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『μ's Final LoveLive!』という死と向き合った話 その3

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『μ's Final LoveLive!』を見始めた当初から私は「今自分は限りのない時間の中にいる!」という確信を得ていた。
あの楽しかった時間が、そしてここまで『ラブライブ!』と共に歩んできた時間がこの三枚の円盤の中に全て詰め込まれている。この映像が存在し続けている限り『ラブライブ!』は永遠だし、この円盤を再生さえすれば何度だって自分はこの時の気持ちに戻る事が出来る。そう思えてならなかったし、事実としてこの映像を見ている時の私はファイナルライブに参加していた、半年前の気持ちになっていた。
しかしながら円盤に記録された時間は有限である以上、私も半年前の私に永遠にいられるわけではない。
円盤の中で歌い踊り、そして輝く彼女達も同じである。
限られた時間の中で精一杯輝くことがスクールアイドルだと彼女達は言う。それこそが素晴らしいことなのだと叫ぶ。
ならば私も終わりの始まりに付き合うしか無い。限りない夢を限りある今の中で駆け抜けていく彼女達がどうなるのかを改めて見届けるしかない。
そんなわけで私は二枚目を見終わった後に間隔を開けること無く三枚目を挿入。再生を開始した。

・それは僕たちの奇跡

『ラブライブ!』が明確に「終わり」が意識され始めたのはいつか?と言われると難しいのだが、少なくともアニメにおいては『2nd season』のOPからそうだった。「最後まで駆け抜けるよ」という一文はこれまでの『ラブライブ!』にはなかったもので、「今を全力で駆け抜ける」といういつものテーマの中に、さり気なく混ぜられたその「最後」の二文字は『ラブライブ!』にとってある意味挑戦であり、同時に予言だったように思う。
このライブにおいても同じで、あえて終盤戦にコレを持ってきたのは「終わり」へと近づいている事を示唆するためだろう。
「最後まで駆け抜けるよ」は歌詞通りの意味であり、歌詞通りの意味ではない。その最後はキャラクター達が語り合った「最後」であり、ライブそのものの「最後」であり、プロジェクトそのものの最後でもあり、そして「μ's」の最後でもある。
いつもの見慣れたダンスも見慣れないものへと変わり、多層化・多面化された物語は「今は無限の時間ではない。終わりの未来と始まりの過去の狭間である」という事を意識させる。
これまで以上に完璧であるがゆえに、そこに込められた「終わり」はどうしても意識せざるを得ず、胸が締め付けられる気分になる。いや本当にいいんだ、この辺。
「最後まで駆け抜けるよ」を観客も含めて叫ぶことによる一体感。互いに互いを励まし合うあの光景は紛れもなくアイドルのそれであり、この光景を見れただけでも応援してきただけの意味があったと言える。円満な終わりを迎えられる作品は生み出される作品よりも遥かに少ない中、こうした「終わり」へと向けて走り抜けようとする覚悟をファンとキャストが確かめ合う構図の美しさはもはや涙なしには見れまい。

・ミはμ'sicのミ

『ラブライブ!』と言うプロジェクトの特異な点の一つは「ファンの声を積極的に取り込むギミック」を当初から想定していたことだろう。「ユーザー参加型企画」としては当然のことかもしれないが、あえてそのギミックを残していたからこそ「ファンとともに歩んでいくコンテンツ」としての魅力が生まれ、今日の輝きに繋がったのである。
そんなギミックをフルに活用し、「ファンとともに作る楽曲」として誕生した「ミはμ'sicのミ」はファンとμ'sが繋がっていた事を物語る重要な「作品」だ。初披露となったのはファンミーティングのことだが、誰でも出来るようにしっかりと考え抜かれた振付はファンとμ'sがいつも傍にいる事を何度も確かめさせてくれる。宗教みたい? ライブは宗教行事だし、伝授された振付は宗教儀礼だよ!
それにしてもこの辺の圧縮具合ったら、たまらない。MCもそこそこに、この楽曲から一気に畳み掛けるように次々と楽曲が展開されていく。それも「ライブでやったら盛り上がる」と思われる楽曲ばかりであり、ゴリゴリと圧縮しながら繰り出されていくことによって生じる高揚感と来たら! もう筋肉痛だとか体力の問題とかどうでも良くなるなぁ。

・Super LOVE=SuperLIVE!

所謂「タオル曲」と言う奴である。『ラブライブ!』でもいくつかタオルを振り回す楽曲はあるのだが、あるライブのために書き下ろされた楽曲であったり、ユニット曲であったりと微妙に使いづらいものばかりであった。今回披露されたこの「Super LOVE=SuperLIVE!」はそういう意味では「使い勝手のいい」と言える楽曲で、ライブ終盤にかけて使用されることを想定されているのか、やたらと疾走感がある作りとなっている。
最後のサビ直前には割りと長めに尺を取り、コール&レスポンスをやっていたりする点も流石の仕事。キャストと観客達が一体となり、一つのパフォーマンスを作り上げていくこの楽しさは「最高」だ。

・No brand girls

『3rd ライブ』以来すっかり定番となっている「鉄板曲」であるが、『Final LoveLive!!』でもやはり「安定の楽しさ」であった。
派手で熱い演出の数々に、冴えまくったライティング。キレッキレのダンスに、会場を全力で盛り上げようとしてくるあのパフォーマンスの数々。どれをとっても素晴らしく、MC芸もあって否が応でも楽しい気分にさせてくれる。
最後であることを感じさせないようにするために、あえて「盛り上がること間違い無し」の楽曲をこのタイミングで打ってきたのだと思うが、その判断は極めて正しいと言わざるをえない。あまりにも楽しくてあまりにも熱いパフォーマンスに、気合が入る応援は、最初から漂わせていた終わりの雰囲気を見事なまでに吹き飛ばしてくれた。「楽しい。この楽しい時間がまだ続けばいい」と心のそこから思わせてくれた。
そんな楽しい時間の最後を演出したこの「No brand girls」は今回も最高に楽しかった……。

・Kira-Kira Sensation!

『2nd season』から始まった時間は『2nd season』で終わる。そういうコンセプトなのだと思う。この楽曲ほど「終わり」の予告に相応しい楽曲もない以上、この楽曲を流してしまえばどうやっても終わるのである。
そんなわけで「Kira-Kira Sensation!」が流れた時、私は全く持って穏やかじゃなかった。「僕らは今のなかで」を彷彿とさせるイントロから始まり、「奇跡 それは今さ ここなんだ」と今ここに立っている事そのものを奇跡と謳う。「皆の思いが導いた場所なんだ」と我々観客に向けて歌う事は、「ここが終着駅」ということ以外の何物でもない。「ここまで導いてくれて、応援してくれてありがとう」と言う歌であるこの楽曲を聞いて、穏やかでいられるはずがない。穏やかでいられるとしたら、歌詞の意味を全くもって理解していない人間ぐらいである。
「歌うしかない」と歌い続ける彼女達を見て心をかき乱され、「ついに一緒にきたよ」で「ここまでともに歩んできたことの意味」を噛み締めさせられる。「皆で楽しもう」と全力で自らも楽しみながら歌う九人の姿はキラキラと輝いていた。そして……。

・SUNNY DAY SONG

「スクールアイドルの、スクールアイドルによる、スクールアイドルのための、スクールアイドル賛歌」ともいうべき楽曲であるが、素晴らしい点は「観客も含めた全員で同じ振付をやる」という事に尽きると思う。というのもこの楽曲は「μ's」の楽曲ではなく、スクールアイドルを愛する者達の楽曲だからで、「サビで皆で同じ振付をやる」ということはそのまま作中表現の再現に繋がっているからだ。
誰か一人の力ではなく、皆の力で明日を照らす太陽のような存在になる。
そういう楽曲だからこの楽曲は『劇場版』のクライマックスを飾る楽曲としての格があるし、皆で同じことをやる意味がある。
楽曲の入りで九人で太陽を形作るあのポージングもたまらない。

「輝きになろう」。私は輝きになったぞ!

・START:DASH!!

『ラブライブ!』と言う作品が今日の繁栄を得る事ができたのはアニメが多くの人達に受け入れられたからだが、今後の方向性を明確に決定づけたのはこの楽曲が使用された三話だろう。三話で「ファーストライブ大失敗」と言う展開を衝撃的に描いたからこそ、「この監督はここまでやるし、この作品は女子高生がアイドルをやっているだけでは終わらない作品だぞ」という事をファンに印象づける事が出来たのだ。
そんなこの楽曲をここにきて持ってきた事にも意味がある。
それは「ここから最後の最後まで駆け抜けてみせるぞ」という意思表示であり、ここからがまた新たな始まりという決意だ。
もうなんというか何回見てもこの楽曲の少し切ないながらも、始まりの鼓動を確かに感じさせるメロディラインは芸術的だなぁ、と思うのだけれど、実際のパフォーマンスを見てもそれほど難しい動きをしていないからこそ回数を重ねるごとに洗練されていく様がアイドルだな!って強く思います。

・Snow halation

スーパーロング+俯瞰でスノハレ中の東京ドームを捉えると、「これが人の意思が作り出す輝き……」と『ガンダムUC』みたいな事を言いたくなる。そういえば京極監督は『ガンダムUC』四話で師匠の菱田監督や綿田監督と一緒に演出をやってましたね。
言うまでもなく最高。

・Oh, Love&Peace!

この辺からはトロッコを使用して最後の周回プレイ。使用されるとたら「愛してるばんざーい!」か「Oh, Love&Peace!」のどちらかだろうと考えていたのだけれど、こっちを選んだのは「愛してるばんざーい!」だとエンドマーク力が高すぎるからだろう。実際「Wonderful Rush」以前/以降で明確にテーマ性が変化しているわけで、「終わっても続いていく」ということを考えるならこっちしかないだろうな、と思う。それにしてもトロッコがよく使用されるライブで、四時間もあるのに捨て席がほぼないのは素晴らしい事だな、と思います。

・きっと青春が聞こえる

今回のライブは最後ということで構成としてはガチガチで遊び心の全くない、逆に言えばそれだけ本気の殺意しか感じられないのだが、その中でも唯一と言ってもいい自由枠がここです。自由枠ではあるけど、エンディング曲。それも合唱することを求めてくるという辺りが凄いというか。
これが『ラブライブ!』だなぁ。

・MC

「二日目がある」ということを加味しても「これで終わり」ということを強く感じさせる。笑顔に溢れているけど、同時に別れることへの悲しさ、寂しさもあって。とはいえ、このMCの間もずっと「全力」で駆け抜けようとした九人の姿は美しいと思う。

・MOMENT RING

総合芸術。この楽曲にμ'sの全てが詰まっていると言っても過言ではない。
まず入りからして凄い。アニメや各種メディアで展開されてきたキャラクター達の特徴を捉えたモーションを九人分全て盛り込んでいる。当然一人一人の習熟度の違いを踏まえて盛り込んでいるのだと思うが、楽曲が本格的に始まるあの僅かな時間の中で全員の個性を感じさせる動きを九人分も展開し、キャラクターとキャストがともに紡いできた物語であることを今一度強調してくるあの振付は、『ラブライブ!』という作品だからこそ出来るものだ。この段階でもう驚きと喜びで声を上げながら震えるレベルであるが、以降の振付も「これが最後」ということで惜しみなく切り札を切っており、もはや「一つ動くたびに感動を呼ぶ」という領域にまで到達している。あまりにも可愛く、あまりにもエッジの効いた振付は何度見ても素晴らしい。天才だ。
特に素晴らしいのは各シングル曲の印象的なポージングを一番いいところ――すなわち「無謀な夢から始まって」のところで見せてきたことだろう。『ラブライブ!』というプロジェクトもμ'sというユニットも「無謀な夢」から始まった。しかし無謀であっても前に進み続け、歩みを止めなかったからこそ今がある。
「僕らのLive 君とのLife」から始まったシングル曲をその足跡として捉え、その足跡を九人全員で見せるあの振付は「これまでのμ'sの全て」だと言っても決して間違いではないだろう。そしてその足跡一つ一つが奇跡のように繋がったからこそ、このステージなのだ。全てはここに繋がるのである!
また「ここまで色んな事があって、色んなものと出会えた。だからこれからもよろしくお願いします」という歌詞は、彼女達からのメッセージだと言っていいだろう。『ラブライブ!』もμ'sもここで一度企画的にはお別れとなるが、しかしだからといってこれまでの日々が終わりになるわけではない。μ'sの歌を歌う時、思い出す時、人はいつでも『ラブライブ!』と歩んできた瞬間へと戻ることが出来る。
だからこれは永遠のお別れではない。またいつか戻ってくる。いつでもまた会える。
そういう楽曲をこうしてμ'sの歩みとともに展開した、この楽曲はあらゆる点においてパーフェクト。「μ's」というユニット全てを包括するが故に、「総合芸術」なのである。

・僕たちはひとつの光

私が好きなアイドルアニメの一つに『アイドル伝説えり子』と『アイドル天使ようこそようこ』と言う作品があって、どっちも「アイドルってなんだろう」的なテーマがあって、最後は「アイドルってこういうものだろう」という決着の仕方をする。特に後者は「どんな暗黒の世の中であっても、希望を謳い、頑張るアイドルの姿は世界を明るくする太陽になりうる」という事を描いていて、滅茶苦茶凄い作品だと今でも思うのだが、「僕たちはひとつの光」のステージはそれに匹敵するものだったと思う。
「今が最高!」と彼女達は叫ぶが、『ラブライブ!』という作品と接している時の私はまさしく「今が最高!」だった。どんなことでも乗り越えられるような強い気持ちになっていた。そしてこのステージを見ている時も、私は「今が最高!」という思いを抱いていた。
これで終わりだなんて考えない。ただ今この瞬間が最高であればそれでいい。
その想いで叫んだ「今が最高!」という言葉は、一言で言えば何の効力も持たない言葉だけれど、この「今が最高!」と思えた時間はどんなことがあっても忘れてはならないことだし、挫けそうになった時に自分を励ましてくれる最高の時間だと思うのだ。

ところで早着替えのあのギミック、何回でも見たいし構造が気になるので衣装展をやるか衣装デザインのみを収録した本を出してください。お願いします。



そんなわけで「死と向き合う」という無謀な冒険の果てに精神的な死を幾度も経験し、生まれ変わったような気持ちになっている私である。
これから先どんなことがあっても、もう何も怖くない。もといもう何も恐れるものはない。スタイリッシュタフガイである。この時の記憶と想い出が、自分を奮い立たせてくれるだろうと確信している。μ'sは私の中で永遠になったと言ってもいいだろう。
アイドルはアイドルだから解散したからといって消滅しない。思いと記憶とともに一人一人の中で永遠になる。
μ'sもまた永遠になったのである。この円盤を見るたびにその事を改めて感じてしまう。
μ'sとともに歩んだ、そしてこれからも歩み続けていく「今」が最高!

円盤はまだ二日目分の三枚があるし、「本当に声が出なくなり、声が出たことで涙を流す内田彩」とか「高坂穂乃果の言葉なのか、新田恵海の言葉なのかわからなくなる最後のMC」とか色々書きたい事はあるのだが、それをやりだすと本当にキリが無くなるので止めておく。自分で買って確認してください。最高なんで。本当。マジで。



最後にコミックマーケット91に無事に当選しているので、よろしくお願いします。
【三日目 東2 V18-a 魔界戦線】です。
新刊はラブライブ!サンシャイン!!とアイカツ!です。
詳しい事はWEBカタログでご確認ください。こちらからどうぞ


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