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『ミリオンドール』ライブで演出されるアイドルとしての実力差について

今期は性癖というか欲望に忠実なアニメが多くて面白い一期ではないかと思う。モンスター娘を描いた『モンスター娘のいる日常』にやたらロリ描写に力の入った『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 2wei Herz!』、B級映画な怪物の代名詞的存在であるゾンビ!な『がっこうぐらし!』に、世間的には変化球に入る小林少年像を創りだした『乱歩奇譚』、ジャンプの規制に果敢に挑み、アニメでも自主規制の限界に挑みすぎている『To LOVEる-とらぶる-ダークネス 2nd』があるとかちょっとどうなんだ。おまけに『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』も今期だし。
まあロボットアニメが集中する時期もあったし再放送を込みにすればアイドルアニメが毎日のようにやっている時期もあったわけで、今期はたまたまそういう特殊性癖もとい己の欲望に忠実な作品が集中してしまっただけなのだろう。「アニメの本数自体は増えているのだからたまにはそういうこともある」と割り切るしか無い。割り切るしか無いんだけど、もうちょっと散らしてもよかったんじゃないかな! まあどれも面白いからいいか。

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■とらのあな - パーフェクトスマイル



「リアルすぎるアイドルアニメ」として7月よりショートアニメとして放送されている『ミリオンドール』。WEB漫画雑誌『GANMA!』にて連載中の同名の原作をアニメ化した本作は、前述したリアルさを全面に押し出したキャッチコピー通り、地下アイドルや地方アイドルの現場の空気感をリアルに表現しており、メジャーシーンに飛び出す前のアイドル達の「今」とそんなアイドル達を応援し、より凄いステージへと導かんとするファン達の熱い「今」を感じさせてくれる作品に仕上がっている。
そんな本作の見どころの一つが毎話でオープニングとして使用されている3DCGIによるライブパートだ。
このライブパートの制作を手がけるのは旭プロダクション。最近では2014年10月より放送されているサンライズのストリートダンスアニメ『トライブクルクル』のダンスパートを手がけるなど、実績と技術力には確かなものがある制作会社である。特に『トライブクルクル』では難易度の高い振付をダンスとして見せ切っており、「旭プロダクション」という制作会社の技術レベルの高さがよく分かる映像となっているのだが、しかし『ミリオンドール』で一話から三話、五話の劇中で使用されたイトリオのライブパートに関して言えばモデリングはともかくとして、アニメーションの質としては余り高くないものとなっている。ダンスモーション自体もキレがないしカメラワークもメリハリが全くついていない。総じて言うなら平坦で退屈なものであり、面白みに欠けている。そのため、このイトリオのライブパフォーマンスを描いたオープニングアニメだけに関していうなら自分も「正直退屈」と言わざるをえない。
しかしそれは「単独で見た場合」である。なぜなら、このオープニングアニメの価値とは、六話以降から使用されているマリ子のライブパフォーマンスの様子を描いたオープニングアニメと比較した時に初めて発揮されるようにデザインされているからだ。
マリ子のパフォーマンスを描いた六話以降のオープニングは三話以前までのものとは明らかに演出のレベルそのものが異なっている。
ダンスモーションのキレも意識されているし、音との一体感もイトリオと比べると格段に上がっている。特に大きく変化しているのはカメラワークとカメラアングルだ。振付に合わせてズームをしていたり、観客席を一緒にフレームの中に収めていたりと工夫が見られる。また正面から背後への回り込みなども六話以降のオープニングにしかないもので、迫力のあるアニメーションとなっている。
マリ子とイトリオ。作中では対比を意識させる描写が多いが、なぜオープニングでまで対比させるような事をやっているのか。
それは両者のパフォーマンスを対比させることで、マリ子とイトリオの実力差をはっきりさせるためだろう。
マリ子と比べるとあまりにもイトリオのパフォーマンスのレベルは低い。オープニングを見れば一目瞭然だ。イトリオよりもマリ子の方が圧倒的に出来がいい。比較対象にすらならないほどマリ子の方が映像として「面白い」のである。
これはまだアニメでは描かれていない部分ではあるのだが、原作におけるイトリオとマリ子の実力差と重ねる事が出来る。
原作においてもイトリオとマリ子は事あるごとに対比させられているし、メジャーデビューがかかった一席の椅子を奪い合うライバルである。しかしその実力差はマリ子の方が圧倒的に上であり、イトリオはマリ子に比べると低いものとして描かれている。その実力差はあまりにもありすぎて、「上手くなりたい」という気持ちばかり先行して思わずきつい言葉をかけてしまうほどに、イトリオからみてもマリ子のパフォーマンスのレベルは高いのだ。
「そんなマリ子とイトリオの実力差をアニメでも描く」となった時に原作と同じようにセリフで説明していても伝わりにくいし、なにより「アニメ(=映像作品)であること」の意味が無い。
「アニメである利点を活かした実力差の演出」。その結果、選択された演出がこの「イトリオとマリ子、二人のライブをオープニングアニメにしてしまう」ということなのだろう。オープニングであれば毎回見る事になるし、変化すれば以前までのものと比較させる事ができる。本編でライブを直接描かずとも「実力差」というものを匂わせる事ができるのである。通常のアニメよりもずっと短い本編の時間の中で、必要な物を伝えるためのアイデアとしてはなかなか良いアイデアではないだろうか。

とはいえ、このまま「イトリオよりマリ子の方が上」というだけを演出して終わってしまっては対比させていることの意味が無い。
ここまでやったからには「イトリオのパワーアップ」と「パワーアップしたイトリオのパフォーマンス」を見せなければ、両者のライバル関係は意味を成さないのだ。おそらくその準備はあるのだろう。お披露目の日を楽しみにしていきたい。

 
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