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一地元民にとっての『響け!ユーフォニアム』の面白さについて

星海社の新人賞座談会。大体の概要は把握した。「まーだやってんのか。この人達も飽きないなぁ」と呆れたというのが正直な意見なのだが、そうやって一言で切って捨てるのは簡単なのでひとまず置いておく。自分がこの「新人賞座談会」のダメだと思うのは「編集者のくせに具体的な改善点を上げられていない」とかそういう「発言者自身の能力の有無」以前に、「不特定多数の人間に見られること」を全く意識しておらず、「読み物として全く面白くない」からだ。
座談会というものはその性質上内輪ネタになりやすいとは思うが、それを外の世界に公開する以上は「不特定多数の人間が見る事」を前提にしてやらないとダメだ。「具体的な改善点を指摘していく」というのも一つの方法だし、「毒舌」や「辛口」と言った点を残したいのなら自身のその批評スタイルを「芸」にまで昇華した方がいい。どちらにせよ、この座談会のような「悪口合戦」という程度の低い事をやっている暇があるならもっと他にやることがあったはずだ。そういえば「負けず嫌いしか来てほしくない」みたいなことを小説の新人賞で言っていたと思うけど、正直自分達のやり方を芸にまで昇華出来ない人間の捨て台詞にしか聞こえなかったなあ。
まあ過去にやらかした事が半永久的に残り続けるような場所でこうした「芸未満の悪口合戦」を公開するんだから「悪評も評なり」を本気で信じているのだろう。俺のこういう悪口もおそらく思惑通りなのだろうが、毒舌や辛口を「悪口」と勘違いしている人達には我慢ならないのでこうして書いた。スッキリした。



TVアニメ『響け!ユーフォニアム』は流されやすい性格から吹奏楽部に入部することになった主人公・黄前久美子が、友人や吹奏楽部の仲間達と共に日夜「全国大会」という目標に向かって努力していく姿を描いた青春を描いた作品だ。丁寧な仕事には定評がある京都アニメーションの美麗な作画とシリーズ演出を担当する山田尚子の何気ない事を美しく描く透明感のある画面作りによって、五十人以上もいる吹奏楽部の部員一人一人に魅力がキラリと光る作品に仕上がっている。「吹奏楽部」という集団の中での衝突や掲げた目標の高さによって葛藤する様子に一喜一憂させられ、現在放送中の作品の中でも一、二を争うほど結末に興味が沸くこの『響け!ユーフォニアム』だが、自分にとってこの作品の面白さというのは、掲げた目標の中で吹奏楽部が苦悩したり、喜びを手に入れたりする様――つまり「物語」というだけではない。
自分にとって本作の「物語」と比肩するほどの面白さは「舞台」にある。なぜこの作品の「舞台」が自分にとって面白いのかというと、この作品で登場する京都府宇治市というのは、自分にとっては「地元」に当たる場所だからだ。
といっても、自分はこの作品の中心となる北宇治高校のモデルとなった学校に通っていたわけではなく、「作品に登場している場所近辺に住んでいる」というだけに過ぎない。「ご近所さん」以上の何者でもないのだが、しかしあの辺りを舞台にするということは当然自分が普段通っている店や利用している駅などが物語中に登場してしまうわけで……。
普段から何気なく、特に特別さを感じる事無く利用しているような場所が物語の中に登場し、あまつさえその一部は物語上でも特別な意味を持つ場所として登場する。
それが面白く無い訳があるのだろうか。いや圧倒的に面白い。少なくとも自分にとっては高すぎる娯楽性をこの作品に与えてくれている。いやもっと言えばここ最近の京都アニメーションの中でも、頭一つ、いや二つ分ほど楽しい作品という認識になってしまっている。ただ自分の地元が物語の中で登場しているだけにもかかわらずだ。
一地元民として書かせてもらうのだが、『響け!ユーフォニアム』を見ていてこういう楽しさを感じてしまうのはもはや仕方がない問題だ。
「聖地巡礼」の面白さというのは端的に言えば、「現実に存在する場所に作品情報が流入する事による面白さ」ではないかと思う。だから『ラブライブ!』の舞台になった秋葉原は「ラブライブ!の舞台になった場所」として見てしまうし、『プリパラ』の舞台になっている原宿に行けば「ここがパラ宿……」と思ってしまう。そういう「作品に登場した場所」と言う情報が現実の何でもない場所を特別な場所のように見せるから「聖地巡礼」と言う行為は面白いのではないかと思う。言うなればこれも一つのパロディみたいなものである。
話を『響け!ユーフォニアム』に戻すと、自分にとってこの作品はそんな「聖地巡礼の面白さ」と真逆に位置する面白さなのである。
現実の何でもない場所を熟知しているからこそ、作品の中に登場した時に現実の情報が流入してしまい、どうしても面白くなってしまう。言うなれば現実のパロディとして機能してしまっているわけで、地元であればあるほどその場所の「何でもなさ」を知っているがゆえに笑いしか出てこない。もはやこれは地元民だからこその特権であり、地元民以外では得る事が不可能な面白さだといえよう。高品質な作画&物語で見る自分の地元は面白いのだ。
とはいえ害がないわけではない。いやそもそも初回の視聴に関しては害以外の何者でもない。というのもキャラクター達の感情の起伏や物語、葛藤している姿などよりも背景の方が面白いのだから、内容が全く頭に入らないのだ。結果として自分は締切間近であっても二回見ないと内容が理解できないため二回観直している。内容も背景から自分が得ている面白さに匹敵するほど面白いので全く苦にならないのが救いといえば救いだ。ところで八話の高坂、黄前の登山シーンは恩田陸の『夜のピクニック』のようで、かなり好みでした。
そういえば『たまこまーけっと』の時に知人が「地元過ぎて面白い」と口にしていたことを思い出す。
当時は全く分からなかったが、今こうして地元が映像化されたことでその気持ちが痛いほどよく理解できる。面白い。面白くないわけがない。娯楽性という点では圧倒的なものを約束してくれている。
これで自分がアイドルアニメ研究家でなければ、『うたプリ』が放送していなくて『プリパラ』のドリームシアターライブが無くて、『アイカツ!』がユニット編をやっていなければ、おそらく「今期一番面白いアニメ」と言い切っていたであろう。あるいは『血界戦線』が今期でなければ……。まあそれは言っても詮無きことである。面白い作品というのは得てして同じタイミングでやってくるのだから。好機到来。今がチャンスってことさ。
トランペットのソロを巡る戦いも決着を迎えて、物語も結末へと向けて加速する『響け!ユーフォニアム』。
本作の聖地巡礼に行きたい!と言う人に地元民としてあえて言うことがあるとすれば、あの辺の茶団子だと『能登椽稲房安兼』がイチオシだということぐらいである。

 



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