作では「プラズマジカの全員に共通するもの」として扱っており、その共通するものを乗り越えることでプラズマジカの四人は人間としても演奏者としても大きく成長を遂げていく。
「音楽で分かり合える」と言わんばかりに音楽でお互いを理解し合っていくプラズマジカの姿は、「全てが音楽で成り立っている」というサウンドワールドらしいところだ。
またSD頭身による3DCGモデルを用いる事で迫力ある全身を使った演奏を表現していたりする点も面白い。SD頭身でこそあるもののかなり凝られた指運びとなっており、頭身の低さも相成って「全身を使って演奏しているからこその迫力」というものを強く感じさせてくれる。
音楽に対して真正面から向き合っているからこその手を抜かないこのライブパートは、『SHOW BY ROCK!!』スタッフの「妥協の無さ」が現れている。妥協しないからこそ、「凄い」と表現されたライブがしっかり「凄く見える」のだ。

『ジュエルペットマジカルチェンジ』と『SHOW BY ROCK!!』。
共通しているのはどちらの物語も「どちらかと言えば古典的な王道に位置づけられる物語構造である」ということだろう。しかしどちらも「考えぬいた上で収斂した先が王道的な物語となった」としか言えないような丁寧な作り込みがされた作品であり、喜ばしいシーンではちゃんと喜ばしく、笑えるシーンではちゃんと笑えるように作られている。これらは演出の基本とも言えることだが、しかし基本を徹底しているからこそ不安を感じる事無く安心して楽しむことが出来るのである。
「サンリオアニメはぶっ飛んでいる」と思われがちだが、いずれの作品も注意深く見てみれば意外とぶっ飛んでおらず、むしろ「どこかで見たような王道的な作品である」ことが分かるはずだ。
そんな「王道でクラシカルな作風」こそが「サンリオアニメ」という作品群の特徴であり、魅力なのではないだろうか。

ところで『ジュエルペットマジカルチェンジ』第七話の「人間になったガーネットに惚れた普通の女の子が可愛くなるために頑張る」ってちょっと百合レベルが高すぎる。それを抜きにしてもガーネット人間体はゲストである事を利用してとびきり可愛くデザインされているのに!

 



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