自分の趣味の一つにはソーシャルゲームがあるので様々なソシャゲをプレイしているのだが、ついついプレイしてしまうのは「長く続いているソシャゲ」という身も蓋もない結果になってしまう。「長く続いている」ということからはざっと「多くのユーザーの期待に答えられている」「収益もきちんと上げられている」「新しい試みが定期的に行われている」という事が読み取れるので、面白いのは当然というか。グラブルとかチェンクロとか、二年とか続いてるソシャゲは大体どのイベントも安定して楽しませてくれるんだよなぁ。グラブルについては毎回コラボイベントで絶望しながら周回してますけども。ニバンボシは一回も落ちなかったのにフェアーソードはさくっと落ちるとか勘弁して下さい。
ともあれ、プレイしていて「これ、面白いな」と思ったソシャゲには出来るだけ長く続いて欲しいし、出来るだけ早く「面白いイベントが間隔をそれほど開けずに展開される」と言う状態に持って行ってほしいところ。難しいのはわかるけど、恒常コンテンツだけだと行き詰まるわけで。ある程度極まっちゃったプレイヤーでも継続してログインしたくなるような状態には早く持って行って欲しいと思う次第。
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先日、『Fate/Grand Order』13回めのイベントとなる「鬼哭酔夢魔京 羅生門」が終了した。
サービス開始以来初めてとなるレイドバトルである事、「監獄塔に復讐鬼は哭く」以来となる上級者を対象とした高難易度イベントである事から大きな注目を集めていたこのイベントだが、イベントが終了した今総合的に評価するのなら「まずまず」「良い点はとことん良いが、悪い点はとことん悪い」と言ったところだろう。
良い点としてはバトルデザインが上げられる。
「手持ちのサーヴァントや概念礼装と相談しながら、強力なスキルと莫大なHPを持つ茨木童子の猛攻をどう凌ぎきるのか」ということに焦点を当てたバトルデザインは、ガチャ周りの仕様もあってユーザーごとの資産が大きく異なる本作においては「各々の工夫する余地」を生み出した。
特に強力すぎるが故にこれまでの敵にはその高い性能を活かしきる事が出来なかった諸葛孔明やオリオン、神性・死霊特攻スキルを持つスカサハ、強力な女性特攻を持つジャック・ザ・リッパーなどはイベント初期から終盤まで大活躍し、その性能の高さを多くのユーザーに印象づけた。イベント報酬として用意された概念礼装はいずれも強力無比な一品ばかりであり、特に「ゴールデン捕鯉魚図」はマスタースキル「オーダーチェンジ」との相性が良いことから運用の幅を広げる素晴らしいデザインの礼装で、イベント終了後も悪用する余地がある楽しい礼装であったように思う。
悪い点としては、いくつもあるが大きなものとしては「イベントの報酬と難易度の釣り合いが取れていない」「同じ事を延々と繰り返すシナリオ」と言ったところだろう。
前者について上げる前に本作のイベントデザインについて触れておくと、「茨木童子を全員で攻撃し、その莫大なトータルHPを削って討伐する」という「BPの消費や令呪によるコンティニューが出来ない」という点を除けば比較的オーソドックスなレイドバトルである。イベント開催期間として設定された約14日間を7つに区切る事でユーザーにすぐに完全討伐されないような仕組みが取られている事や前述したバトルデザインなどを含め、ヘビーユーザーを楽しませるような仕掛けがいくつか仕込まれているのだが、全部で七回の討伐期間の中でユーザーが頑張って討伐を完了しても、討伐に対する報酬らしい報酬が設定されていないのは目標設定を放棄しすぎではないだろうか。「討伐期間内に討伐できたら何かがありそう」という事を匂わせておきながら、「実際に討伐してみると何もなし」というのは報酬と難易度の釣り合いが全くと言っていいほど取れておらず、何のために討伐をさせているのか理解に苦しむ。茨木童子を倒すor撃退する事で得られるダメージポイントによるアイテム報酬も確かに用意されている。が、それはユーザー一人一人の目標となるものであり、「レイドバトル」という大人数で一つの目標に向かって立ち向かうデザインのイベントとしての報酬には成り得ない。レイドバトルにはレイドバトル用の報酬を段階的に用意したほうがよかったのではないだろうか。
一応七回討伐を完了することで貰える報酬として聖晶石10個(所謂課金石。10個はガチャ2回半相当)が用意されている? 途中の48時間から24時間での討伐に切り替えるなどの安直な難易度上昇を行った割には微々たるものであるし、この聖晶石10個は「最終的な報酬」であって短期目標・中期目標ではないのだから、この点は「報酬の見積もりも設定も甘すぎる」というしかない。
そして失望したのはその少ない報酬をダイアログ一つで終わらせてしまった事だ。そこはシナリオを噛ませるなりの工夫する余地があったところではないか。討伐報酬すらもダイアログ一つで終わらせてしまうとは。残念極まりない。
そこはせめて坂田金時から「また会おうぜ」と言わんばかりに渡されるぐらいのシナリオがあってもよかったように思う。回す以上、ゴールデンな彼より三蔵法師や酒呑童子の方を狙っていくけども。
またそのシナリオについても本作のシナリオは残念だと言わざるをえない。
『Fate/Grand Order』は二次創作のノリ全開のコメディ路線にしろ、本編や空の境界コラボイベントなどのシリアス路線にしろ、そのシナリオが高い評価の一端を担ってきた。今回のイベントでも「茨木童子」が敵ということで金太郎こと坂田金時や酒呑童子などが登場するシナリオが用意されており、討伐されるごとに次のシナリオを読むことが出来る仕掛けが施されているのだが、その肝心なシナリオが「討伐する→茨木童子逃げる→俺達も一旦体勢を立て直そう」の繰り返しで、とてもじゃないがシナリオと呼べるようなものではない。
もちろん全く差異がないわけではないし部分的には変化がつけられている。しかしやっていることはほぼ変わらない以上、印象としては「単調」であり、これといった面白さがない。内容も薄く文量自体も少ないため、終盤になればなるほど右上のスキップを押してしまいたくなる衝動と一応目を通しておきたい自分との戦いが心中で勃発する地獄絵図状態であった。
面白いシナリオであれば報酬の少なさについて黙ったかというとそういうわけではないが、シナリオが魅力的であった作品なだけに、今回の「同じことを何度も繰り返す単調なシナリオ」には深い失望以外の思いが出てこない。
最後になるが、自分はこれでも一応今回のイベントは楽しんでプレイしていた方である。
少なくとも最初期のイベントである「ネロ祭 ~勝ち抜け熱闘コロシアム~」や「月の女神はお団子の夢を見るか?」と比べれば、今回のイベントの方が遥かに出来がいいし報酬も充実している。ネロ祭に至ってはシナリオすらなかったわけで、それと比べればシナリオがあるだけ今回のイベントは格段にマシだ。
600万のHPを削りきった時には喜びしか無かったし、嫌らしい動きを見せる腕には殺意が湧きながらも毎回違う編成を試す余地を与えてくれるなどバトルデザインに関しては非常によく出来ていたと思う。
しかし「初」ということを加味しても多くの課題が残るものだった事は否定出来ない。コレは「楽しさ」とは別の次元の話である。
次回のレイドバトルではそれらの課題に対して、何らかの解答を用意して欲しい。
そう思いながら、そして自戒の意味も込めながら本稿を擱筆する。
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あと、鬼やらいと鬼ころしの間ぐらいの難易度が欲しかった所です。
結局、令呪使わないと600万を削りきることはできませんでしたし。