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『Fate/Grand Order』人の生きた証を取り戻す戦いのほろ苦さと面白さについて

『サモンナイトメモリーズ』が10月28日でお亡くなりになるとか辛いものがあるな。確かにリリース直後のバグまみれでまともなプレイすら出来ず、ちょっとした操作をするだけで再起動。ログインボーナスでもバグが発生して挙句の果てに再起動ループに突入した時は流石にどうかと思ったし、ゲームシステムも戦略シミュレーションな『サモンナイト』なはずなのに、敵を選択するだけで勝手に動いてしまい、位置取りがクソ過ぎて袋叩きにされるみたいなことはあった。修正要項がユーザー案内の中に入っていたりと随所で「納期優先でデバッグすらしてないんだろうなぁ」感は否めなかったし、終了については「残念ながら当然と言わざるをえない。むしろリリースから約9ヶ月なら持った方では?」と思うけど、そういうモバクソゲー案件でもやっぱりそこそこには愛着はあるのである。バグ修正時にもらった詫び石で回したらSSRが出て嬉しかったし。あとアティ先生は素晴らしかったし。
もはや色々なところに難ありとしか言えない「何か」だった『サモンナイトメモリーズ』だけど、『サモンナイト6』の発表とほぼ同時に終了という辺り、最低限の役目は果たせたのかなーと思うわけです。その最低限の役目というのはつまりシリーズの継続的な話題作りという事です。こうして「終了」となった時に「え、終わるの?」という声が聞こえた事は、少なくとも何の注目もあびることなく消えていったソシャゲ達と比べれば遥かにマシなのだと。そう思うのですよ、少なくとも俺は。
それにしても今年は『ファンタジスタドール ガールズロワイヤル』など、そこそこ長く続いたソシャゲが終了することが多くて悲しいなあ。リリースされているタイトルも多いけど、その中の何本が生き残れるのやら。『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』や『Fate/Grand Order』あたりは大丈夫だと思うけどね……。特に後者については一年は戦い抜いて欲しいところです。



2004年1月に発表された『Fate/stay night』は、その「古今東西の英雄達が時代と場所を飛び越えて、自身の願いを叶えるためにバトルロイヤルを繰り広げる」というコンセプトに魅了された人々により、前日談となる『Zero』やSF解釈に依る外伝となる『EXTRA』に、七対七の英雄達に依る大戦と化した『Apocrypha』など様々な作品が作られ続け、ゼロ年代を代表するシリーズとなった。
発表から十周年を迎えた2014年にはアニプレックス、ufotable、TYPE-MOONの三社合同企画となる「Project Fate/stay night」が始動開始。シリーズ全ての大本となる『Fate/stay night [Realta Nua]』がスマートフォンアプリ、テレビアニメ、劇場版アニメの三つのメディアで再び描き直される事となった。この「Project Fate/stay night」はまさしく「十周年」という節目に相応しい一大企画となったわけなのだが、一方で十年の中で陽の目を浴びること無く埋もれていった『Fate』もある。
『Fate/Online』である。
ネットゲームとして企画されていたこの『Fate』だが、諸事情により企画は頓挫。登場する予定だった一部のサーヴァント設定のみ語り継がれ、スピンアウト作品となる『Apocrypha』で一部のサーヴァントは陽の目を浴びたものの、その全てが語られることは無かった。そんな『Fate/Online』のリブート作品となるのが『Fate/Grand Order』である。
『Fate』シリーズの生みの親である奈須きのこに二つの勢力に分かたれた英霊達による聖杯大戦を描いた『Apocrypha』を執筆した東出祐一郎、現在『Fate』シリーズの原型となる『Prototype』の外伝となる『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』を執筆中の桜井光など、『Fate』と縁の深い数々のクリエイター達によって、「ソーシャルゲーム」と言う今までとは異なる舞台で描かれる『Grand Order』という『Fate』は、『Fate』というシリーズの集大成といっても過言ではないほど熱い作品となっている。
西暦2015年。人類の繁栄を秘密裏に見守っていた人理継続保証機関・カルデアは2016年に人類の滅びを観測してしまう。調査を調べる内に2004年の日本の地方都市――冬木市に出現した「聖杯」が原因であることを突き止める。人類を存続させるため、カルデアは試験段階ではあるものの理論上は可能な時間遡行を行うことを決断。ひょんなことから時間遡行する候補に選ばれてしまった主人公は、人類絶滅を阻止するための「聖杯探索」をすることになるのだった――という導入で幕を開ける本作のテーマとなるのは「人類」である。
歴史の分岐点に現れた聖杯によって失われてしまった人類の歴史を取り戻し、人類絶滅の未来を書き換える本作の物語は時間SFの中でも「歴史修正物」に分類されるものだろう。
「何らかの原因で捻じ曲げられてしまった歴史を遡り、原因を取り除いて修正することで絶望的な未来を回避する」。
SFではたびたび見かける物語ではあるのだが、本作が描くのは「歴史を捻じ曲げてしまった者達との戦い」ではなく「聖杯によって捻じ曲げられた歴史の中で抗う人類の姿」なのだ。
サーヴァントと化した英雄達にワイバーンなどの竜種にスケルトン。本作に登場するのはいずれも怪物や超常の存在ばかりだ。聖杯によって呼び出されたサーヴァント達はいずれも化物的な強さを誇るし、代名詞となる宝具は強力無比の一言に尽きる。同じようにサーヴァントを率いる主人公達ですら苦戦必死の強敵ばかりであるが、時間遡行の中で出会う英雄達はそんな強敵にすら立ち向かっていく。己の信念や民を守るために怪物達に挑みかかる人々の姿は、聖杯によって失われた「人類史」というものがこうした「当時を生きた人々によって作られたものである」ということを思い出させる。「歴史を取り戻す」ということはすなわち「彼らの生きた証を取り戻す」ということ。失われた歴史の中で抗い続ける彼らの姿を鮮烈に描く事で、聖杯を手にしてそんな「生きた証」を無かった事にする敵に対しても「倒さなければならない!」という意識を持たせてくれる。だが本作が面白いのは敵がどこまでいっても「人間らしい感情に基いて行動している」という点で、そんな「敵の人間臭さ」が「「人類を救う」と言う大義のために修正していく」という物語に少しのほろ苦さを生みだしている。
第一章の邪竜戦年戦争などはまさにそのほろ苦さが面白いストーリーで、「歴史を修正する」という主人公達の使命にある種の冷酷さがある事とそうして切り捨てることへの苦さが教えてくれる。魔道に堕ちる以前のあの人物がこちらの味方になる事もあって、そうしたほろ苦さがまた熱く、そして本作が『Fate』であることを思い出させてくれる。
こうしたほろ苦さをこらえながら前へと進む意思こそがFate(=不運な運命)らしさ、というものなのではないだろうか。
第二章では皇帝ネロがサーヴァントとして復活を遂げた歴代皇帝達による連合国、ローマ連合帝国と戦いを繰り広げる。現在のローマを作り上げた英雄達ということもあって、ネロの気持ちを考えれば非常に苦い展開となっているが、それだけに今のローマの人々を守るために戦うネロや彼女を支持する英雄達の姿も魅力的に描かれている。自分はまだ完結まで読んでないが、今後を読み進めるのが非常に楽しみだ。ウェイバー・ベルベットことロード・エルメロイ二世が若かりし頃のイスカンダルの参謀になるとか二次創作的にも熱すぎである。最高か。
なお第三章ではそんな征服王イスカンダルが追い求めたオケアノスが舞台になるという。実装はまだされていないが期待したいところだ。

最後にゲームシステムについて書いておくが、シンプルで戦略性は高く、遊びがいのあるシステムとなっているように思う。
パーティに参加させたサーヴァントごとに持つ固有のコマンドカードによって形成されたカードデッキを使い、毎ターン手札から三回サーヴァントに支持を出して敵を殲滅させる。やることとしてはほぼそれだけなのだが、サーヴァントが持つコマンドカードは本当にバラバラであるため、デッキ構成に凝るだけの価値がある。「毎ターンに近い頻度で宝具を使用できる」などのプレイも出来たりするのも面白いところだし、スキルも組み合わせることでサーヴァント同士に思わぬシナジーが発生したりと発展性もある。相性バトルの関係で「こいつだけいればいい」ということが発生しにくい点も良い点だろう。あまりにもバーサーカーが強すぎるせいで、バーサーカー一強感が否めない点は流石にあるが、それでもボス戦では相性を考えなければ楽勝で蒸発する。そのため、色々試行錯誤する事で生まれる面白さもあり、大変楽しい。もっとも、覚醒用アイテムは絞り過ぎているので、そろそろ英雄王の出番ではないかとも思うのだが。あと実装してないアイテムが多すぎるので早く実装してください。再臨出来ないキャラが多くて育成が止まってしまい、色々辛いです。

現在300万ダウンロード記念として9月30日までに始めれば英雄王がSRサーヴァントを恵んでくださるそうなので、始めるのならば今しかないだろう。
『Fate』が好きな人ならもちろん、興味がある人ならば今こそ是非ともプレイしていただきたいところである。

ところで第一章のマリーアントワネットとモーツァルトのやり取りが、もはや完全に「小学生の頃にした初恋を二人が大人になってから振り返る」と言う奴で大変面白かった。本作におけるマリーは本当に素晴らしいキャラであるため、是非ともマリーとモーツァルトが出てくるところまで薦めていただきたい。
でも英雄王からはマリーよりヘラクレスかタマモキャットを貰ったほうがいい。強いなんてものじゃないから。



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