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『ラブライブ!サンシャイン!!』μ'sと憧憬と新たなスクールアイドルの物語について

キンプリの円盤特典として収録されたショートアニメ。内容自体はオバレ解散後のエーデルローズ生達の様子を見せつつも、「ドラマチックLOVEはどうやって生まれたのか」ということを描いた内容なんだけど、最後の最後になってとんでもないネタを放ってくるところが菱田監督らしいというかなんというか。
いやつまり、「エーデルローズ!ミュージック……」の下りが酷すぎたって話なんですけど。
この下りは言うまでもなく『ラブライブ!』の「μ's!ミュージック……スタート!!」のパロディなんだけど、何が酷いって菱田監督自身がこの台詞が登場する『2nd season』の12話(ラブライブ!本戦を描いた話)の絵コンテを切っていて、『ラブライブ!』はキンプリのプリズムショーパートの演出家である京極尚彦氏の代表作で、京極尚彦監督は菱田監督の弟子であることだ。
おまけに「アニメで見た」と言い切っちゃってる辺りが本当に酷い。そして笑える。
キンプリ世界では『ラブライブ!』はきっと放送されているのだろう。『ラブライブ!サンシャイン!!』が放送中かは分からないが、何にしても色々おもしろいことになっているものだと思う。



東京秋葉原にある音乃木坂学院から生まれたスクールアイドル「μ's」は、スクールアイドルの祭典「ラブライブ!」のドーム開催を実現させた後、多くのファンに惜しまれつつも解散ライブを行い、姿を消した。しかし「スクールアイドルであること」を尊び、「最後までスクールアイドルらしくあること」を望んだμ'sの九人の想いと輝きは、解散してもなお多くの人の胸の中で輝き、新たな輝きを世界に生み出し続けている。
この物語――『ラブライブ!サンシャイン!!』は、伝説的スクールアイドルとなった「μ's」の鮮烈な輝きに魅せられ、μ'sのようなスクールアイドルになる事を夢見る九人の少女達の物語である。

『ラブライブ!サンシャイン!!』は、2016年4月1日に最後のワンマンライブを終えた『ラブライブ!』の輝きを受け継ぐ、「精神的後継作」とでもいうべき作品だ。『ラブライブ!』は東京秋葉原にある音乃木坂学院を舞台に、母校を廃校の危機から救うためにスクールアイドル活動を始めた九人の少女達「μ's」の活躍を描いた作品だったのに対し、こちらの『ラブライブ!サンシャイン!!』は全校生徒数の数が減少傾向にある静岡県沼津市の浦の星女学院を舞台に「仲間と共に輝きたい」という願いを元にスクールアイドル部を立ち上げた九人の少女達「Aqours」の活躍を描く。
そんな『ラブライブ!サンシャイン!!』だが、7月2日に放送された一話を見て伝わってきたのは「Aqoursの物語にしたい」ということだった。
確かにAqoursも『ラブライブ!サンシャイン!!』という企画そのものも『ラブライブ!』とμ'sがあってこそのものである。高海千歌がスクールアイドル活動を始めたのはμ'sへの憧憬からであるし、物語自体の時系列的な位置づけもμ'sがスクールアイドルの祭典「ラブライブ!」のドーム開催を実現させた後の時間軸だ。そのことから見ても、「『ラブライブ!』とμ'sがいなければ、Aqoursは存在していなかった」と言っても決して過言ではない。Aqoursはμ'sがいたからこそ、生まれた存在なのである。
しかしだからこそ「『ラブライブ!サンシャイン!!』と言う物語において、どこまでμ'sの存在を意識するか」という事は、本作の最も重要な要素になってくる。μ'sの存在感があまりにも強すぎるのであればAqoursは「μ'sの後追いで誕生した有象無象のグループの一つ」にしかならないし、μ'sの存在が弱すぎるのであれば「ラブライブ!」というシリーズの名を冠する意味がなくなってしまうからだ。
その点に関しては酒井和男監督やシリーズ構成を務める花田十輝も相当重要なものとして意識していたのであろう。『ラブライブ!サンシャイン!!』の一話に広がっていたのは正しく「Aqours」の物語であった。
高海千歌は何もない普通の少女である。
クラスメイトの渡辺曜や幼馴染の松浦果南のような能力もないし、黒澤ルビィのような美貌もない。津島善子のようなキャラクターの強さも、海で出会った桜内梨子のような幼い頃から何かに打ち込んだ経験もない。
しかしそんな何もない普通の少女だからこそ、スクールアイドルに対する思い入れは誰よりも強い。
スクールアイドルは本物のアイドルじゃない。スクールアイドルはどこにでもいるような普通の少女達が歌にダンス、衣装作りに一生懸命に打ち込む事で輝きを得た存在だ。そんな元々は普通の少女達だったスクールアイドルだからこそ、「何もない普通の少女」である高海千歌は憧れ、そして彼女達のようになろうと思ったのだ。
私でも輝ける。私も輝きたい!仲間達と一緒に!!
その憧憬と普通の少女だからこその想いがその身体を突き動かす衝動となり、高海千歌はスクールアイドルを目指して第一歩を踏み出していく。
そしてそんな彼女の前に、彼女の憧れるμ'sが「START:DASH!!」で歌った「その日(=運命の日)」がやってくる。
μ'sがいた音ノ木坂学院からやってきた転校生・桜内梨子。
彼女にはスクールアイドル活動への参加こそ断られてしまったものの、高海千歌は諦めずに前を向いて走り続けていくだろう。
高海千歌の胸にはあの日見た「μ's」という太陽の輝きが宿っている。彼女の目にはμ'sが見せてくれた、最高の景色へと続く輝く道が見えている。
彼女が仲間達と分かち合うだろうその「最高の景色」。その最高の景色がAqoursにとって愛おしいものとなることを予感を感じさせるこの一話は、これからの『ラブライブ!サンシャイン!!』にとってきっと大切な一話になるはずだ。

ところで、本作を見ているとシナリオ展開こそトリッキーな点こそないが、演出面ではしっかりと『ラブライブ!』のテイストを受け継げているように思う。というのも、一話の中に既に『ラブライブ!』でも見られた些かオーバーで芝居がかっている演出が随所に込められているからだ。
特に面白いのは生徒会長である黒澤ダイヤにスクールアイドル部創設の書類を出しに行くも、「認めない」とけんもほろろに断られるシーンだろう。このシーンではダイヤが「認めない!」と千歌の話を切って捨てると共に、ダイヤの背後にある窓から吹き込む風が千歌に襲いかかる!という演出がされている。


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これはつまり「ダイヤの存在がスクールアイドル部を目指す千歌にとって逆風として君臨している」という事になるのだが、こうしたオーバーな演出は『ラブライブ!』では頻繁でこそないが、要所で用いられていた演出でもある。
『ラブライブ!』は京極尚彦監督で、『ラブライブ!サンシャイン!!』は前述したように酒井和男監督である。
酒井監督は『ラブライブ!』でも絢瀬絵里にスポットを当てた一期七話やμ'sを解散する事を告げた二期十一話などにも参加しているが、『ラブライブ!』から変えていても別段おかしくない演出方針まで丁寧に受け継いでいるのは、その演出こそがラブライブ!らしさだからだろう。
一話を見る限りでは、あえて『ラブライブ!』から受け継いだこのオーバーな演出の方針はキャラクターの魅力を、ひいては物語自体のアクセントとして機能しているようで、ヨハネこと津島善子のオーバーさ加減は本人の中二病キャラと相成って非常に可愛らしい。
今後はどの程度用いられるのかわからないが、こうした点にも注目だ。

なおライブパートについてだが、『ラブライブ!』でも一話にライブパートが挿入されていたように、『ラブライブ!サンシャイン!!』も一話にライブパートが用意されている。
『ラブライブ!』では「ミュージカル的」ではあるものの、高坂穂乃果&南ことり&園田海未のみが画面に登場するだけであったが、『ラブライブ!サンシャイン!!』では高海千歌のクラスメイト達も参加し、彼女の前に黒板側に立つ桜内梨子への道を作るなど、ミュージカルそのもののようなアプローチが行われている。

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これは高海千歌と桜内梨子の二人とその出会いの特別性を強調しており、ガール・ミーツ・ガールのようなテイストを感じるが、実際に歌い踊るパフォーマンスの方も高海千歌と桜内梨子、渡辺曜の三人で動きのキレに若干の違いが与えられており、三人の中での能力差が印象に残る。
動きの強弱やキレの良さによって個人差を表現するのは、昨今のアニメでは基本的なキャラクター表現の一部となっているが、この差をきっちりと見せている点をまずは評価したい。
OPを見る限りでは学年ごとの区切りを丁寧に扱っていくようだが、はたして一年生組・三年生組ではどういった演出が行われるのだろうか。

何にしてもついに始まった『ラブライブ!サンシャイン!!』。これからAqoursがどんな物語を紡いでいくかを楽しみにしたい。









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