Entries

『Go!プリンセスプリキュア』トワに見る夢の挫折と再挑戦について

第三次スパロボZ天獄編をプレイ中なのだが、「ゲッター線に触れて早乙女博士が知った進化の真理とは他人を受け入れて共に生きるということ。それを表現したのが三機のメカが合体してロボットになるゲッターロボなんだ」という説明がされて思わず仰け反った。お、お前……凄まじい二次創作だな! でも合理的な説明だ。凄いぞスパロボ。
今回のスパロボは全体的にシナリオのレベルが本当におかしい。「二次創作」として完成度が高すぎる。
一例としては「シャアがアクシズを落とした事で核の冬が起きてしまった地球。環境汚染が深刻なので外宇宙に新天地を求める人達も出てきた。その新天地を求めた人達の中には肉体そのものを改造した人達とロボットを作った人達がいて、その二大勢力が後のヒディアーズやチェインバー達である」とか。こういうレベルのクロスオーバーネタが平行世界の数だけゴロゴロ転がっているんだから凄まじいな。一つ一つの世界だけで一本のスパロボが作れるんじゃないかと思う。
個人的によかったのは『トップをねらえ!』と『トップをねらえ2!』のクロスオーバーで、ノノとノリコが友達になる展開はノノ役の福井裕佳梨の考察した「ユングがノノを作った理由」を汲み取ってのものだし、ネタバレだから伏せておくけど何だかんだで最後の最後までこの二作のクロスオーバーは非常に完成度が高かった。ダイバスター辺りはやりすぎだけどな!
もう少しで終わりのはずだけど、まだクリアはしてないのでクリアしたらまたなんか書きます。



今年のプリキュア、『Go!プリンセスプリキュア』が面白い。ここ最近ではトップクラスの出来なのではないかと思う。
『Go!プリンセスプリキュア』のテーマとなっているのは「夢」だ。主人公である春野はるかを始め、本作に出てくるほぼ全ての人物達は自分だけの夢を持っており、その夢を叶えるために努力を積み重ねている。そんな夢と夢に向かって頑張る人間達を嘲笑する存在が絶望の魔女ディスピア率いるディスダーク。プリキュア達は自身の夢に向かって努力する傍らでそんなディスダーク達と戦っていくのだが、本作を見ていて興味深いのは物語の比重としてどちらかと言えば「夢に向かって頑張る」という日常パートに重みを置いている事だろう。プリキュアとしてディスダークと戦う事が目的になっているのではなく、あくまで「自分の夢に向かって努力する」ということの方が重要なものとして描かれているのだ。この辺りはパワーアップ回やディスダーク三幹部の一人であるクローズとの決戦でも意識されており、日常で学んだ経験や怪物にさせられてしまった人達の「夢への思い」を汲み取って、毎話ともとても上質な物語が紡がれているのだが、ここ最近で特に素晴らしかったのが22話のキュアスカーレット登場回だ。

『プリキュア』における追加戦士の登場回はどれも序盤から中盤にかけての一つのクライマックスとも言うべき物語になっているのだが、今回の『Go!プリンセスプリキュア』のキュアスカーレットは「夢に向かって頑張る」という物語ともきっちりと噛み合わせた上で「一度夢で絶望を味わった」というキュアスカーレットにしか描けない物語となっており、非常に素晴らしかった。
特に素晴らしかったのはキュアスカーレットことトワの罪の意識に真正面から向き合っていることだろう。トワはかつてディスピアにその夢を利用され、ディスダークのプリンセス、トワイライトとして悪逆の限りを尽くした。様々な人の夢を怪物へと変え、はるか達を苦しめてきた。カナタやはるか達の力によってトワに戻れたものの、ディスダークの人間として他人の夢を怪物へと変えた事やホープキングダムが滅びへ向かった間接的な原因になってしまったと言う事実は消えるわけではない。
その事実は罪となってトワを苛んで絶望を力に変えるディスピアのパワーソースにまでされてしまうのだが、これはトワが極めて真面目な性格だったためだろう。誰よりも夢を信じて誰よりも愚直に努力を積み重ねていたからこそ、「ヴァイオリンを上手に演奏できない」という些細な躓きが夢への想いに陰りを生んでディスピアに付け込まれ、そして真面目だからこそトワイライトとしてやってしまった数々の出来事を重く受け止めて絶望して罪の意識で苦しんでしまうのである。
このトワの罪と絶望は「夢を追いかける」という事を尊んだ物語を展開した本作のカウンターとなる物語ではないかと思う。
どれだけ夢を見たとしても、どれだけ努力を積み重ねたとしても夢は叶うとは限らない。トワのように誰よりも真剣にグランプリンセスを目指して努力をしていても、「どうしても出来ない」と言う事は発生しうる。「夢を追う」ということは「夢が叶う」ということを約束するものではないのだ。志半ばで夢を追う事を断念することもあるし、何らかの原因で夢を追いかけることが出来なくなる事もある。
夢を信じて努力を積み重ねていたとしても挫折してしまう事はあるのだ。そしてその挫折の際に発生する絶望は愚直に夢を追いかけていればいるほど強くなる。トワがそうであったように。
誰もが夢を叶えられるわけではないし、挫折してしまう事だってあるだろう。努力を積み重ねていてもどうしても出来ないことはあるのだ。そんな現実を見せつけられれば誰だって絶望的な気分になるだろう。ディスピアが諸悪の根源である事は間違いない。しかしそのディスピアを呼び寄せたトワの絶望や苦しみは決して特別なものなどではない。「夢を追う者」ならばいつかは味わうかもしれないものなのだ。そういう意味では「トワイライト」という存在は夢を追いかけるものの「鏡」だといえる。誰もがトワイライトのようになってしまうかもしれないのだ。
そんな「夢を追うからこその絶望」を本作は逃げずに真正面から描き通す。そしてその絶望を描き通しているからこそ、その絶望を乗り越えてもなお「夢を追いかけたい」というトワの強い意志を美しいのだ。どれだけ挫折してもいい。どれだけ絶望を味わってもいい。それでも諦めきれない夢がある。その「グランプリンセスになりたい」という夢が絶望に沈んだトワを奮い立たせるシーンは本作でも屈指の名シーンだろう。キュアスカーレットへと変身したトワの姿は何度絶望に沈んでも再び燃え上がる夢の力強さと熱さを感じさせてくれる。

またキュアスカーレットへの変身アイテムが専用アイテムではなく、他の三人と同じプリンセスパフュームなのが面白い。
キュアスカーレットも三人と同じプリンセスパフュームなのは「トワもはるか達も同じ夢に向かって頑張る存在」という意味なのだろう。
専用アイテムではなく共通アイテムだからこそ四人の「夢を追いかけている」という共通項を印象づけているし、キュアスカーレット専用アイテムであるスカーレットバイオリンがトワの特別な境遇を感じさせてくれている。こうした物語上の意味付けも含めて、本作のガジェットは非常に魅力的だ。

トワイライトを巡る物語も決着を迎え、トワ=キュアスカーレットも仲間になった。しかしディスダークとの戦いはまだ終わっていないし、彼女達の夢を追いかける物語もまだ道半ば。「夢」を描く本作はどんな結末を迎えるのか気になるところである。



スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://ilya0320.blog14.fc2.com/tb.php/2159-148f6617

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

水音

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

    魔界戦線



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
    @を半角にして下さい

カウンター