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『リルリルフェアリル』種族を超えた恋愛を巡るりっぷとローズの描写について

『リルリルフェアリル~妖精のドア~』は人間(作中ではヒューマル)と妖精(作中ではフェアリル)の交流と絆を描いた物語だ。
ヒューマルとフェアリル。異なる世界で暮らし、異なる文化を持つ二つの種族と交流は友情もあり、自分の夢を追う熱さもありで種族の壁を乗り越えて強い絆で結ばれたヒューマルとフェアリルの作る「バディ」という関係性は多様的で、実に面白い。
自作した服やアクセサリを販売する洋服屋を営む青葉ゆかりとバディになったすみれに、かのとはるととバディになり夢を追いかけはじめたひまわりとダンテなどどれも印象深いバディだが、その中でも特に重要なのは「りっぷと望」「ローズと優斗」だろう。
なぜならこの二組は「種族を超えた恋愛」という物語を背負わされた者達としてあまりにも対照的な描写がされており、「種族を超えることの難しさ」と「結ばれた時の喜び」を実感させる二組だからだ。

りっぷもローズもヒューマルへの恋心を持っていた。
りっぷは生まれてくる時に見た望の姿に、ローズは初めてヒューマルの世界に来た時に恋に落ちた。その想いは二人の頑張る理由として力になっていたわけだが、ヒューマルとフェアリルの恋愛には「人間と恋愛をしたフェアリルは羽根を失い、その恋愛から想いが冷めてしまうとフェアリルは消滅してしまう」という大きな障害があった。
この事実を知らされたりっぷとローズは大きなショックを受けるのだが、そのショックの後に取った行動によってローズとりっぷの立ち位置は大きく変化し、二人は対極に位置する存在となった。

ヒューマルの世界への扉を開くことに成功したローズは優斗の元へと向かった。
「片思いでもいい。せめて最後に……」という思いで優斗を見守っていたローズであったが、真正面からぶつかっていくローズの真剣さと他者への慈愛は優斗の心を動かし、二人はバディとなった。「器用そうに見えて、対人関係についてが不器用気味」というローズだからこそ真正面からぶつかり、一度蓋をしようとした想いに身を任せる事で「バディ」と言う最高の関係性を手に入れて自分の幸せを勝ち取ることができたのだ。

一方りっぷはというと、自分の本心には気づいているものの、ある理由により望に本心を打ち明けられずに封じ込める道を選んだ。その理由とは「自分は望が探し求めたフェアリルだから、正体を明かせば愛してくれるだろう。しかしそれは私を愛してくれているわけではない」というもので、望のフェアリル愛が純粋であることを知っているからこそ、りっぷはその純粋な想いに苦しめられる。
りっぷに『プリティーリズム・レインボーライブ』の天羽ジュネのような「それでも私は愛に生きる」と言い切れる強さや、手段を問わずに好きなものは手に入れる悪女の気質があれば、このような苦しみを味わうことはなかっただろう。しかしりっぷは健気で純粋な性格で独善的な考え方を持っていない。だから苦しい。だから辛い。だから「本心を封じ込める」という道を選ぶ。
あまりにも悲恋だ。その想いを封じ込めて、「皆を笑顔にするアイドル」という夢を追いかけ始めるりっぷの姿は何とも痛ましい限りである。隣りにいるローズは想いを通じ合わせる喜びを得たというのに……。

悲恋の色が濃くなってきた本作だが、まだ希望は残されている。なぜなら、望の口から全てが語られたわけではないのだから。
りっぷの恋は結ばれるのだろう。本作は皆の笑顔で終わるのだろう。
その笑顔の世界に繋がる筋道がどうなるのだろうか。見守りたい。


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