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過去を積み重ねた「最高の今」を描いた『ラブライブ!μ's Final LoveLive!〜μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜』について

『ラブライブ!μ's Final LoveLive!〜μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜』が終わった。そのライブの終了は同時にTVアニメ、シングルCDに続いてまた一つ、『ラブライブ!』を構成する要素が終わりを迎えたということでもある。
終わってしまった事が寂しくないといえば嘘になる。しかしながら今回のライブを見て寂しさ以上に心に残っているのは、「これはまず間違いなくアイドルアニメのライブ公演の歴史に名を残す」という確信であった。
『ラブライブ!』のライブ公演は「前回のライブは比較対象として既に不適切」と感じるほどの進化を常に見せてくれた。
アニメキャラと同じパフォーマンスを行う『μ's First LoveLive!』で何も知らない観客達の度肝を抜いた後は『μ's New Year LoveLive! 2013』で更に完成度を高めたものを見せ、『ラブライブ! μ's 3rd Anniversary LoveLive!』ではアニメの構成を意識した物語的ダイナミックさのあるライブを作り上げるようになった。
初のさいたまスーパーアリーナとなった『μ's →NEXT LoveLive! 2014 〜ENDLESS PARADE〜』では現実に歌っているキャスト達をキャラクターに近づけるようなライブ演出が積極的に用いられ、『μ's Go→Go! LoveLive! 2015 〜Dream Sensation!〜』ではモニターを活用することで現実にキャスト達が行っているパフォーマンスとアニメ内でのパフォーマンスが同一であることを意識させ、アニメ映像が存在しない楽曲ではモニターの演出でキャストのパフォーマンスの中にキャラクター達の脈動を感じさせるような演出が取られ、好評を博した。
『ラブライブ!』のライブ公演におけるステージ演出は「現実(キャスト)と虚像(アニメキャラ)を融合させる」という点をとても大切にして進化をし続けてきた。最初のライブで「アニメのダンスパフォーマンスを現実のキャストがやってしまう」というインパクトをファンに与えてしまったがゆえの宿命とも言えるだろう。しかしそのインパクトが有ったからこそ今日の『ラブライブ!』があった事もまた紛れもない事実だ。
現実と虚構。二つの合間に立って両者の融合を推し進める事で、多くの人達が「次も見たい!」と思えるほどの力を生み出してきた『ラブライブ!』。
「次がファイナルライブ」と12月の特別番組で告げられた時に自分の胸によぎったのは「最後にどんなものを見せてくれるのだろう」という期待であった。
前回までで「現実と虚構の融合に関しては現段階でもトップクラス」と言い切れるほど高い完成度を見せてくれた『ラブライブ!』である。今までは予算の都合や展開中である事による制約で出来なかった事も「ファイナルライブ」なら全力でやって来るに違いない。
そんな思いで告知された直後からずっと「キャストとライブスタッフが全力で作り上げるファイナルに相応しいステージ」を楽しみにしていたのだが、ファイナルライブで目撃したのは「二次元や三次元という概念を超越した『ラブライブ!』と言う物語の完成」であった。

今回のファイナルライブで素晴らしいのは二つの手法でキャラクターとキャストの融合を表現した事。そしてその融合したキャストとキャラクターを意図的に切り離す事で、ダブルアンコールの最後を飾るあの曲で「高坂穂乃果であり新田恵海でもある」という完全な同一化を果たした事だろう。
これまで『ラブライブ!』では様々な手法で「キャラクターとキャストの融合」を行おうと挑戦してきた。その挑戦は個人的には昨年のライブで一つの完成を迎えたと思っていたのだが、今回のライブではアニメーションとキャストのパフォーマンスのリアルタイム合成に挑戦しており、モニター上の中でキャスト達はキャラクターと同質の存在へと変化していたのだ。
とりわけ美しかったのはBiBiの「PSYCHIC FIRE」と全員曲の「Angelic Angel」である。
前者ではモニター上の中でボールと遊んでいたり、会場のボルテージの上昇を表現したアニメーションを活用する事で、あたかも観客達の応援がそのまま測定されているかのような錯覚を起こし、後者は扇子の軌道をリアルタイムで合成する事でよりアニメに近い表現へと変化しており、この手法でのキャラクターとキャストの融合化だけでも前回よりも更に進んだものとなっているのだが、それに加えて今回は「舞台演劇的なミュージカル演出」も組み込まれており、キャラクターとキャストの結びつきが強固になった分だけ融合化もパワーアップしたものとなった。
特にミュージカル演出は東京ドームの会場内を大きく使っている事や作中アニメを引用している事もあって、キャラクターの置かれている状況とキャストのパフォーマンスが完全にリンクしたものとなっており、こうした点も今回のライブの面白さだろう。
以上のように二つの手法を組み合わせる事でキャストとキャラクターを融合させている点だけでも相当に面白いライブではあるのだが、「声優ユニットとしてのμ's」と「スクールアイドルユニットとしてのμ's」が同時にステージに立っているイメージで表現される「MOMENT RING」は、融合化されたものをあえて切り離すからこそ生まれる面白さに満ちた熱いステージであった。
「融合化させていたものをあえて切り離す」というのはある意味これまでやってきた事に対する裏切りではあるのだが、本当に最後だからこそ出来る演出の一つだろう。そしてキャラクターとキャストをここで意図的に切り離した事が最後の「僕たちは一つの光」で本当に花の中から九人が出てきた時にキャストとキャラクターを同一化させ、大きな感動を生み出す。
「高坂穂乃果と新田恵海」ではなく「高坂穂乃果であり新田恵海でもある」。
これまで『ラブライブ!』が積み重ねてきたものがある種の禁じ手を用いながらも一つの物語として昇華された瞬間だと言えよう。
この物語の誕生を目撃できただけでもこの「ファイナルライブ」は「最高のライブ」であった。
『ラブライブ!』と出会わなければ見られなかったこの光景を目撃できた今この瞬間の奇跡を大切にしたい。
そして観客の想像力を信じて「今が最高」と思わせるステージ演出へとあえて踏み込んだスタッフとキャストに感謝したい。

最後に今回のライブ全体の構成について述べておくと、おそらく今回の全体を通してのテーマとなっているのは「『ラブライブ!』のこれまでの六年間をどうこの瞬間で表現するのか」ということだろう。
『ラブライブ!』が2010年の企画開始から2016年3月31日のファイナルライブ初日を迎えるまでに歩んできたこの六年間は短いようで長く、そして薄いようで濃い。特にアニメ化以降はファンが爆発的に増えた事や知名度が向上した事もあって、時間としては「あっという間」ではあるものの様々な出来事があり、楽曲も爆発的に増えた。「これらを全てファイナルライブで表現する」ということは、どんなに時間があったとしても不可能だろう。
そこで今回のファイナルライブで取られたのは「『ラブライブ!』の歴史を様々な点から振り返り、今日に至るまでの歩みを「MOMENT RING」までの間にインストールし切ってしまう」と言うやり方だ。
ファーストライブで初めてμ'sの九人を見に来た観客達の予想を裏切って、「ダンスパフォーマンスの完全再現」という形で期待に答えた「僕らのLIVE 君とのLIFE」から始まり、『ラブライブ!』のライブ公演での名物にまでなった観客主導の演出がある「Snow halation」の代わりに「baby maybe 恋のボタン」を混ぜつつシングル曲を連続して披露。アニメの楽曲をメドレーという形式で圧縮し、ユニットタイムへ突入していく。
ユニットタイムでは新曲二曲+旧曲から一曲づつという構成でPrintemps→lily white→BiBiの順番にパフォーマンスを披露するが、Printempsでは1stシングル「sweet&sweet holiday」、lily whiteでは3rdシングル「秋のあなたの空遠く」のカップリング曲「ふたりハピネス」、BiBiでは2ndシングル「Cutie Panther」が選曲されており、μ'sから生まれた三つのユニットのこれまでの歴史がここに全て集約されている。新曲や盛り上がる曲の中に交ぜている事で気づきにくくなっている辺り、ニクい構成だ。
そしてファン待望の劇場版楽曲を「輝夜の城で踊りたい」「No brand Girls」「Super LOVE=Super LIVE!」「KiRa-KiRa Sensation!」と言った盛り上がる事必至の楽曲を織り交ぜながら披露してアンコールへと突入していくのだが、アンコールの話に移る前に触れておきたいのはインタビューパートの存在だ。
これまでのライブでは、衣装チェンジなどのタイミングでドラマパートが挿入され、「このライブはどういう思いで制作されたのか」が物語として提示されることで、全体を引き締めると共にライブそのものをよりドラマチックにしていたのだが、今回はこのドラマパートの代わりに「キャスト達が『ラブライブ!』という作品のこれまでを振り返りながら語っていく」というインタビューパートが挿入されている。
この「μ's Chronicle」と題が打たれたインタビューパートが「ラブライブ!の歴史を再確認させる」という点に主眼が置かれたセットリストと組み合わせられている事で、このライブだけでも『ラブライブ!』と言う作品の歴史が理解できてしまい、ずっと追い続けてきたファンにとっては自分の体験を思い出して落涙してしまうような力があるのだが、こうした「歴史の再確認」があればこそアンコールの「MOMENT RING」、そしてWアンコールで披露された「僕たちはひとつの光」がとても美しい。
アンコール最後の曲として披露された「MOMENT RING」はファイナルシングルに相応しく、「μ'sからのメッセージ」が描かれており、『ラブライブ!』と共に歩んできた事の価値を噛み締めさせてくれる楽曲に仕上がっているのだが、ライブではそれぞれの特徴的な仕草やこれまで発表された楽曲の振付の一部などが組み込まれており、この楽曲だけで『ラブライブ!』が歩んできた歴史が表現されているのだ。
特に振付の一部再現はこのライブでもそれらの楽曲は既に披露されている事もあって、「これまで」で感じた想いがこの楽曲で湧き上がり、とてつもない感動を生みだす。そしてそんな「MOMENT RING」からのWアンコールで披露される「僕たちはひとつの光」は、ずっと光を追い続け、夢にまで未来に辿り着き、このライブで本当に六年間に終止符を打って旅立とうとする彼女達の「未来への可能性」が込められているように思わせてくれる。
前述したように今回のライブは「『ラブライブ!』のこれまでの六年間をどうこの瞬間で表現するのか」という難しい課題に対し、キャストインタビューとセットリストと言う二つを組み合わせて「歴史を再現する」という手法を取っているのだが、こうした手法を取ったのは歴史を再確認させる事で九人の成長と夢の実現を理解させ、「MOMENT RING」「僕たちはひとつの光」という「旅立ち」と「約束」の二曲に「今のμ's」という物語を集約させるためだったのではないだろうか。
そう考えればこのあまりにも遊びがない(どころか休憩時間すらない)ガチガチの構成っぷりも頷ける。
全ては九人の旅立ちを印象づけるため。
ファイナルにも関わらず大胆極まりない構成だが、何度も何度も挑戦し続けてきた『ラブライブ!』である。
こうした構成もまた『ラブライブ!』のファイナルライブに相応しいものなのかもしれない。

4月1日のライブを終え、μ'sと共にファンが歩んできた「最高の今」は終わりを告げた。
しかしあの時新田恵海と高坂穂乃果は言った。
「大好きでいてくれたら永遠になる」と。そして「また会おう」「また会える日が来る」と。
ファイナルライブが行われたその日はエイプリルフールではあったが、あの時二人が言った言葉が嘘にするか真実にするかはファン一人一人の心に委ねられている。
「最高の今」を体験させてくれた『ラブライブ!』。そして9人+9人のμ's。
彼女とまた会える日がそう遠くない未来に訪れる事を信じて、大好きな彼女達をこれからも応援していきたい。



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4件のコメント

[C1663]

「歴史の再確認」の中だから「No brand Girls」を歌うことが許されるのですね。
もし今回のテーマが劇場版の追体験だけであの曲を歌ったら、もうNo brandじゃないじゃんってなりますし。
盛り上がるためには外せない楽曲ですし、「歴史の再確認」の構成は良かったですね。

[C1664] Re: タイトルなし

ですね。歴史の再確認をさせているからこそ、無名だった頃の楽曲をやる必然性がある。
よく出来た構成だと思います。
  • 2016-04-03
  • 水音
  • URL
  • 編集

[C1666]

どうも、Finalのセトリだ何だでTwitterで絡ませていただきました。
ソルゲの完全キャスティングで歌って欲しかったですが、
いずれコラボか何かの折に聴けたらいいなあと思います…

多分、その選択をしていたら、練習が間に合わなかったかも知れませんしね。

いろいろ寂しい気持ちもありますが、18人のμ'sを今後も見守り、応援したいです。
  • 2016-04-11
  • ツカサ
  • URL
  • 編集

[C1668] Re: タイトルなし

「ワンマンライブ」はこれで終わりですが、『ラブライブ!』が「ラブライブ!シリーズ」として続いていけば何かの機会にまた会うことは出来そうですしね。
そういう日が来るのを楽しみにしていきたいです。
  • 2016-04-16
  • 水音
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