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『ラブライブ!サンシャイン!!』期待と重圧と梨子の変化について

『シン・ゴジラ』の応援上映会の話。「応援上映会」自体は今年のトレンドと言ってもいいものなので、『シン・ゴジラ』で開催されても別段おかしなものではないのだが、『シン・ゴジラ』の応援上映会で素晴らしい点は応援上映会に「発声可能上映会」という名前を与えた事だ。この「発声可能上映会」の何が素晴らしいのかというと、物凄く「役所仕事っぽい」のだ。
既に視聴している方は分かる通り、この『シン・ゴジラ』という作品は日本に出現したゴジラを政府や役所が一丸となって対抗する作品なので、出てくる名前も当然「役所の与える名前」ということで意味は分かるが単語が連なっていて長い。主役となる巨災対にしても正式名称は「巨大不明生物特設災害対策本部」である。長い。意味は分かるがとにかく長い。そんな役所の仕事っぷりを描いた『シン・ゴジラ』の応援上映会に物凄く役所っぽい「発声可能上映会」という名前を付けてしまうこのセンス。素晴らしいというしかない。作中でも「名前が大事」という台詞が出ていたが、全くその通りである。「発声可能上映会」という役所っぽい名前を与えられた事で、『シン・ゴジラ』の応援上映会は「役所の仕事っぷりを見学するもの」となった。最高か。
今後は全国展開していってほしいところではあるが、どうなるのかなぁ。



期待と重圧は表裏一体なものだ。期待をされればされるほど背負う重圧は大きくなり、「期待に応えなければ」と思えば思うほど「自分にできる事」を見失ってしまう。「期待」は何らかの結果を残した人間に対する周囲からの「祝福」であると共に己自身が課してくる「試練」とも言えよう。重圧を跳ね除け、周囲からの期待に応えたその時、人は今よりも更に上のステージへと登る権利を獲得するのだ。

『ラブライブ!サンシャイン!!』の七話となる「TOKYO」はそんな「期待」と「重圧」について描いた一話だ。
ランタンを用いたプロモーションビデオの成功により一躍注目を浴びる事となった高海千歌達六人に舞い込んできたのは、東京で開催されるスクールアイドルイベントへの出演依頼。これに出ればより高みへと近づくことが出来るはず!と考えた六人はこの出演依頼を受諾。地元の友人や家族の期待を胸についに東京へと降り立つ! 地元の沼津にはない制服や黒魔術アイテムといった様々なものや、高層ビルなどの沼津とは異なる環境に翻弄される六人をコメディタッチに描きつつ、「μ'sがいた場所」として改めて「秋葉原」という場所を捉え直し、千歌が初めてμ'sを見てスクールアイドルになろうと志した始まりの場所にて今年のラブライブ!が開催されることが告げられるなど、「沼津のスクールアイドル」から「沼津から全国へと羽ばたきだしたスクールアイドル」と確かな成長を見せたAqoursに相応しい「次のステージ」を示唆する展開が熱い展開が目白押しではあるが、この七話で注目なのは冒頭でも触れたように期待と重圧について語り合う千歌と梨子の姿だろう。
桜内梨子は幼少期から続けてきたピアノが評価され、中学時代には全国大会出場を成し遂げるほど実力のあるピアニストであった。しかしその「全国大会出場」という結果が、周囲からの期待を生み出し、その期待に応えようと躍起になるあまり彼女は重圧に押しつぶされ、逃げてきた先にあったのが沼津であり浦の星女学院であった。
一方、高海千歌は自他共に認めるほど「普通の少女」である。おそらく周囲から期待されている事を実感するような機会はそれほど多くなかったのだろう。そんな千歌だからこそ期待と重圧に押しつぶされてしまった梨子の事情を聞いても「寄り道」としてスクールアイドル活動という道を示す事ができたといっても過言ではないのだが、この語り合うシーンで重要なのは高海千歌も桜内梨子もスクールアイドルを始めてから今日に至るまで、少し変化しているように描かれていることだ。
高海千歌は前述したように「期待された事」はそれほど多くはない人生を送ってきたように思うが、今回の東京遠征の際には「周囲から期待されていること」を知り、その重圧と辛さを経験し、重圧に押し潰されてしまった経験を持つ桜内梨子に共感にも似た感情を寄せているように描かれているし、桜内梨子は桜内梨子で周囲からの期待とその期待に押し潰されてしまった経験をある程度客観的に語れるように変化している。
これは高海千歌も桜内梨子も、スクールアイドルを通じて以前よりも変化・成長している事を示唆するものなのだろう。そしてこの千歌と梨子の成長・変化を感じさせる描写があるからこそ、ラブライブ!開催決定のニュースが「次の物語の始まり」を予感させるものに映るのだ。
この七話はラブライブ!に出場してμ'sのように廃校を何とか阻止するべく、まずはスクールアイドルイベントで上位を目指そうとするAqoursに「セイントスノー」というスクールアイドルが挑戦状を叩きつける展開で幕を下ろしているが、次回予告のタイトルは「くやしくないの?」と意味深なものとなっている。
「くやしくないの?」という言葉は「誰が誰にかけた言葉なのか」で意味合いが変わってくるものではあるが、何にしてもAqoursにとって不運な展開になることはまず間違いないと見ていいだろう。
ここまで順風満帆と言ってもいい道を歩んできたAqours。逆風の中に何があるのだろうか。

余談だが、この七話では『ラブライブ!』でも見られた「視点となるキャラクターの心の機敏が自然現象・物理現象として表現されている」という演出が登場している。具体的なシーンとしては神田明神の階段を登り切った千歌の前にセイントスノーが現れるシーンだが、このシーンではセイントスノーの口ずさむような歌を聞いただけで千歌に向かって強い逆風が吹き込む演出がされている。
これは「歌を聞いただけでセイントスノーの実力に圧倒されている」と言う表現であり、ひいてはセイントスノーが強者であることを伝えるための演出だ。

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こうした演出は分かりやすい反面、あまりにも乱発しすぎると面白みが薄れてしまうものだが、『ラブライブ!サンシャイン!!』ではここぞというタイミングでしか使われておらず、非常に有効に使われているように思う。
特に今回はAqoursのライバル候補となりうるセイントスノーとのファーストコンタクトのシーンで使われているため、彼女達二人の実力が如実に感じられる、素直で素晴らしい使い方だった。
今後共こういう使い方の演出に期待したい。

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