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『アイカツ!』北海道から離れた事で生まれるアイドルとしての自覚と覚悟について

2011年3月末に告知されたものの、それ以降まともな情報はでなくなったので企画凍結していたと思っていた『傷物語』。来年1月8日から全三部作で上映予定だったことを今更ながらに知る。驚きだ。まさか劇場版アニメでやる気がまだあったのか、あのシャフトに。シャフトが制作に関わった劇場版アニメといえば『劇場版ネギま!』が最初に思い浮かぶのだが、あれは大変酷いアニメであった。
「シナリオがダメ」「作画がヘタれてる」「演出がつまらない」などの理由で「酷い」と言われる作品は上げ始めればキリがないほどあるが、「誰が見ても未完成であることが明白であり、「作品」と呼ぶ水準にすら満たしていない」というアニメはそう多くはない。『劇場版ネギま!』の酷さというのは、そういう「作品と呼ぶことすら痴がましいほど、未完成であることが明白である」と言う酷さである。
酷い。余りにも酷い。酷いを通り越して「惨い」とすら言える。なにせ物語に必要なカットが明らかに脱落しているのだから。「惨い」としか言いようが無く、その見るも無残な映像っぷりを楽しむ悪趣味な楽しみ方をした方がまだ見応えがあるぐらいだ。その酷さっぷりは怒りを通り越して呆れ果てるしかない。
後に原作単行本に付属したDVDに完全版が収録されたのだが、劇場公開版はソフト化されないのだろうか。あそこまで酷いものは逆に記録しておくだけの価値があると思うのだがなぁ。まあシャフト最大の汚点だから無理か。黒歴史にしないために定期的に話題にして語り継いでいきたい出来事である。



11月26日から始まる2016シリーズ第二弾より『初音ミク』とのコラボが予定されている『アイカツ!』。『アイカツ! ライブイリュージョン』として企画されたこのイベントでは期間限定ステージに、初音ミクとのコラボドレスやマイキャラパーツの配信が予定されているなど盛り沢山の内容となっている。同弾では大阪のなにわ天下一学園からやってきたお笑いアイドル「堂島ニーナ」がパステルカラーが基調のハチャメチャデザインのブランド「メチャパニック」と共に登場する事や今まで『アイカツ!』に登場した全てのアイドルがプレイアブルキャラクター化するなど『アイカツ!』にとっても重要なものとなっている。『アイカツ!』ファンはもちろん、ボーカロイドファンにも一度はプレイしていただきたいところだ。
さてゲームの『アイカツ!』が大きな動き出しを見せているが、アニメの『アイカツ!』もとても面白い事になっている。
四年目となる今年のテーマは「出会い」という事で、主人公である大空あかり達ルミナスがスターライト学園を飛び出して全国ツアーへと出発。ライブのために訪れた先で出会う様々な人によって生まれる変化を描く物語が展開されている。様々な「出会い」によって成長を遂げてきた大空あかり達の物語の一つの集大成となっている全国ツアー編だが、「出会いによる変化」は何も大空あかり達だけの話ではない点が面白い。
四年目から登場した北海道出身の大地ののと白樺リサの二人は、北海道を訪れた大空あかり達と出会った事で「本物のアイドル」を目指す覚悟を固めてスターライト学園の扉を叩いたというアイドルであり、「出会い」で広がるアイカツ!の可能性を象徴する存在だ。
そんな四年目を象徴する存在である、大地ののと白樺リサの物語を見ていく上で、155話「トキメキカラット☆」と156話「小悪魔ハプニング」はスターライト学園の扉を叩いた154話と並ぶぐらい重要な話だといえるだろう。なぜならこの二話は「アイドルデビューを果たした二人が、憧れていたアイドルの世界に馴染んでアイドルとしての一歩を踏み出す」と言う事を二段階に分けて展開している話だからだ。

155話では「アイドル学校・スターライト学園」という場所の特異性や、ののとリサが一緒にアイドル活動をする仲間達と出会って活動するうちに、自身がもうアイドルである自覚が芽生えていく過程が描かれる。
あかり達の案内によって出会うアイドル達一人一人に感動したり、食堂で料理を作る四葉さんが元アイドルであることに驚いたり、ジョニー別府のダンスレッスンとその独特のネーミングセンスに驚いたりとののとリサの反応は、所属する生徒全員がアイドルであるスターライト学園にいる(=アイドルとしての素養を認められている)存在とは思えないほど初々しい。
その初々しさが新鮮で面白くもあるのだが、あかり達と一緒に行動して「スターライト学園」へと順応していく事でののとリサの中に『アイカツ!』のアイドル達が持つセルフプロデュースの精神に目覚めていく。そんな目覚めたばかりのセルフプロデュースの精神が導き出したものが「学園長に「『トキメキカラット』のCMオーディションを受けたい」と直談判しにいく」なのだろう。
自身は受ける予定がなかったのに、仲間のアイドル活動に付き合っているうちに触発されて受けたくなる。その衝動をきちんと行動に移せるののとリサはセルフプロデュースの精神を持つ立派なアイドルであり、だからこそ本来は三人しか合格者を出さないオーディションにも関わらず、ルミナスとともに合格を勝ち取る事ができたのだろう。
「アイドルとしての最初のお仕事」を「自身のセルフプロデュースによって勝ち取る」。これが『アイカツ!』らしいアイドルの姿なのだが、しかしこの155話はあくまでスターライト学園の中で閉じ切った「アイドルとしての一歩」だった。オーディションを受けるために一応外には出ているものの、物語としてはほぼスターライト学園の中だけで完結しており、学園の外には全く出ていないのだ。
「ファッションイベント『アーバンガールズコレクション』のステージライブに出演することになったののとリサが、愛用するブランドであるドーリーデビルのデザイナーへプレミアムドレスを作ってもらうために会いに行く」という157話が面白いのは、スターライト学園の外に踏み出す事で、自身が今いる場所は「北海道」ではなく「アイドルの世界」であることを強く認識させ、その世界で生きていく覚悟を描いているからだ。
「ののとはぐれてしまったリサが、勇気を出してののが告げた場所について現地の人に行き方を尋ねる」。
これだけの事なのだが、「知っている人ばかりの地元ではない」「アイドルになるという事はそういう場所で生きていくということ」という物語を込めることで、些細な事ではあるもののリサにとっては非常に重要な出来事として描いている。
こうした変化を描けたのは「スターライト学園」という「テレビ越しとはいえ知っている人がいる場所での覚悟」を既に描いていたからこそだろう。巧みさすら感じさせるシナリオ運びっぷりとそんな覚悟によって手に入れたプレミアムドレスはののとリサに相応しい、とても印象的なアイテムとなった。

『アイカツ!』は非常にキャラクター性を大事にした展開を行う作品だ。各曲は木村監督がキャラクター背景や背負わせるドラマを考えた上で出したアイデアを元に制作されているし、プレミアムドレスもきちんと意味付けがされた上で与えられている。ののとリサの物語も同じである。出身地に対する結びつきの強さがあるからこそ「出身地から離れる事」というテーマが生まれる。
このテーマを活かしきり、二人がアイドルの世界に馴染む事を描いた155話と157話はののとリサが成長すれば成長するほど、重要になってくるはずだ。彼女達がこのアイドルの世界でどこまでたどり着くのだろうか。楽しみにしていこう。

 


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