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『とびだすプリパラ み~んなでめざせ!アイドル☆グランプリ』3D映像と妥協しない精神が生み出した「イベント型劇場版アニメ」の完成形について

『ゆるゆり』三期。一期、二期と比べると、三期は明らかに別の方向へと舵を切っているように思う。二期までを「百合+ハイテンションギャグアニメ」だとするなら三期は「百合コメディアニメ」。百合をネタにしたギャグだった二期までと比べると、三期は百合をスパイスにした上質なコメディアニメとなっており、キャラクターの掛け合いも前作よりもテンポを抑えられて「やり取りそのものの面白さ」ではなく「掛け合いの微笑ましさ」がある。
こうした舵取りが行われたのはメインスタッフの大半が交代したからなのだろうけど、二期までと比べると三期は非常に見やすい作品になっているように思う。その分、百合要素は控えめになっているようにも思うけど、要所でスパイス的にコメディとキャラの魅力を引き出しているため、これぐらいの味付けでも十分なんじゃないかな。二期みたいにとにかくマシマシみたいな作風よりは個人的には好感が持てる。一話辺りの構成も上手く、全体の中でまとまった印象があるのもよいところだ。
個人的にダメなところはOPぐらいか……。こればかりは好みの問題なのだが、俺はあんまりだなぁ。まあ『ごちうさ』のOPも一期の方が好きだったので、本当に好みの問題なんだけど。



『劇場版プリパラ』『アイカツ!ミュージックアワード』と展開されてきた「イベント型劇場版アニメ」の歴史にまた新たな作品が加わる事となった。
その作品の名は『とびだすプリパラ み~んなでめざせ!アイドル☆グランプリ』。タカラトミーアーツとシンソフィアが共同開発した女児向けアーケードゲーム『プリパラ』の劇場版アニメ化作品である。
「劇場版アニメ化」と言っても、前述したように『プリパラ』は以前にも劇場版アニメ化を果たしている。シリーズ初の劇場版アニメ作品となった『劇場版プリパラ』では「熱唱上映会の開催を前提にした作品作り」が行われ、コール&レスポンスなどの観客を意識した演出により観客と作品の一体感を生み出す事に成功。イベント型劇場版アニメの先駆け的な存在となった。
その後、バンダイナムコピクチャーズが3D映画『アイカツ!ミュージックアワード』を発表。「観客にはイベント体験を堪能してもらう」というイベント型劇場版アニメの共通コンセプトを推し進め、スマホアプリ連動により作品世界と現実世界を手元のスマートフォンで結びつけることで観客一人一人の当事者性を引き上げる実験的な仕掛けが施されたこの作品は「イベント型劇場版アニメ」の未来を『劇場版プリパラ』とはまた違った角度から切り開いた。
『とびだすプリパラ』はそんな「イベント型劇場版アニメ」というジャンルの「最新作」であると共に、イベント型劇場版アニメの現時点での一つの完成形」となる作品である。

今一番輝いているプリパラアイドルを決めるイベント「アイドルグランプリ」。そのアイドルグランプリにノミネートされたらぁら達は、一番を目指してライブや番組で観客達の支持を集めるために奮闘する。はたして誰がアイドルグランプリの頂点に立つのか! 今アイドルグランプリの幕が開ける――!
この導入からも分かる通り、本作ではイベント会場の外に出る事はおろか舞台裏すらも徹底して描かれず、「アイドルグランプリ」という一つのイベントの中で完結したものとなっているのだが、本作が凄いのは観客に「一本の映画」ではなく「一つのイベント」として楽しんでもらうための幾つものギミックを上手く組み合わせる事で「映像体験」を「極上のイベント体験」へと変化させている事だ。
「いいね♪ゲージによる観客達のアイドル一人一人への注目度を可視化」「観客達の声援と反応を求めるコール&レスポンス」といった仕掛けは『劇場版プリパラ』でも見られた点だが、本作ではより洗練された形で導入。そんな従来までの仕掛けに加えて「ライブで披露される楽曲はガチャで決定されるために直前まで誰にも分からない」「ライブごとの合間にはアイドル達が主役の多種多彩な番組パートが展開される」などの仕掛けが幾つも施されており、約一時間と短い時間ながらも全く飽きさせず、そしてアイドル達のいいね♪ゲージの増減に一喜一憂しながらも、観客を楽しませようとする姿が可愛く楽しい作品に仕上げられている。
肝心のライブパートも、幕間劇でのライブ映像とガチャでの抽選による生ライブの二種類のパターンが用意されており、予想外のところからライブパートに突入するなどのサプライズも多い。まさに「予想は裏切られるものの期待には全力で応える」といった出来で、「サマードリームアイドルグランプリ」までに登場した楽曲はほぼ全て登場するなどライブパート自体の選曲と構成にも全く妥協がない。こうした「妥協することなく全力で楽しませる精神」は3D映像においても健在だ。
本作は「『プリパラ』初の3D映画化」ということもあって「3D上映会」を前提とした作りになっているのだが、「映画をそのまま3D映像化した」という程度ではなく、3D映像化の利点を理解した上で、3D映像の効果が最大限に発揮されるような用いられ方をしているのだ。
いいね♪ゲージを立体的に見せる事でいいね♪ゲージをテロップのように見せたり、奥行きのある3D映像化にすることそのものがギャグとして機能するめが兄ぃタイムトンネルなど幕間劇の立体視の使い方はここぞという時に使用されており非常に楽しいのだが、こうした3D映画の恩恵を一番ウケているのはライブパートだろう。
元々『プリパラ』のライブパートはアイドル達がライブをしている「空間」というものまで演出しているという点で特徴的ではあったのだが、3D映画化するによって奥行きが誕生し、臨場感たっぷりなライブパートを作り出している。この点が生かされているのがドリームシアターライブを使用した「ラッキー!サプライズ☆バースデイ」と「トンでもSUMMER ADVENTURE」の二曲で、この二曲はサイリウムエアリーというアイテムにより、空中すらもステージとする三次元的なライブステージを作り上げているのだが、アイドル本人よりも手前に観客の頭部を置いて立体化することで観客とアイドルの距離の近さがより視覚的に分かりやすくなり、臨場感が格段に向上している。この臨場感と当事者性の向上により、あたかも本当にライブ会場に居合わせた観客であるかのようにアイドル達のパフォーマンスの数々を楽しむことが出来、「とても楽しい時間を過ごした」と言う体験の思い出を持ち帰らせてくれるのである。
またドリームシアターライブではない通常のライブも細かいところではあるが微調整が加えられている。
例えばサイリウムチェンジ時にはパーティクルが追加され、音とのリンクが強められられている。全体的にも5.1chが採用された事で音声そのものが立体的なものとなっており、TVシリーズからの収録されたライブパートも全く別の印象を強く残す。
「初の3D映画化だからこそ一切の妥協をしない」というのはこうした点でも意識されていると言っても過言ではないだろう。同じ映像だからこそ「アイドルグランプリならではの魅力」が宿っているのである。
これは余談だが、個人的に一番素晴らしいと思うのは、「ライブパートごとに3D映像化のオン/オフを行っている」という点だ。
というのも、ガチャでの抽選で選ばれた楽曲でのステージはいずれも3D映像となっているのだが、幕間劇で選ばれた楽曲を用いたステージは3D映像ではないのだ。これはガチャでの抽選で選ばれた楽曲でのステージはアイドル達本人が歌う「生ライブ」、幕間劇の楽曲でのステージは過去のライブステージの様子を録画した「ライブ映像」という位置づけを意識してのものなのだろう。だからこそ「3D映像化されたライブ=生のライブ」というものに「あの曲が流れるかどうか」と期待してしまうし、選ばれたものにも特別なものを感じてしまう。3D映像化しているかどうか。つまりオン/オフというだけなのだが、本作を代表するとても面白い演出だ。
アイドルグランプリ自体の勝者についても面白いもので、『プリパラ』の「プリチケが届いた人間は誰でもアイドルになれる」という世界設定を活かしたもので、とてもよい決着だった。「アイドルとファン」と言う関係性をも内包するその「勝者」は『プリパラ』ならではのものだろう。全国から募集したユーザー達のマイキャラ達がランウェイを歩くエンディングも素晴らしいもので、「勝者の凱旋」というに相応しいものであった。これもまたイベント型劇場版アニメでしか出来ないものだろう。

「イベント型劇場版アニメ」がユーザーに与えてくれるのは「物語体験」ではなく「イベント体験」だ。
本作『とびだすプリパラ み~んなでめざせ!アイドル☆グランプリ』はそんなイベント体験を「一時間があっという間に感じられるほど堪能させてくれる」という点で、「イベント型劇場版アニメ」の現時点での一つの完成形だと言っても決して過言ではない。自分の目で見る事でしか感じられない強烈な「ナマの体験」が本作には宿っている。そのナマの体験がたまらなく「面白い」のだ。
どうか自分の目で見て欲しい。本作の体験は見たものだけが得られる唯一無二、つまりかけがえのない自分だけの楽しさなのだから。

  

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