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『トライブクルクル』ダンスによる相互理解と魂の継承の物語について

『アイカツ!』の栗栖ここね退場回を今更視聴したのだが、なるほど。上手くやったなぁ。確かに栗栖ここねの性格やキャラクターの立て方を考えると「送別会」というキャラクターではないし、かといって「次に何時出てくるのかわからない」ということを考えると印象に残る別れ方をさせなければならない。その辺りを考慮してみると「ここね自身が感謝を告げる場をセッティングする」というのは「ここねらしさ」と「印象に残る別れ」の両方が描けていてクレバーだ。他とは違う話になっているのも素晴らしいな。
またここねの登場ってユニットカップ編の直前ということもあって、「登場時はどういう感じだったか」が忘れてる人も多いだろうから、「ここね以外のキャラクターにその辺を演じさせることで思い起こさせている」というのも地味だけどいいと思う。忘れてる人にとっては「こんな感じだった」って話になるし、覚えてる人にとってはキャラクターの演じ分けで楽しめるという話になる。一シーンで二度美味しい。さすが『アイカツ!』である。
2015シリーズも次で終わりのはずで、ソレイユと並ぶユニットが二つも発表されているけど、アニメの方ではどうなるのかなぁ。あかり・スミレ・ひなきの三人によるユニットはある程度読めているのでともかくとして、もう一つのユニットはどういう化学反応が起きるのか全く想像がつかないぜ……。



『トライブクルクル』はストリートダンスを題材にしたダンスアニメである。
背は低いがジャンプ力は抜群でダンスが大好きな飛竜ハネルと、高身長がコンプレックスで引っ込み思案な性格だが、ダンス動画を投稿していてネット上では有名人という音咲カノン。二人の主人公がチームを結成した事でダンサー達の世界に出会い、そこで見つけた仲間達とともに、「キング・オブ・ダンス」と呼ばれるトップダンサー、ジェイ・エルを目指して成長していく――と言うストーリーの作品で、現在三十九話まで放送されている。
監督を務めるのは『劇場版 FAIRY TAIL 鳳凰の巫女』で監督を担当し、本作がTVシリーズ初監督となる藤森雅也。シリーズ構成を同枠で2009年から放送されていた『バトルスピリッツ』シリーズ全作でシリーズ構成を手がけた冨岡淳広が担当。また本編は基本的に手描き作画となっているダンスパートでは3DCGIが導入されており、迫力あるダンスを作り上げている。この3DCGIを担当しているのは『劇場版ラブライブ!』にも関わった旭プロダクション。ダンスを本職にしているダンサー達がモーションキャプチャーなどで参加している事もありブレイクダンスやジャズダンスなど本作に登場するダンスはいずれも本格的なものとなっており、「本作ならではのストリートダンス」と「ダンスの面白さ」が見事に表現されている。
本作では冨岡淳広の「急かずに一つづつ丁寧にかつ多面的に掘り下げながらも、着実にストーリーを進行させていく」という持ち味とも言える巧みなシリーズ構成が存分に発揮されているが、題材であるダンスも極めて真面目に取り扱っている。とりわけ「準備運動の大切さ」についてクモがハネルに説くエピソードは、本作の「ダンスへの向き合い方」が顕著に現れたエピソードだろう。後に「クモがなぜ注意していたのか」が掘り下げられた事でクモ自身の思いが載せられた本作でも印象深いエピソードの一つだ。
そんなダンスについて真剣に向き合っている『トライブクルクル』だが、シリーズを通して描こうとしているメインテーマもかなり面白いものとなっている。本作が描こうとしているものは「ダンスで人と繋がり合える面白さ」。そして「魂の継承」だ。
一つ目の「ダンスで人と繋がり合える面白さ」はハネルとカノンの出会いを始めとして「ダンス」が題材の本作では特に大切に描かれている要素だ。ハネルとカノンの出会いもたまたま同じ場所でダンスの練習していた事から始まったものだし、ハネルとカノンを自身のチームに誘ったクモ達ともダンスがなければ出会えなかった。そして彼らはダンスを通じて互いを信頼していき、仲間として認め合っていく。ライバルとなる爆音マシンガンズやチーム桜もそうで、「いけ好かない奴」と思わせておいて、ダンスについては極めて真面目で、彼らの持ち味が存分に生かされた「彼らにしか無いダンス」ばかりだ。そんな彼ららしいダンスを見ているから「ダンスを愛する者」としてどこか通じ合う事で一人一人を「ライバル」と「戦友」の両方を含んだ絆で繋ぎ止めており、一人一人をダンサーとしても、人間としても印象深い存在にしている。主にキャラクターの掘り下げが行われる日常回などにいるゲストキャラクター達においてもこの点が意識されているのも面白い。
一見すると不良にしか見えないクモはそのダンスを通じて子供達と仲良くなる十三話のクリスマス回の描写やダンスに理解がないモミジがユヅルのダンスを見て思い直す十話の天狗回の描写は、「ダンスを通じて分かり合える」という事が意識されていなければ描けなかったエピソードだろう。
二つ目の「魂の継承」は中盤から登場してきた要素だが、本作においては非常に大事なテーマの一つだ。
クモ達トライバルソウルの結成秘話を描いた十五話は非常に分かりやすい形で描かれているのだが、自分では様々な理由で表現できなかったものもそれを見た誰かがその意志を継いで上手く形にしてくれる事もある。自分で精一杯表現してきたことが、誰かの中で思いとなって生き続ける。自分一人では出来なかった事もその想いを継ぐものがいればいつかは成し遂げられるかもしれない。こうしたテーマを感じさせるのがジェイ・エルと密接に絡んだダンスロードだ。
ジェイ・エルと同じステージに立つダンサーを探す目的で開催されているダンスロードだが、そこで提示されるテーマの数々は「ジェイ・エル」と言うダンサーと密接に絡みついたものだ。それはつまり勝者はよりジェイ・エルに近い存在へと近づいていく、思いを受け継いくということでもある。ジェイ・エルだって人間である以上いつかは死ぬ。しかしそんなジェイ・エルが追い求めた「世界平和」はダンスロードを勝ち抜き、ジェイ・エルの思いを受け継ごうとする存在たちによって受け継がれていくのだろう。そしてその夢は受け継いだ者達によっていつかは形を成す。
ジェイ・エルだけの話ではない。クモが「トライバルソウル」と言う名をチームに付けたのも怪我で踊れなくなってしまったダンサーの夢=魂を継いだからだ。こうした「魂の継承」を本作は度々意識させてくれるが、それにより非常に熱いものをダンスの中に感じさせてくれる。こうした部分が『トライブクルクル』の少年漫画のような面白さを支えてくれているのだ。

ジェイ・エルが作中で初めて見せたダンスは見ていて「優雅で気持ち良い」と感じさせるものになっているなど、物語だけでなくダンスパートにおいても非常に質の高い物を見せてくれる『トライブクルクル』。自分は友人に勧められて視聴を再開したのだが、面白すぎて他のアニメの視聴が間に合ってないぐらいに楽しんでいる。本放送ではまもなく物語も終幕に差し掛かりつつあるそうだが、今から追い付くために頑張りたくなるほどに魅力溢れた作品だ。
この後どうなるのだろうか。楽しみだ。

 




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