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『クロムクロ』伝奇+ハードSFの中で光るロボットアニメの王道について

ライブチケットのNO転売キャンペーンについてのアレコレ。一通りは目を通したはずだけど、とりあえず「ユーザー同士のチケットの売買」というマッチングサービスで利益を得ている『チケットストリート』の社長が語る「需要があるから供給が生まれる」という話はポジショントーク以外の何物でもないので話半分でも聞かなくていいし、「転売は経済活動的には正しい」という記事も「そもそも『転売しない』というルールがある以上、経済活動的に問題なくともルール違反である」という話になっちゃうよなーと思いました。
ただ「転売しないで!」とメッセージを出して、「ユーザーのモラルに訴えかけて終わり」とするのなら片手落ちでは? 「転売するな」という事は大事だけど、どうやっても転売は発生する以上、「公式側がチケットを一旦買い取り、後で再販という形で販売をかける」のような「転売をいかにして自分達の制御下に置いていくか」という方向で話を進めた方がいいと思う。その辺りのシステム整備をやらずに「やめて」というだけなら誰でも出来る。ユーザーのモラルを低く見積もりすぎるのもよくないけど、高く見積もりすぎるのもどうかと思うぜ……。本気で転売を辞めさせたいなら、そういう試みをやっていただきたいと自分は思いますね。




空から突如舞い降りた多数のロボット軍団の襲撃を受けた地球。そんなロボットの襲撃に呼応するかのように遺物「キューブ」の中から一人の侍が450年の眠りから目を覚ます。その侍――青馬剣之介時貞に「姫」と呼ばれた白羽由希奈は剣之介と共に、蘇ったロボット「クロムクロ」に乗り込み、外宇宙からやってきた侵略者「エフィドルグ」との戦いに身を投じる事になる……。

『true tears』『SHIROBAKO』で高い評価を得た富山のアニメ制作会社「P.A.WORKS」の15周年記念アニメーション作品にして初のロボットアニメとして現在放送中の『クロムクロ』は、とてもユニークな作品だ。
「外宇宙からやってきた圧倒的な技術力を誇る侵略者」「彼ら奪い取った技術により我々の世界よりも一部で発展した技術力を見せる世界」「由希奈と同じ顔と遺伝子構造を持つムエッタの存在」と言ったハードSFのような設定の数々と、それらハードSF設定を内包する「鬼に纏わる伝承」という伝奇的設定。二つの要素が巧妙に混ぜ合わさり、本作ならではの独特の雰囲気を醸し出している。
このように述べると『クロムクロ』は難解でとっつきづらい作品のように聞こえるだろう。
しかしながら本作を見ていて抱く印象の中に「難解さ」という印象は微塵もない。大小含めて幾つもの謎を散りばめながらの展開でこそあるものの、その謎は全て序盤に散りばめられた謎の中に収束するように配置されているし、エンターテイメントとしても極めて高い質を保ち続けている。そして何より本作は「王道」と言ってもいいほど熱い展開を見せるロボットアニメなのである。

『クロムクロ』は序盤からして王道のロボットアニメである。
「450年ぶりに遺物から目覚めた戦国時代の侍」という要素こそ突飛ではあるが、そんな侍に誘われてロボットに乗り込み、侵略者が送り込むロボットと戦う展開は王道そのものだし、主人公達がロボットに乗り込んで戦う中で手が届かずに犠牲となる人々がいて、そんな彼らの悲しみや怒りをもしっかりと描写されている。
主人公達と共に戦うロボット「GAUS」も主人公達の乗り込むロボット「クロムクロ」を研究して生み出された純地球制のロボットで、技術力の違いから性能こそ敵に劣るもののチームの連携や新型兵器、相手の隙をつく立ち回りによってしっかりと活躍する機会が与えらている辺りも実に熱い。パイロットも「口が悪いにもほどがあるものの、面倒見のいい兄貴分」「クールで口数の少ない副官」「と王道的なキャラクター造詣&配置になっている点も面白く、変化球のようなソフィーとセバスチャンも大人と子供の対比と子供・大人を超えた主従関係が効いていて楽しい。
またクロムクロのパワーアップも王道以外の何物でもない。敵から奪取された機体ということもあり、地球陣営側において唯一自己再生する敵に対してきわめて有効な攻撃手段を持つクロムクロだが、残念ながら飛行手段を持たず、空を飛べる敵に対してはほぼほぼ無力。エフィドルグの有するブルーバードに空へ打ち上げられてからは、地上にすら降りる事を許されず嬲られるしかない状態であったが、そこに助太刀として登場した飛行型のロボット「クロウ」との合体してパワーアップを果たす。
このクロムクロとクロウの合体は実に燃える展開だが、ここまでの描写を見るにこの展開は明らかに『マジンガーZ』におけるジェットスクランダーのオマージュとなる展開であろう。
2016年にもなって『マジンガーZ』におけるジェットスクランダーの装着→パワーアップの流れを主人公機がパワーアップする展開として組み込んでくるのは王道を通り越して古臭く見えそうなものだが、「クロウは第三勢力の機体である」と位置づけ、「第三勢力との共闘」という形へと昇華する事でしっかりと燃える展開に変えており、『クロムクロ』スタッフのアレンジャーとしてのセンスの良さが光る。
羽に該当する部分が母衣のように見える浪漫がありながらも、武器である十字槍はクロウに装着されたものが展開されて槍になるなど合理的極まりない構造になっている点も素晴らしく、メカデザインも含めて魅力的な作品だ。

最新話近辺では「エフィドルグは侵略する惑星の生物からクローンを生み出し、捏造した記憶を植えつけることで先兵として扱う」という事が判明するなどアイデンティティーのドラマが展開され、これまでとは少し違った魅力を見せている『クロムクロ』。「友達が死んだ」という深刻な展開になったかと思いきや、そのままにそうはならずに上手く軌道修正を行い、しかし「戦う事の覚悟」はきちんとしておくなど、シリーズを通してコントロールが効いた作品であるため、話が進めば進むほどその魅力は増していく本作をぜひ一度見てほしいところである。

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