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『FINAL FANTASY 15』絆と思い出が与える人としての救済について

コミケで上京していたので現代美術科の村上隆が監督を務めた『6HP/シックスハートプリンセス』を見ることが出来たのだが、内容については一先ず置いておくとして「いつまでも試行錯誤して完成に向かって全く前進しないさま」を「同人的」と表現して釈明する村上隆をそのコミックマーケット開催中の真っただ中に放送するテレビ局の攻めっぷりが凄かった。コミックマーケットで頒布されているものは「ここで完成」として出したものが大半なわけで、村上隆の語る「同人的」とは真逆のものなんだよなぁ。思いっきり殴りつけてるけど、あのテレビ局は大丈夫なんだろうか……。まあ実際未完成だったわけだし仕方がないか……。
超余談ですけど、あの後半のドキュメンタリーは「いかにしてプロジェクトが破綻するのか」ということを適切に語っているので、プロジェクト運営に携わる人間は一度は見ておいた方がいいかと。もう典型例みたいな事を全部やってるので。破綻するべく破綻したという分かりやすい映像なので。「こういうのはダメ」という事を書き出しておくだけで勉強になると思いますね。

しかし逃げ出したスタッフは正解だよなぁ……。ここにいても未来はなさそうだもんなぁ……。過去の妄執ですよ、あれ……。



2016年末に『FINAL FANTASY 15』をクリアした。
『14』はオンラインゲームであるため手を出しておらず、『13』から始まったライトニングサーガ三部作は最初の一作のみをプレイしただけであるため、大体七年ぶりとなる『FINAL FANTASY』であったが、そんな自分にも「大傑作」と言い切れるほど素晴らしいゲームだった。
オープンワールドになった世界は驚きであふれ、アクションRPGとなった戦闘はスピーディーで自分で展開を作り出していく楽しさを与えてくれたのだが、個人的に特に素晴らしいと思うのはその物語だ。父と子、そして仲間たちと紡ぐ絆の物語が何より素晴らしかったのである。

『FF15』のストーリーは端的に言えば「どこにでもいるような青年がひょんなことから王としての責務を背負わされ、真の王になるために成長していく」というものだ。自身の結婚式に出るために隣国を目指していたノクティスは、道中で母国の王都が帝国に支配され、現王である父親がその戦いの中で死んだことを知る。予期せぬ形で王としての責務を背負わされたノクティスは帝国から母国を救うために立ち上がる!と話そのものは王道を征くものではあるのだが、この展開を燃える演出ではなくシリアスで重い演出にしていることからも分かる通り、本作は「王道的な燃え」とは全く無縁の作品だ。むしろ本作は「ノクティスが王になる事を期待される」物語だと言ってもよい。そこに「王にならない」という選択肢を選ぶ――つまりノクティスの自由意志が介入する余地が存在しない。
前述したように、ノクティスは「どこにででもいるような青年」だ。
プロンプトやイグニス、グラディオラスともごくごく普通の友人関係を築いていたし、自身の結婚式会場までの時間(つまり王になるまでのわずかな時間)を共に楽しもうとしていた。結婚式会場には自分の愛した人がいて、ごくごく普通の幸せを手にしようとしていた。しかし帝国の侵攻によりその幸せは瓦解し、ノクティスは王になる事を強いられる。
彼の思惑とは関係なく状況も人も神も彼を「次の王」として見て、王としてこの世界を救うことを求めてくる。
つかの間のモラトリアムだった「友人との旅」は「王と従者が世界を救うための手段を手にするための旅」へと変わり、ノクティスは王になることを強いられていくのである。
本作が重く苦しく辛い印象を残す理由はそこにある。
おそらく自分自身の意思でノクティスが王になる事を決めていたのであれば辛くはなかっただろう。ノクティスが最初に覚悟していたのであれば、それは彼自身の覚悟を試す試練になるし、王としての資質を問う物語になっていたのだから。
しかし本作においてノクティスは覚悟をする余裕などないまま「王」になることを強いられる。
だから辛い。覚悟さえしていれば歯を食いしばって耐えられたかもしれない事なのに、彼はあらゆるものを失い、涙を流しながら前へと進んでいく。自分自身の意思なのか他者からの期待なのかを理解せず歩くがゆえに、犠牲は「彼の責任」「背負うべきもの」として降りかかっていく。それが分かっているだけに、ノクティスと仲間達の旅に付き合うプレイヤーの胸は締め付けられる。
「本当は普通の青年なんだ」ということを強く理解しているがために、ノクティスや仲間達が傷つていく姿には辛さしかない。
しかしそんなノクティスの旅が「辛いものだけだったか」というとそうではなかった。
様々な景色があったし、様々な人とも出会えた。そして何より、彼の傍にはいつも仲間がいた。
その仲間や旅の途中で出会った人々、そして「旅の思い出」が本作の最後に繋がってくる。
本作においてノクティスは全てを捧げて世界を救う。「真の王」として相応しい展開であるし、おそらく彼の名は未来永劫「真の王」として語り継がれていく事だろう。
だが、ノクティスは王であると共にどこにでもいるような「人間」だったのだ。
運命に翻弄され、王としての重責を背負い、全てを捧げようとするノクティス。
彼の人としての最後の言葉を、思いを、姿を見届けてくれた仲間達の存在は、これからも続いてくあの世界の歴史の中では些細なことかもしれない。しかしノクティスにとって彼らの存在は救いだったのだ。自分を王としてではなく、「ノクティスだから」という理由でついてきてくれた彼らが最後の最後の瞬間まで一緒にいてくれたことが、彼らと旅の中で紡いできた思い出がノクティスにとって何よりの救いだったのだ。
だから彼らと最後の夜を過ごした時、ノクティスは言うのだ。王としてではなく人間として。
「やっぱ、つれぇわ」と。
この言葉を覚えておいてくれる仲間達がいたから、ノクティスは王としての責務を果たすことが出来たに違いない。

本作は色々と物足りないところがある。物語面でも欠けているところがないわけではない。
しかしそれでも本作が素晴らしかったのは「真の王になる物語」を貫き、「絆」を感じさせてくれたからだ。
DLCなどが存在するが、出来れば寄り道をたっぷりめにしながらプレイしてほしい。




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