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それはスクールアイドルを愛する者達の讃歌――『ラブライブ!The School Idol Movie』

夏コミ受かりました。場所は「三日目のリ-56a 魔界戦線」になります。
いつも通り「とりあえずラブライブ!で申し込んでおいて、細かい事は後から考えよう」と無計画に申し込んだので、ラブライブ!島に配置されてますけど、新刊は『ラブライブ!』ではなく『プリパラ』になります。『プリパラ』も7月で一周年だし、『プリパラ』は『ラブライブ!』にも参加経験があるスタッフが作っている作品だし、「『プリパラ』一周年記念」なら格好はつくかな、と。まあうちの新刊が申込ジャンルと同じだった事は一度としてないんだけど。
ともかくアニメにゲーム、劇場版まで網羅した本になると思いますので、色々とよろしくお願いします。トモチケ交換が出来るかどうかはちょっと分からないな……。



2011年に電撃G'sマガジン、サンライズ、ランティスの三社合同のユーザー参加型企画として走りだした『ラブライブ!』。2013年1月にはアニメ化を果たして多くのファンを獲得。014年4月からはアニメ第二期が放送開始された。そしてファン待望の完全新作劇場版アニメとして制作されたのが本作『ラブライブ!The School Idol Movie』である。
監督を務めるのは『ラブライブ!』で監督デビューを果たし、2015年7月からは『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の監督にも抜擢されている京極尚彦。師匠である菱田正和譲りのエンターテイナー精神を持つ今注目のアニメ監督である。そんな京極尚彦監督の元で脚本を手がけるのは一期、二期共にシリーズ構成を担当した花田十輝。最近では『響け!ユーフォニアム』や『艦隊これくしょん』の脚本を手がけており、こちらもまた今注目を集めている人物である。
音響監督の長崎行男や劇伴担当の藤澤慶昌など、本作に関わる多くの制作スタッフはTVシリーズから引き続いて参加しており、本作のスタッフ陣からはTVシリーズからの「勢い」というものを感じさせるが、内容面でもTVシリーズからの勢いが生かされたものとなっている。

物語は「第三回ラブライブ!のドーム開催のために前回王者であるμ'sの助けを借りたい」という依頼が舞い込む!という二期最終話から直結するような展開で幕を開け、息をつかせる間もなく舞台は海外へとシフトしていく。タイトル表示や小ネタを細かく交えながら情報圧縮を行う事でテンポよく物語を進行させている。このテンポの良さとスピーディーさはTVシリーズでも時折見せていたもので、本作がまぎれもくTVシリーズのあの続きであることを実感させてくれる。そしてそんなスピーディーな展開の中で新しい世界へと飛び込み、戸惑いながら順応していく九人をいつものようにコミカルに描写する事で、二期から「変わってしまっているんじゃないか?」という不安感を払拭してくれている。
こうしたさりげない配慮があるからこそ発表から一年も待ったにも関わらず、「あの」μ'sの物語にすんなりと入っていけるのだろう。
謎のシンガーにいつもとは違う場所でいつものようにレッスンに励む九人に話しかけてくる人々、そしてμ'sが訪れた都市の秋葉原に似た一面など様々な出会いを経てμ'sは初の海外ライブに挑み、成功を果たす。この海外ライブ成功というところで終われば本作は「ファンムービー」以外の何者でもない映画に成り果てているところだが、本作が凄いのはここからだ。
というのも、この海外パートは「第三回ラブライブ!へと繋ぐための宣伝活動の一環」と位置づけられており、物語全体でいえば前振りに過ぎない部分だからだ。
『ラブライブ!The School Idol Movie』という物語は海外でのライブを終えて帰国した後から静かにかつダイナミックに動き始める。
ニューヨークでのライブを終えて帰還した九人は「これで第三回ラブライブ!がドーム開催になる!」と喜ぶのだが、しかしそんな九人を待っていたのは次のライブを期待する「みんな」の姿だった。
ここで第二期の十一話を思い出して欲しい。「三年生が卒業したあともμ'sを続けるかどうか」を描いたあの回の事を。
あの十一話で九人は確かに答えを出した。「μ'sは第二回ラブライブ!で解散する」ということを。だから九人は第二回ラブライブ!に全力で挑み、夢にまで見た結果を掴み取れたのだ。
しかしあのニューヨークでのライブによって周囲の目は大きく変わってしまい、「μ'sにはずっと続いていって欲しい」と期待するようになった。ここで改めて十一話の問いが「周囲の目」という要素を加えて蘇ってくる。それは十一話の「終わらせるか。それとも続けるか」とよりももっと踏み込んだ問いだ。
「周囲の期待を裏切ってまでも終わらせるのか。それとも周囲の期待に答えて続けるのか」
それは「みんなの力があるからここまでやってこれた」というμ'sにとって、最も残酷な問いだといえるだろう。
しかし遅かれ早かれ決断を下さなければならない事でもある。時間はすぐそこまで迫っているのだから。
九人は限られた時間の中でその問いに向き合っていき、そして気付かされる。
自分達がここまで頑張ってこられたのは、歌ってこられたのは、スクールアイドルが楽しくて、大好きだからということに。
「スクールアイドルが大好きだからこそ、スクールアイドルとしてμ'sを終わらせる」という答えを出す九人の晴れ晴れとした表情をしているのは、この答えこそが自分達が胸を張って「みんな」に告げられるものだと確信しているからだろう。
そしてそんな大好きなスクールアイドルのために九人は再びμ'sとして走り始める。
クライマックスでは全国各地から集まってきたスクールアイドル達による合同ライブの様子が描かれる。
この合同ライブに集まった人達は全員「スクールアイドル」が大好きだ。μ'sの呼びかけに答えて集まってきたスクールアイドル達も、そして応援している人達もみんな、限られた時間の中で精一杯頑張るスクールアイドルというものが大好きなのだ。
そんなスクールアイドルへの「大好き」な思いは歌という形で一つになり、世界をも変えていく。
その世界の変化は多くの人達にとっては劇的なものではないのかもしれない。作中でも「第三回ラブライブ!はドーム開催された」という事実を示した一行の台詞でしかその変化は語られていない。
しかしμ'sとその呼びかけに答えたスクールアイドル達の力によって確かにこの世界は変わったのだ。
本作の最後でμ'sは合同ライブでの宣言通りに解散を果たした。しかしあの合同ライブでμ'sとスクールアイドルが見せたスクールアイドルへの熱い思いは全てのスクールアイドルを愛する人達の中で輝き続ける。
スクールアイドルの祭典、ラブライブ!。
このイベントが今もあるのは、あの日スクールアイドルへの思いを世界に示した少女達の熱いライブがあったからなのだから。

ところで本作には非常に小ネタが多く盛り込まれているが、その中でも特に面白かったのは第二期終了後に展開された企画を作中に登場させている事だろう。スクールアイドル達全員で合同ライブをやろう!ということになったものの、「概要を聞いてから考えたい」と返信してきたスクールアイドル達の元へ自ら会いに行く姿は現在展開中の『μ's ファンミーティングツアー2015 ~あなたの街でラブライブ!~』を彷彿とさせるし、合同ライブの宣伝活動をしているシーンで登場したドリンク達はユナイテッド・シネマ豊洲にて展開されているオリジナルドリンクを思い起こさせる展開だ。
また合同ライブ自体で使用される楽曲も「皆で作った楽曲」として扱われており、電撃G'sマガジンで展開された『みんなで作るμ'sの歌』のようにも感じられる。
こうした「現実で展開されたものを作中に積極的に取り入れていく」という姿勢はTVシリーズでも見られたが、こうして現実の要素を取り入れることで、「劇場版アニメ化」の持つイベント感と作中の「合同ライブ」というイベント感が混ざり合っており、作中の「合同ライブ」を今この瞬間と地続きのイベントであるかのように感じさせる。
今回の劇場版ではとりわけ「今」という情報が大事であるため、劇的な効果をもたらしていたように思うのだ。

この『ラブライブ!The School Idol Movie』をもってアニメシリーズは一つの終わりを迎えたが、こうして終りを迎えられたのはスタッフ陣が確固たる信念を持って「μ'sの物語を描こう」としていたからだろう。全力で駆け抜けようとしていたのはμ'sだけではない。京極尚彦監督を始めとするスタッフ達もまた全力で駆け抜けようとしていたのだ。
スタッフ全員で全力で駆け抜けるために用意されたのが「スクールアイドルの素晴らしさ=スクールアイドル讃歌」というテーマなのだろう。「本当にやりたいものは何か」から始まった物語が「いつも支えてくれていたものへの感謝」という形で決着を迎える。これほど美しい幕引きもないのではないだろうか。また彼女達のやり遂げた事と思いが次代へと継承されていく光景には神話的なメッセージ性をも感じさせる。この次代への継承がある事により寂しさを覚えることなく、「良いものを見た」という充足感を持ち帰らせてくれるのだ。
μ'sの物語はこうして一つの終わりを迎えたが、スクールアイドルを描いた『ラブライブ!』と言う物語はまだまだ続いていく。
μ'sに憧れてスクールアイドルを目指す少女達の物語、『ラブライブ!サンシャイン』はまだ始まったばかりだ。
『ラブライブ!』はまだ終わらない。我々はいつだって「スクールアイドル」と言う今という一つの光の中にいる。
だからこの作品はこう題打たれているのだろう。
『ラブライブ!The School Idol Movie』だと。

余談だが、上映前の諸注意は菱田正和監督の『劇場版プリパラ』や『劇場版プリティーリズム』の諸注意を想起させるもので、とても面白かった。カメラを引いて観客席を見せている辺りの芸の細やかさはもうちょっと評価されても良い。正直笑った。

   






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