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『ラブライブ! The School Idol Movie』海外パートについての簡単な解説

『Go! プリンセスプリキュア』。相変わらず卒が無いというか、「希望と絶望の相転移」と「主人公:はるかの格付け」、童話チックな「魔女とプリンセスの関係性」を描き切りながら、トワイライトをトワへと戻す一連の流れは美しいとしか言い様がない。プリンスであるカナタの扱いも妥当だし、「グランプリンセス」というものが本当に素晴らしいものであることもちゃんと描けている。
その上で言いたいことがあるとすれば、トワイライト様変身体があそこまでディスピアモチーフだったのは「ディスピアの支配を受けている」と「希望から絶望へ」を表現していたのかな、ということぐらいだ。アクションも見せながら、よくぞここまでトワイライト編の一連の流れを綺麗に回収しきったなぁ、『Go!プリンセスプリキュア』。トワイライト=カナタの妹のトワで、追加戦士だというのは誰もが読めた展開ではあると思うけど、トワイライト様の細かい設定にツッコミだした時に一瞬メタ読みした展開を揺らがせる辺りも地味に素晴らしいと思う。
本当に今年のプリキュアは今までのプリキュアとは異なる作風だと思うのだが、ここまでの完成度を誇ると楽しいぞ。
しかしこうなってくるとディスピア様の扱いも結構難しい部分がある。というのも、「絶望をただ倒せばいい」と言う話にしてしまうと、トワやピースキングダムの人達の絶望についても「弱かっただけ」になってしまうので……。そこら辺はカナタの話の中でも地味に触れられていることなので、解決策はほぼ出ているも同然なんだけど。



第五週目と第六週目の先行入場者特典が発表され、更に熱く盛り上がろうとしている『ラブライブ!The School Idol Movie』。公開から一ヶ月近く経つ事もあって感想を見かける事も多いのだが、その感想には本作のシナリオをミスリードしてしまっているような感想も散見される。ミスリードしている多くの人が引っかかっているのは「本編序盤で展開される海外パートの物語上の位置づけ」についてなのだが、CMやキービジュアルでも使われていたという事もあってミスリードしてしまいそうになるのも理解できなくはない。だが、2013年から続く『ラブライブ!』アニメ化企画にピリオドを打った本作が、誤解された内容のまま記憶されるというのは一ファンとしては実に悔しい。こんなにも素晴らしい作品だというのに!
そこで五週目・六週目の前に、せっかくなので劇場版ラブライブ!における海外パートについて解説しておくこととする。なお物語の核心に迫る部分についてのネタバレは一切しないつもりだが、序盤についてはネタバレを前提にした文章になっているのでまだ見ていない人は注意していただきたい。

まず海外パートの大前提である「μ'sが海外へ行く理由」を確認しておきたい。
μ'sの九人が海外へ行く理由は「第三回ラブライブ!をドーム開催するための実績作りのため」である。
「卒業旅行」でも「海外のイベントに参加するため」でもないのだ。ラブライブ!運営側の「第三回ラブライブ!をドームで開催するためには実績が足りない。そこで前回王者であるμ'sの力を借りて実績を作りたい!」という依頼を成功させて、今代の王者として次代へと最高の環境でバトンを繋ぐためにμ'sは海外へ行くのである。だから「μ'sの海外進出」ですらないのだ。最後に前回王者としての責任を果たしているだけなのである。
この点は海外パートにおいて一貫して描かれている事であるので、流石に勘違いしている人はいないと思うが、海外パートにおいて最重要ポイントの一つなので少し留意しておきたい。

以上の事を前提とした上で本題に入る。
本作の感想においてしばしば「せっかく海外に来たのにμ'sの九人は何の成長もしていない」と言う意見が散見される。
確かにμ'sの九人はせっかく海外に来たのにも関わらず、何の変化も成長も見せない。海外に来て戸惑う姿も最初だけだ。以降の展開においても環境の変化に戸惑う戸惑いの描写はコメディタッチなものを除けばほぼ存在しない。九人は海外でもいつも通りの九人だし、いつも通り「今できる最高のライブ」をやり通す。そこには「海外という異郷の地で出会ったものからの影響」というものは全くと言ってもいいほど感じられない。異郷である海外都市に秋葉原との共通項を見出している辺り、「新たな出会い」よりも「いつも通り」という事の「再確認」に比重を置いていると言ってもいいだろう。
そういう意味で言えばこの「海外に来たのに何の成長も変化もしていない」という意見は「本編を正しく捉えられている」と言えるだろう。事実、μ'sの九人は海外へやって来たのに何の変化もしていないのだから。
しかしそれはダメな事かと言われると、そうではない。というのも、この海外パートは本作の主題となる物語を展開するための前振りに過ぎないからだ。
確かにμ'sの九人は異郷の地にやってきたというのに成長はおろか変化すらも見せない。いつも通りに練習するし、いつも通りのライブを行っていつも通りの成功を収めてしまう。いつもと違うのは「自分達のためではない」ということぐらいだろう。しかしそんな「海外(=異郷の地)であってもいつも通りの九人である」ということを時間を割いて丁寧かつ印象深く描いていたからこそ「どこででも変わらない九人」と帰国後の「一変してしまっている世界」との間に発生したギャップが物語を生じさせる。そのギャップから生じた「物語」こそが京極尚彦監督が本作で真に描きたかったものなのだ。その事は以降の展開において海外パートの内容が殆ど触れられていない事からもよく分かるだろう。大事なのは九人よりもむしろ帰国後の一変した世界の方なのだ。
したがって「海外へ行ったのに九人は何の成長もしていない」というのは認識としては正しいが、しかし本作の内容に言及する上では「ミスリードしている」として言わざるをえない。本作が本当に描きたい「物語」は「異郷の地で出会ったものによって成長していく」というものではなく、「帰国後の世界の変化」なのだから。

こうした点を意識してみると、本作における海外パートには二つの演出意図ががあるように思う。
一つは「異郷の地でも九人はいつも通りである」という事を印象づけるという事。もう一つは一変した世界を印象づけるために「μ'sを一度外の世界に逃がす」という事だ。
「海外に行く」という事が先に決まっていたのか、それとも描きたい物語から逆算して出てきたものなのかは分からないが、どちらにせよ「海外パート」は本作の中では必要不可欠なものであることだけは間違いない。こうした部分にも意識した上で二度目、三度目の視聴を楽しんで欲しいと思うところである。

   

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8件のコメント

[C1618]

コメント失礼致します。
重隅になってしまうのですがAAのサブリミナルの風景は音ノ木坂校庭ではなくセントラル・パークのシープ・メドウだと思うのですが……


[C1619]

あのサブリミナルはセントラルパークじゃないですか?

[C1620]

>>1618、1619さん

申し訳ない。
その辺は「映像チェックしてから色々考えるか」と思っていた部分がそのまま上がってしまっていたようです。
今予告映像の方で確認しましたけど、確かにセントラルパークのようなので、余談以下は削除しておきました。
  • 2015-07-05
  • 水音
  • URL
  • 編集

[C1621]

「μ's海外公演を受けて一変した世界」と言いますが、そうなると、第2回ラブライブ!の優勝を受けても、μ'sを取り巻く環境は変わらなかったということですよね。
テレビアニメ版の終盤は見ていないのでよくわからないのですが、A-RISEが優勝前から女子中高生以外にも人気があったのにも関わらず、μ'sは優勝したのに国内での反響はいまいちだった(海外公演後、やっと本人たちが自分たちの人気を自覚した)のは、何か理由があるんでしょうか。
第2回優勝者として、A-RISEを差し置いて海外公演をしたぐらいですから、海外に行く前から国内での人気があってもおかしくないと思うのですが…

[C1622] Re: タイトルなし

「μ'sが優勝したのに国内での反響がイマイチだった」というよりも「μ'sが想像していた以上に認知度が上がっていた」と捉えた方が描写的には正しいと思います。海外ライブの様子がテレビやニュースで取り上げられていたり、宣伝活動にも使われており、その結果、「μ'sの認知度は上がり、スクールアイドルの代名詞として想像以上の人気を集めることになってしまった」ということなのでしょう。
あと「ラブライブ!」と言う大会は「ネット投票で出場できるアイドルが決まる」のでμ'sの人気はやっぱりそれなりにはあると思いますよ。A-RISEほどメディア露出が多くないだけで(A-RISEはあの学校の広告塔にもなっている)。
  • 2015-07-21
  • 水音
  • URL
  • 編集

[C1623]

「μ'sは優勝したのに国内での反響はいまいちだった」と書いた者です。
確かに海外公演がマスメディアに取り上げられた結果、今まで以上に認知度は上がったと思います。
しかしUTXのお膝元である秋葉原で出歩けなくなる程度でしたら、出場すらしていない第1期で出待ちが発生したぐらいですから、第2回ラブライブ!優勝時点で達していても不思議ではないと思います。
「海外公演で認知度が上がった」という描写をしたいのは解りますが、余りにも不自然です。
まあ元々『ラブライブ!』というテレビアニメには、全編にわたって「(特撮ヒーローで警察や自衛隊が全く動かないのと似た類の)不自然さ」が付きまとっているのですが。

[C1626]

描写したかったのは「海外公演で認知度が上がった」ではなく、「認知度が上がった」でしょう。アニメ化で人気が出た現実とリンクさせたのだと思います。空港での「どこから夢でどこから現実なのか分からない」からもそういう意図を感じます。

アニメのラブライブという作品は最初から世界観やストーリーに厳密さを求めていないのは明らかです。これが現実の世界にラブライブが、μ'sが存在しているコンテンツの性格と相性がよく、2.5次元的な面白さを作り出しているのだと思います。

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