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『ラブライブ!サンシャイン!!』自己犠牲と二人の少女と星空凛について

『ポケモンGO』。エンターテイメント業界の末席に身を置く人間として、「流行っているもの」というのは必ず触れておくようにしているのだが、いやー世界中で社会問題になるのも納得なほど面白いなぁ、『ポケモンGO』。とにかく「ポケモンを捕まえるための冒険をしている」という感覚が半端じゃない。レアなポケモンが出た時は嬉しいし、そうじゃなくても「自分の知っている世界にポケモンがいる」というのはちょっと感動的だ。やっていることは『Ingress』にAR要素を噛ませただけなのに、組み合わせるだけでこんなにも唯一無二の面白さが誕生するんだから本当に凄いな、コレ。そりゃ世界中でヒットするわな。
現在捕獲したポケモンは30種類ほど。激選はする気がないけど、イーブイの進化系は全種類集めておきたいので頑張ってます。

夏コミの原稿? 今のところ何とかなりそうだから安心してほしい……。
告知はできれば7月中にやりたいですね。



スクールアイドルの栄光と友人家族の尽力のおかげで何とかファーストライブを成功させ、スクールアイドルとして確かな一歩を歩み出したAqoursと浦の星女学院の変化を描いた『ラブライブ!サンシャイン!!』四話「ふたりのキモチ」は親しい人間のために自分を犠牲にできる、黒澤ルビィと国木田花丸という二人の優しい少女が、互いを思いやりながら「一緒に」やりたいことのための一歩を踏み出す物語だった。
「自分さえ我慢すればそれで丸く収まる」と本心を封じ込め、自分を犠牲にすることで親しい人間の心を救おうとする二人の少女の健気さが強く印象に残る一話であった。
しかしこの四話が素晴らしい点は「自己犠牲を尊く描いていた」という事かというとそうではない。この四話が素晴らしいのは「自分さえ我慢すれば」という思いを飛び越えて、一歩踏み出さなければ見ることが出来ない「本当の気持ちの美しさ」があったからだ。
黒澤ルビィと国木田花丸。
浦の星女学院に今年から通い始めた二人の少女は友人同士であり、ある性格面である共通する特徴を持っていた。
その共通する特徴とは前述したように「他人のために自分を犠牲にできるほどの優しさを内に秘めている」ということ。
黒澤ルビィは「スクールアイドル」というものに思い焦がれ、μ'sにも特別な想いを持っていたにも関わらず、実姉であるダイヤが何らかの出来事があってスクールアイドルを毛嫌いするようになった事を受けて、スクールアイドルへの想いを密かに内に秘めて生活するような「強い優しさ」を持っていたし、国木田花丸は昔から決してステージの中央に立たず他者を後ろから見守り、自分が一人になることすらも恐れずに背中を押してやることが出来るしなやかな優しさを持っていた。
「スクールアイドルをやってみたい」という想いを持っているものの、姉の事があってスクールアイドルになることを諦めていたルビィ。
そんなルビィに「例えこれからは一緒に歩んでいけなくて、自分が一人になったとしても夢を叶えてほしい」という想いを秘めていた花丸。
ある意味不器用な性格をしている二人に転機が訪れる。
自分達が通う学校に「Aqours」と言うスクールアイドルが誕生したのである。
そのことをきっかけに、二人は少しづつ変わっていく。ルビィは「スクールアイドルをやりたい」と言う思いを押さえられなくなり、花丸はそんなルビィが夢を叶えられるように手を差し伸べて「夢のための一歩」を指し示すようにアクションを起こしていくのだが、ここで重要なのは花丸の中には「ルビィの夢を応援したい」という想いと相反するもう一つの想いがあることだろう。
その思いとは「ルビィと一緒にいたい」ということで、彼女はその想いに気づいていながらあえて堪えてルビィのために気丈に振る舞う。本当は一人きりで過ごすのが嫌で、ルビィと一緒にいたいにも関わらずだ。
寂しい想いをも我慢してルビィの夢を強く応援する花丸。
一見すると美談のように見えるが、本当の気持ちに嘘を付いているうちは何も変わらない。「国木田花丸」と言う少女の物語も、彼女が主役のステージも始まらないのだ。ルビィの旅立ちを見送って階段を降りていく姿も、ルビィがスクールアイドル部に加入したことも見届けた花丸の姿が「出番を終えて舞台裏へと下がっていく」ような印象を残すのは、国木田花丸が「黒澤ルビィの友人A」という脇役に徹していたからだろう。「ルビィさえ良ければ」と自分自身を押し殺し、自分を主役として輝かせようとしない姿はどこか物悲しさと寂しさを感じさせる。

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しかし花丸がずっと傍にいたからこそルビィの内にあるスクールアイドルへの想いに気づいていたように、ルビィも花丸の想いに気づいている。
だからルビィや千歌は手を差し伸べるのだ。花丸が自分のためにそうしてくれたように。
ルビィと一緒にスクールアイドルを始めて「国木田花丸」としてステージに立つために、千歌の手をしっかりと握る花丸の姿が美しく見えるのは、彼女が本当にやりたいことのためにようやく一歩を踏み出したからだろう。
今ここから「誰かの物語の脇役」ではない「国木田花丸」と言う少女の物語が始まるのである。

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また『ラブライブ!』からの引用もこの四話では効果的に用いられている。
元々『ラブライブ!サンシャイン!!』では高海千歌を始め、μ'sがスクールアイドルとして語った言葉を引用することが多いのだが、この四話ではμ'sの一人である「星空凛」の物語を二度に渡って引用することで、ルビィと花丸の一歩をより印象深いものへと変えてくれている。
一度目の引用は花丸が「スクールアイドルになりたい。でも姉のことがあるので出来ない」と思っていたルビィの背中を後押しする事を思いつくシーンだ。
このシーンでは雑誌記事として、星空凛が主役を務めた『ラブライブ! 2nd season』五話「新しいわたし」でのファッションショーライブの様子が登場している。この「新しいわたし」は「女の子らしい格好をしたいけど、私には似合わない」と思っていた星空凛が周囲の応援もあって「新しいわたし」へと生まれ変わる物語だったが、この五話を引用した事によりこのシーンは「花丸は『自分の気持ちを押し殺すルビィを変えるために自分に何が出来るのか』というアイデアを星空凛から獲得した」という意味を帯びてくる。
二度目の引用となるのは花丸がルビィの差し伸べた手を取るシーンで、ここでは一度目よりも直接的に星空凛のプロフィールとエピソードに触れられ、「彼女も変わることが出来たんだ」という点から「だから花丸も」とルビィの言葉と行動をより強化するような形で引用されている。
こうした引用が出来るのも『ラブライブ!』という先駆者があってこそではあるが、適度な距離感を保っているからこそ効果的にエピソードや台詞を引用できるのだろう。
近すぎず遠すぎず。
適切な距離を保つ『ラブライブ!サンシャイン!!』は距離感覚に優れた作品だといえるのではないだろうか。







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