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『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』日台合作の人形劇と武侠物について

アクティヴレイド二期。厳密には一期と二期は世界観としては密接に繋がっているものの物語としてはほぼ繋がっていないため、「二期」よりは「2nd season」が適切……というのは一話を見れば何となく分かるだろう。二期で描かれている世界というのは「ダイハチの活躍でウィルウェアによる犯罪の認知度と危険性が周知され、それに対して民衆達が危機感を覚えている」というものだし、ウィルウェアを用いたテロ行為に対して社会は「民間協力」という具体的な策で毅然と立ち向かっている。ダイハチもメディア露出が増えてるし、「今社会問題になっている問題に立ち向かう警察官」と言うヒーロー然とした描き方になってるんだけど、「瀬名颯一郎の帰還」をしっかりと社会の流れの中に組み込めているのは面白かった。
「勝手がわかっている人間」として彼ほど「民間協力者」として適任な人間もいないんだけど、警察を辞めて本人の認識としては「天職」な職場に転職したわけで、その辺をどう組み込むのか気になってたんだけど、思った以上にちゃんとやっていて、黒騎猛とのコンビの復活も絡んでいて痛快さと面白さがある。いいなぁ、これ。
今回は国際サミットが事件の舞台になりそうだけど、さてどうなるかな。注目していきたい。



世界に多種多様な物語があり、それらの物語を客観的観点から分類分けしたものを「ジャンル」と呼ぶ。
ここに「武侠」というジャンルがある。「武侠」とは読んで字のごとく、己の信念のために時に武術をも操って戦う者の事を指す言葉で、「武侠」というジャンルはそうした武侠達を主役とする作品群の事を意味する。有名な作家としては金庸や古龍など、主に中国語圏内で活躍する作家が多く見られるが、日本でも『機動武闘伝Gガンダム』など武侠物のテイストを含む作品が幾つか散見される。
本作『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』は、日本と台湾が合作で制作した「武侠ファンタジー」であり、ジャンルやメディアを問わずに活躍する作家「虚淵玄」の最新作となる作品である。

近年は『魔法少女まどか☆マギカ』や『翠星のガルガンティア』『PSYCHO-PASS』などアニメ作品への参加が多い虚淵玄だが、アニメ作家としての氏を知っていれば知っているほど「なぜ虚淵玄で武侠物?」と疑問に感じる人も中にはいるだろう。特に最近は仮面ライダー好きが講じて『仮面ライダー鎧武』の脚本を担当していたり、水島精二と會川昇が制作した『コンクリート・レボルティオ』に脚本家として参加していることから「アニメ作家・虚淵玄」のイメージは強くなっている事から『魔法少女まどか☆マギカ』以降
のファンにとって氏と武侠物との繋がりは見えにくいものとなってしまっている。
しかし虚淵玄と武侠物は決して遠い存在ではない。というのも、虚淵玄は本作以前にも武侠物に挑戦しているからである。
『鬼哭街』と題を打たれたその作品は世界観自体はサイバーパンクでありながら、物語骨子そのものには武侠物のテイストが色濃く現れている。バッドエンド色の強い重い結末を迎えるシナリオではあるが、戴天流剣法の達人である孔濤羅と妹の仇である武人達との息もつかせないほどの激しい攻防や、軽功を用いて行う車との派手なチェイスシーンはファンから高い評価を獲得しており、2011年5月18日には全年齢版としてリメイクされていたり、星海社や角川スニーカー文庫からノベライズ版が発売されている。従って虚淵玄が武侠物を描くことは別段珍しい事ではないのだ。
むしろ今彼があえて武侠物を描こうとしている事は「アニメ作家」としてのイメージが定着する以前の氏の作品に触れていればいるほど、「納得」なのである。

むしろ驚きなのは本作が台湾の人形劇「布袋劇」として制作されている事だろう。
ここ最近で「人形劇」といえば『サンダーバード』を50年ぶりにリブート・リメイクした『サンダーバード ARE GO』がNHKで放送され、ミニチュアモデルと3DCGの融合した映像が注目を集めたが、本作の人形劇は3DCGやVFXを導入しているだけでなく、例えば手で相手の突きをいなしつつ、そのままの流れで肘打ちを胴体に叩き込むなど繊細かつ激しいアクションを行っており、人形劇とは思えないような迫力がある。
特に殘凶を倒した殤不患の必殺技は何が起きたか一瞬で判別できないほどの早業であり、人形劇であることを忘れさせるほど格好よい。
また人形達の芝居も良い。「涙を流す」「吹き飛ばされた相手を受け止める」などの一つ一つの動き・立ち振舞いがそのキャラクターのらしさを強調しているのだが、特にキセルを片手に動く凛雪鴉はそのキセルの動き一つで「眉目秀麗」と言う設定に偽りのない優雅なキャラクターを魅せており、非常に美しい。
人形劇だからこそのいい意味での生っぽさが醸し出す、艶やかなキャラクターの魅力は人形劇にしかできないものだろう。
「腕を切り落とされる」「首が刎ねられる」などの描写できちんと血が表現される事で「生きて血の通った人間」という部分も強調されており、こうした点も非常に魅力的だ。

現在配信されている一話は、「本作はどういう物語なのか」ということを提示した物語への導入と物語の中核を担うメインキャラクターの顔及び本作のアクションがどの程度の事までやれるものなのかを見せる意図が強く出ているように見受けられ、どこかプロモーション映像的な要素も感じるところではあるが、この一話を見れば本作が「人形劇」というもののイメージを変えてしまうような衝撃のある作品であることが分かるはずだ。
台湾で長く愛されてきた伝統芸能・布袋劇の入り口となるように制作された『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』。
アニメのようでアニメではなく、演劇のようで演劇ではない布袋劇の魅力を是非堪能して欲しいところだ。

ところで本作は日本と台湾の合作となっているが、人形造形のアドバイザーとしてグッドスマイルカンパニーが参加している。
人形劇で使用される人形は普通のフィギュアとは違うため、グッドスマイルカンパニーがこれまで制作していたフィギュアとはまた勝手が違うはずだが、丹翡の顔の造形はスーパードルフィー的な可愛さのある造形に仕上がっている。こうした点にも「日台合作=日本と台湾の文化的融合の面白さが現れていると言えるのではないだろうか。
何しても今後はそういうところの面白さにも注目していきたい。


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