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世界を拡張するアップデート――『アイカツ!』2015シリーズについて

メガヒットとなっている『マッドマックス 怒りのデスロード』だけど、尼崎の塚口サンサン劇場が特殊ルールの上映会をやるらしい。「絶叫上映会」や「最叫上映会」「熱唱上映会」など演目によって名前は色々変わるけど、映画の楽しみ方というのは多様になってきているのでこういう特殊ルールの上映会が定着することはいいことなんじゃないかなぁ。何よりこういうのは自宅じゃ絶対に出来ないことで、映画館でしか出来ないことでもある。ただ「映画が見れる」以上の何かが今の映画館に求められているように思うし、こういう特殊ルールの上映会は映画だけでなく映画館そのものを活性化させるいいアイデアだと思うんだよね。立川シネマシティの極音上映会もそういうたぐいの上映会で、こちらもかなりの人を集めている。こういうアイデアを大事にするべきだと思うんですよ!
『アイカツ!』も22日に公開される映画はスマホアプリ連動でサイリウム機能を持たせて、イベントのような演出へともっていくようだし、色々楽しみだなぁ。もちろん『プリパラ』も楽しみなんだけど、まずは『アイカツ!』だよ『アイカツ!』。
しかしいくら特殊ルールと言っても『マッドマックス』の「クラッカーOK」は担当者までマッドすぎる事例ではなかろうか。そこに許可出すのは一周回って面白いぞ!



2012年10月25日に稼働開始したアーケードゲーム『アイカツ!』も今年の10月で四年目に突入する。
「三年」と言う時間を長いと見るか短いと見るかは人に依るだろう。しかしアニメと共に歩んできて、『妖怪ウォッチ』のヒットに端を発する妖怪ブームにも負けず、10月に無事に三年目を終えて四年目に突入しようとしている、という事は地味ではあるが凄いことではないだろうか。
『オシャレ魔女 ラブandベリー』ですら人気の低迷により四年で終わったというのに、『アイカツ!は「全国ツアー」など新要素満載の内容で終わる気配すらも感じさせていないのだから驚くばかりである。
『アイカツ!』がこの勢いを維持出来ているのは「一年ごとのテーマ」を戦略的に展開できているからだろう。
このテーマとは鍵となるカードに記されたファッションの方向性だけではない。ゲームシステムにおいてもテーマが据えられており、そのテーマに沿ったアップデートを行っている。2014シリーズにおける「星座の証」などはそうしたテーマに沿ったシステムアップデートの典型的な例の一つだろう。そのシリーズ全体を貫くテーマがあるから、『アイカツ!』は「迷走」と言う言葉とは無縁の、堂々たる歩みで三年目を無事に終えようとしているのである。
そんなテーマに基づいた戦略的なアップデートを行う『アイカツ!』だが、個人的にゲームシステム面での介入という点で一番凄かったのは今年三年目の2015シリーズではないかと思う。というのも、この2015シリーズは「『アイカツ!』における「物語」をより具体的な形で強化する」と言う方向でのアップデートを行っていたからだ。

2014シリーズまでの『アイカツ!』はゲーム側が提供している物語的な要素が非常に薄いものだった。
かろうじて物語といえるのは「アイドルとしてライブや仕事をこなしてファンを獲得してアイドルランクを上げていく」ぐらいで、それ以上のものはなく、せっかくユーザー一人一人に愛着を持ってもらうように用意されていたマイキャラも有効的に活用されていたとはお世辞にもいえなかった。
またゲーム中に他のユーザーを意識する局面もなかったと言ってもいいほど、一人のユーザーのプレイの中で完結したものとなっていた。他のユーザーを意識する瞬間というのはせいぜいランキング画面と二人プレイをする時ぐらいで、それ以外で他のユーザーを意識する事はないデザインになっていた。それはそれでゲームデザインとして間違っているわけではないのだが、せっかく「スターライト学園に通うアイドル」という設定を持つマイキャラを用意しているのに、それをゲームにおいて全くといっていいほど生かせてなかったのである。
そこで2015シリーズで行われたのがそのマイキャラという要素の強化だった。「一要素の強化」といってもそのアプローチは様々な方法があるが、『アイカツ!』が行ったのはマイキャラの「物語性の強化」で、これにより『アイカツ!』は大きく様変わりすることになった。

まず2015シリーズの幕開けとなる第一弾で行われたのは通信機能の強化だ。
今までの『アイカツ!』はオンライン機能こそあるものの、それは部分的にしか使用されてこなかった。2015シリーズに入って行われた通信機能の強化によって、『アイカツ!』は完全なオンライン化を成し遂げ、以前までは性能不足により出来なかった様々な事が可能になったのである。
このオンライン化によって可能になった事は多岐にわたる。第四弾から実装されている「アニメの内容に合わせたステージがプレイできる」などもその一つだろう。そんな「完全オンライン化によって可能になった事」の中でも特に大きかったのは「全国各地のユーザーのマイキャラとユニットを結成してオーディションができるようになった」という事だ。
今までの『アイカツ!』では、ユニットでオーディションをする際にはマイキャラを含むアニメにも登場するアイドル達の中から数人を選択してユニットを結成していたのだが、2015シリーズからは他のユーザーのマイキャラともユニットが組めるようになったのである。これは「ユーザー同士の繋がりを意識させるゲームシステムへの変化」と言っても過言ではないほど大きな変化であり、『アイカツ!』にとっても革新的な試みであった。
何より大きいのはマイキャラに「他のユーザーとの架け橋」という重要な役割が与えられたことだろう。今までは本当にいるだけで、特に役割を与えられていないこともあって存在感の薄い存在だったが、2015シリーズからは「他のユーザーから呼び出される存在」になったことで「ユーザーの代理になる存在」として動き始めたのである。
マイキャラが他のユーザーとの架け橋と言う役割が与えられた事により『アイカツ!』のゲーム中にも横軸の物語が発生したのも面白い。この横軸の物語の追加により「自分だけのアイドル活動」という『アイカツ!』が提示する物語は広がりが発生し、ゲーム内においても「アイドルの多様性」を獲得したのである。

そして2015シリーズの後半戦開始を告げる第四弾からはストーリーモードが実装された事で縦軸の物語、つまり成長や時間経過が『アイカツ!』の世界に加わった。従来までの『アイカツ!』では「アイドルの成長物語」としての側面をアイドルランクとファン数によって表現されていたが、2015シリーズ第四弾から追加されたストーリーモードではそうした成長物語がより具体的な形で表現されており、「アイドルの成長物語」はかなり具体的かつ分かりやすい形で提供されている。
このストーリーモードの良い点はユーザーにスタッフから物語を押し付けていない絶妙なさじ加減にある。
そのため、ユーザーは自分の分身となるマイキャラを通した「自分自身のアイドルストーリー」を紡いでいく面白さに気づくことが出来るのだ。
また期間限定イベントをストーリーモードにまとめている点も素晴らしい。栗栖ここねなど新キャラクターと仲良くなる過程をこのストーリーモードでみせておく事で「使用できるようになった」というよりも「あのアイドルと友達になった」という要素が強く出ており、「アニメにも出てくるキャラクター」ではなく「一人の人間」として印象づけている。
「ユーザー一人一人のアイドル活動を大事にするゲームデザイン」は同じハ・ン・ドが開発した『アイカツ!365日のアイドルデイズ』でも見られた点だが、2015シリーズではそれをアーケードゲーム用に最適化した形で導入しており、マイキャラを育成する楽しさが格段に向上。非常に遊びやすく、そして繰り返しプレイしたくなるようなゲームへと進化を遂げたのである。
そしてこの縦軸の物語性は四年目となる2016シリーズではロードムービーと言う能動性のある物語へと変化するようだ。
この展開から見るに、おそらく二年がかりで計画されていたと思われるため、非常に楽しみなところである。

『アイカツ!』の2015シリーズを評するとすれば、「ユーザー同士の繋がりという横軸の物語と成長などの時間が関わる縦軸の物語の両方を実装した、コンテンツの内包する世界の拡張」といったところになるだろう。
リズムゲームとしての出来は非常に高い『アイカツ!』だが、そのゲームの世界には発展する余地があまり残されていなかったように思う。
しかしこの2015シリーズからは違う。ストーリーモードに完全オンライン化など、2015シリーズから実装された数々の要素によって、世界に発展するために必要な余裕が幾つも誕生した。四年目の展開はこの余裕を利用したからこそ出来たことなのではないだろうか。

2016シリーズも楽しみになる『アイカツ!』。まずは稼働開始したばかりの2015シリーズ第六弾を楽しんでいきたい。

 


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