Entries

『少年ハリウッド』一挙配信に寄せて――ベストエピソード五選について

夏コミが終わって冬コミの準備が始まるといういつもの感じですけど、ひとまずお疲れ様でした。一日目は原宿もといパラ宿で『少年ハリウッド』&『プリパラ』『プリティーリズム』の聖地巡礼をしてから参加だったんですけど、評論島が一日目だったおかげで色々大変でした。いい意味で。まあ午前中のプリズムストーンとアイカツスタイル原宿店での買い物の方が買い込んでいたのは否定しないんだけども。熱中症対策のために買い込んだ『幻の梅レッドフラッシュ』、万能ですなー。
二日目は『プリパラ』を見て、プリパラをプレイしてからの出撃だったんで大したことはなく、三日目もいつも通りと言えばいつも通りな感じで。場所が東だと聞かされた時は「対策を打たないと死ぬな」と覚悟を固めたんだけどなぁ・



少年ハリウッドは原宿にある劇場、ハリウッド東京で活躍するアイドルグループである。現在活動しているのは十数年前に解散した初代からバトンを受け継いだ二代目達で、彼らの今この瞬間にしか表現できない輝きは非常に魅力的なものがあるのだが、そんな「二代目少年ハリウッド」達が一人前のアイドルとして成長していく姿を描いたアニメ作品が『少年ハリウッド』である。
2014年7月から9月にかけて放送された第一期シリーズと2015年1月から3月にかけて放送された第二期シリーズの二つの作品にて成立している本作は、ロトスコープなどアニメでしか出来ない技法を積極的に取り入れた事で生っぽさと虚構っぽさの絶妙な調和を生み出し、細部にまで書き込まれた原宿の風景で、「少年ハリウッド達の活躍する世界」と「我々の暮らす世界」が地続きであることを実感させてくれる。非常に意欲的かつ挑戦的な試みが行われ、その全てに必然性が宿る本作を語る言葉は「傑作」の二文字以外にあり得ないだろう。それほどまでに『少年ハリウッド』という作品は「少年ハリウッド」という存在が今この世界にいることを訴えていたのだから。
そんな『少年ハリウッド』が8月17日から20日の四日間にかけてニコニコ動画で一挙配信を行うようだ。

8月17日(月)から8月20日(木) 「少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49-」「少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 50-」 夏休み一挙放送決定!!

ファンであるオレンジ達はもちろん、これまで少年ハリウッドに触れてこなかった人達にも是非見ていただきたいところだが、一期と二期を合わせて二十六話もあるため手を伸ばしづらいと感じる人もいるだろう。そこで私見になってしまうが、『少年ハリウッド』という作品の中でも特に傑作だった話を五本ほど紹介させていただきたい。
この話を見れば『少年ハリウッド』がどれだけ真に迫っているか。そしてどれだけ楽しい作品であるかが分かる筈だ。

■二話 嘘が輝く時

まず最初に取り上げたいのは第二話となる「嘘が輝く時」である。
第一話で「アイドルの自己紹介は恥ずかしいもの」「しかし恥ずかしい事を照れることなく全力で堂々とやるからこそ、アイドルはアイドルなんだ」という事を描いていて、既にアイドル物としてはかなり「熱い!」と言えることをやっているのだが、この二話で描いているものは「アイドルと一般人の住む世界の違い」なのである。
アイドルと一般人の住む世界は違う。どれだけ本人が「住む世界が違う」ということを拒んだとしても、やはりアイドルと一般人が住む世界は違うのである。その事をこの二話ではスニーカーに例えて描き切っているのである。またそれをシャチョウから聞かされたアイドル側も「そういうもの」として受け入れるのではなく、「住む世界が変わっていく事を恐れている」というのも大事な点だろう。
こうした描写の一つ一つがステージの上で変わっていく彼らに輝きを与えていくのである。

■十話 ときめきミュージックルーム

前述したように『少年ハリウッド』は意欲的かつ挑戦的な試みが非常に多く見られる作品だ。
五話の「エアボーイズ」では一話丸々「エアボーイズ」という演劇になっていて、画面も基本的にはやや斜め下からの煽りアングルに固定された作りとなっている。この煽りアングルは「エアボーイズ」を見に来た観客達の視点そのものであり、少年ハリウッド達が全力で見せる舞台演劇への没入感と臨場感を生み出していたのだが、この十話はなんと「一話丸々音楽番組」なのである。
いかにも深夜ぐらいにやっていそうな作りの音楽番組ではあるのだが、「一話丸々音楽番組」という形にするからこそ見えてくるものもある。それは「少年ハリウッド達が今この瞬間を生き続けている」という実在の証明である。
この十話を見る者達は『少年ハリウッド』という作品に登場する多くのファンと同一化される。十話を見る視聴者は作中世界で「ときめきミュージックルーム」という音楽番組を見る存在と同じなのである。そして同じになるようにこの作品は見事なまでにデザインされている。
一例としては『ミス・モノクローム』に登場するミス・モノクロームが本人そのものとして出演している事が上げられるだろう。
「本人役」ではなく「本人」として出演しているからこそ、同じ番組に出演している少年ハリウッド達もまた実在する存在として認識させられてしまうのである。
ただ一つ残念なのはこの十話はCMも込みでデザインされているという点だ。
ミス・モノクロームが出演した後に「ミス・モノクロームの新シングルのCMが入る」という事がその実在性を引き上げていたのだが、おそらくソフト基準になってしまう一挙配信ではこの辺りについてまで綺麗に再現することはなかなかに難しい。出来れば再現してほしいところではあるが、とはいえこの十話の奇抜さと必然性は『少年ハリウッド』以外では出来ないことの一つ。「この辺りでCMが入ったんだな」と補完しながら「少年ハリウッドがいる」という感覚を楽しんでほしい。

■十六話 本物の握手

「握手会」というのはアイドルが行うイベントの中でもポピュラーなものの一つだろう。アイドルとファンが握手が出来るほど近づくのは握手会ぐらいのものだろう。しかしなぜ「握手会」というイベントは行われるのだろうか。そしてその「握手」の意味とは一体何なのだろうか。
そんな疑問に真正面から向き合い、握手の意味を問い直した話がこの十六話「本物の握手」である。
「偶然出会ってしてもらうからいいのに、握手会で握手をしてもらうのはどうも違うような気がする」と「握手会」というイベントに否定的な見解を示すシャチョウが考えた原宿全てを使う握手会の中で、アイドルは見つける。握手会の「握手」の意味を。そしてその「握手」がファンにとってどれだけの意味を持つものなのかを。この話の中で面白いのはファンにとって「いつまでも自分の手の届く範囲にいることが幸せであるとは限らない」という事が言及されている事だろう。
むしろファンにとっては「手の届かない場所に行ってほしい」ものなのだ。なぜなら「手の届かない場所に行く」ということは、自分の応援するアイドル達が人気者になっていく事の証明以外の何物でもないのだから。そしてそんな人気者が人気者ではなかった頃に交わした握手はファンにとっての何よりの宝物となる。
その事を一話の中で見事に描き切っているこの十六話はアイドルのみならず、一度でも何かを応援したことがある全ての人に視聴してほしい一話である。

■二十話 僕達の延命

「慣れる」というのはアイドルにとって一番危ない状態である。なぜなら「慣れてしまう」ということは、それだけ「普通」になってしまうからだ。アイドルとしてデビューしてからしばらく経った今だからこそ投じられたセンター争奪戦。そんなセンター争奪戦の意味を問うこの二十話は「アイドルにとっての「今」というものの価値」を見つめなおす一話となっている。
この話で注目したいのはやはりセンターを奪われたある男の涙だろう。どれだけ平気な顔をしていても、やはり悔しいものは悔しいのだ。しかし悔しいからこそ、次こそはと一念発起出来るし、次のセンターを務める者にセンターとしての責務を語ることができる。
人間というものは環境に絶対に「慣れる」。慣れるということは「今が永遠に続く」と思い込むという事でもある。
アイドルにとって致命的ともいえる「慣れ」に対して抗い、そしてだからこそ頑張る姿にこそ「アイドルであることの輝き」が宿るのである。

■二十六話 HOLLY STAGE FOR YOU

『少年ハリウッド』には素晴らしい話が幾つもあるが、その中でも特に素晴らしい一話はと言われればやはり最終話でありクリスマスライブの様子を描いた「HOLLY STAGE FOR YOU」以外にないだろう。なぜならそれほどまでにこの最終話は最初から最後まで『少年ハリウッド』らしい一話だからだ。
この最終話の素晴らしい点は幾つもある。絵コンテのカット割りも冴えているし、惜しむことなく投入された数々のアニメ技法が最大限に生かすべく設計された演出プランも最高である。しかし何より最高なのは最初から最後まで「少年ハリウッドが少年ハリウッドとして少年ハリウッドであろうとする姿」を描き続けているからだ。
本作は二代目少年ハリウッドとして選ばれたごくごく普通でちょっと顔がいいだけの少年達が「アイドル」という存在へと変化していくまでを描いた物語である。そこには年相応の少年らしさや年に見合わないアイドルらしさがあった。それはまさしく本作のテーマソング(と言ってもいい)「永遠 never ever」が歌っている事そのものだ。
「時間は有限なのに存在は無限であることを求められる」というアイドルの辛さも喜びも全部味わって、この最終話で少年ハリウッド達は少年ハリウッドとしてステージに立つ。少年ハリウッドは時間を受け入れ、そしてこの最終話で永遠となった。
その永遠の始まり(と終わり)を描いたこの最終話を持って、少年ハリウッドはまた生まれた。
少年ハリウッドがこの最終話で見せたその「有限で無限の輝き」は視聴者が覚えている限り、ずっと永遠なのだ。



『少年ハリウッド』は終わっても「少年ハリウッド」というアイドルは終わったわけではない。すでに小説で続編の制作は決定しているし、ファンクラブも無事にスタートを切った。「HOLLY TRIP」で歌っている通り、我々ファンの前にどれだけの時間をかけてもきっと再び必ず現れるだろう。
その日を楽しみにするためにも、この一挙配信を楽しんでいきたい。
この一挙配信もまた彼らの「今」を、そしてファンにとっての「今」を更新するものなのだから。

  
スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://ilya0320.blog14.fc2.com/tb.php/2169-2501d54b

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

水音

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

    魔界戦線



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
    @を半角にして下さい

カウンター