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「ライブミュージカル『プリパラ』 み~んなにとどけ! プリズム☆ボイス」舞台演劇で表現されるプリパラの世界と想像力を借りる舞台演出について

『キングオブプリズム』を三十回以上見ている者だけど、この作品に関しては「ガルパンはいいぞ」よろしくなネタバレ対策としての「キンプリはいいぞ」はしなくても良いと思う。『プリティーリズム』を見ている人にとっては「プリズムジャンプすると何かが起きる」「プリズムジャンプは必殺技のようなもの」という認識は取れているけど、見ていない人にとってキンプリに出てくる数々の要素はどうせ言っても信じてもらえないものばかりだ。だって「大和アレクサンダーが鋼の腹筋で剣を受け止めて弾き飛ばした」とかキンプリのネタバレ以外の何者でもないけど、見ていない人にとっては全くわからないだろう。俺も自分で書いてて意味がわからなかった。よくこう表現するしかない映像を作ったな、と菱田監督の発想に驚く次第である。
しかし菱田監督は水辺で黄昏れる男キャラの描写が好きだなぁ。ショウさんから始まった流れではあるけど、ヒロ様までああいう事になるとは思わなかった。なんかもう笑う。最高。



人気作品が一つのメディアの中だけで展開されていく事は殆どない。多くの場合はメディアミックスという形でアニメ化やゲーム化、ノベライズ化やコミカライズ化などを果たし、複数の世界で展開されていく。そんなメディアミックス展開の中でも近年、特に女性向け作品で活発に行われているのが「舞台化」だ。
テニス漫画の代表的存在である『テニスの王子様』をミュージカル化した『ミュージカルテニスの王子様』を始め、『弱虫ペダル』や『黒執事』なども舞台化されており、日本を代表する劇団の一つである宝塚歌劇団も『逆転裁判』や『るろうに剣心』などを舞台化。原作ファンからも高い評価を得ている。昨年大きな話題を集めたブラウザゲーム『刀剣乱舞』もまた舞台化を果たした作品の一つで、2016年5月から上演される事が発表されている。
ストーリーと言えるものが明確に存在しない『刀剣乱舞』ということで、舞台上でどういった演出がされるのか気になるところだが、ともかく最近のメディアミックス展開において、「舞台化」は確実に地位を確立しつつあると言ってもいいだろう。
その「原作にある様々な要素が舞台上で再現されていく『2.5次元』の面白さ」で、原作のファン達を楽しませてくれる。
前置きが長くなったが、2月4日から7日にかけてZeppブルーシアター六本木で上演された「ライブミュージカル『プリパラ』 み~んなにとどけ! プリズム☆ボイス」は鑑賞していて楽しい気分にさせてくれる素晴らしい舞台であった。

メディアミックス展開において重要なのは言うまでもなく「原作のテイストを活かす」という事だ。原作のテイストが最大限に活かされるようにアニメならアニメの、ゲームならゲームの表現に落とし込まなければならない。しかし「2.5次元」と呼ばれる「マンガやアニメ、ゲームが原作を演劇化する」という舞台化は、現実の役者がその身体を使って演じるという事や、ステージの物理的な限界などもあって、原作にあるテイストを「舞台ならではの表現」に落としこむのは大変な苦労が伴う。
しかし大変だからこそ「原作のテイストが落とし込まれた舞台ならではの表現」は鑑賞した人間の想像力を刺激し、原作の面白さを引き出してより魅力的に見せてくれる。
「ライブミュージカル『プリパラ』」が秀逸なのは、そうした「舞台ならではの表現」で原作の面白さを引き出していることだ。
アイドル達の気持ちを「ドラマ」と言う形で表現した「メイキングドラマ」や衣装そのものが輝き出す「サイリウムチェンジ」など、『プリパラ』のライブパートの魅力である各種の演出を一つ一つ丁寧に表現している。
その事を実感させるためか、バックスクリーンにアニメの映像を表示しているのも素晴らしいところだが、特にメイキングドラマはその大半が演出装置頼りの機械演出ではなく人力ではあるものの、時には観客席すらも利用して表現しており、臨場感は抜群。とりわけファルルのライブは元宝塚歌劇団出身の澪野せいらが演じるということもあって、アイドルとしての才覚の違いを感じさせるほど美しい。
また東堂シオンが四字熟語を言えばきちんと四字熟語がバックスクリーンに表示させていたり、ステージ外の観客席にまで役者が進出して演技をしたりと展開が早く、先が読めない『プリパラ』らしさのある舞台演出となっていた。

シナリオ面で見ても本作は見どころたっぷりだ。
本作のシナリオを簡単に言えば、あれほどみれぃに念押しされたにも関わらず、ライブ当日に遅刻してしまったらぁらが、プリズムストーン六本木店の店長である青井めが姉ぇと青井めが兄ぃと出会った事から幕を開ける。二人に誘われて一時間前のプリパラへタイムトラベルすることになったらぁらとクマだったが、アクシデントにより一年前のプリパラへ到着してしまう。一年前の、アイドルデビューする前の自分と出会ってしまう。これ以上歴史を変えないようにするために未来のらぁらは過去のらぁらをサポートしていく事を決意する。しかしらぁらと一緒に一年前に飛ばされてきた青井めが姉ぇ、青井めが兄ぃは、プリズムストーン六本木店を盛り上げるためにパラ宿店の地位を失墜させる事を目論み、二人はパラ宿店の人気アイドル達の活動を妨害し、歴史を捻じ曲げるべく行動し始める。未来はどうなってしまうのか? そしてらぁらは未来に戻ることは出来るのか? 過去と未来。二人のらぁら達の活動が始まる!――というもので、「『1st Season』の再現」と「歴史改変者との戦い」という二つの要素に比重をおいたシナリオとなっているのだが、『1st Season』の再現ではそらみスマイルの結成を丁寧にやりながらも、ドレッシングパフェの結成では独自の展開を見せて驚かせつつ、青井めが兄ぃに「男は男らしく!」と洗脳されかかったレオナをそふぃが「レオナちゃんはレオナちゃんらしくすればいい」と説くなど原作でも重要な要素がきちんと押さえられている。特に前述したレオナのジェンダー的な観点については原作とくらべてちょっと重めに描いている事でレオナとそふぃの友情を際立たせており、脚本を担当した坪田文の筆力が光る。
終盤では未来のらぁらと青井めが姉ぇ達歴史遡行者同士の対決がクローズアップされ、「『例え悲劇的な未来が待っている事を知っていたとしても、『ファルルと友達になりたい』と思う自分の心を止めることは出来ない」』というメッセージを打ち出しつつ、未来の自分から過去の自分へアドバイスを送る」など、時間SFとしては王道なれども熱い展開を見せるが、秀逸なのは未来の自分が青井めが姉ぇ達の妨害工作に負けてくじけた時に過去の自分がそれを支えて立ち上がり、二人のらぁらが未来への道筋を創り出す事だろう。過去だけでも未来だけでもなく、両方揃っているからこそ実現出来る未来への道筋は実に秀逸だ。
そんな眠りについたファルルを目覚めさせるファルルカムバックライブの模様は本作でもきちんと再現されている。「Make it!」の大合唱でファルルが目覚め、「未来へ加速!ウィーアープリパラ!」でトモチケが紙吹雪のように降り注ぐあの演出の再現は、原作に思い入れがあるものならもちろん、知らなくとも本作の「友達」という要素を感じさせるだろう、素晴らしい演出だ。
最後は『プリパラ』キャラクターとしては初となる「ミラクル☆パラダイス」が披露されて幕引きとなるのだが、全く飽きさせずに最後まで突っ走ってしまう本作は紛れも無く『プリパラ』であり、『プリパラ』のポテンシャルの高さを物語る会心の出来であった。

惜しむらくは本作のソフト化が予定されていない事だろうか。
「演劇はナマモノ」とはいえ、ここまでの出来となると千秋楽を迎えた今となっては確認することが出来ない事が惜しいと言わざるをえない。
特にちゃん子ちゃんを演じた桐木彩乃の好演っぷりはソフト化して多くの人に見ていただくべきものではないだろうか。
ソフト化はもちろん、再演する機会があればもう一度行きたいと強く思わせる本作を鑑賞する事ができた体験を大切にしていきたい次第である。










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