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『劇場版プリパラ』に見る「きっかけをくれた人との友情」の価値について

『劇場版プリパラ み~んなでかがやけ!キラリン☆スターライブ!』が凄かった。「『プリパラ』がファンと共に歩んできたこの約三年の時間が出し惜しみすることなく全て詰め込まれている」と言ってもいいほど、『プリパラ』として最高の劇場版アニメだった。
ぷちゅう(プリパラの中にある宇宙)を巡って、プリパラの魅力でぷちゅう人達と交流していく旅も『プリパラ』が大切にしていた「みんな友達!みんなアイドル!」というテーマを感じさせるものであり、ファーストコンタクト物の面白さと『プリパラ』の魅力を上手に混ざり合わせ、双方の調和が取れた物語へと仕上げられている。
シリーズの魅力の一つとなっているライブには神アイドル編の楽曲が中心となりつつもそふぃファン待望の新曲にプリパラアイドル全員のステージもありと盛りだくさん。昨年姉妹作品である『KING OF PRISM』のヒットのおかげで定着した応援上映会のノウハウをフルに活かして盛り込まれた「応援上映会の開催を前提とした演出」はこれまで以上に自然なもの。「踊ってもいい」というのは子供向け作品には見られるが、その際の諸注意までも作品の演出に組み込んでしまうことで「みんな友達!みんなアイドル!」を際立たせている。応援コールの可視化は文字の視認しやすさと作品演出とのバランスに苦心しそうなところだが、ちょうどいい辺りに落とし込まれていて、応援上映会でなくても違和感を感じることなく楽しむことが出来るだろう。

毎週シナリオが変わるルート分岐は今回も存在し、総じて「『プリパラ』の総決算」「『アイドルタイム』ではないただの『プリパラ』の一つの集大成」という印象を強く受ける作品なのだが、今回特に素晴らしかったのはルート分岐後に描かれる世界である。
これまで『プリパラ』では、前シリーズ『プリティーリズム』のプリズムショーを紹介するルート分岐や、プリパリへ向かう途中の他のアイドル達の様子を描いたルート分岐など様々なルート分岐をやってきたが、今回のルート分岐で描かれるのは「この世界とは違う道を歩んだ世界」。我々の知る『プリパラ』とはまた少し違った「もしあの時こうだったら」というifをルート分岐という形で描かれる。
現在公開中のらぁらルートで描かれるのは「らぁらが初めてプリパラに行った時に出会ったのがみれぃではなく、幼少期からの友人であるなおだったら」というものだったのだが、このifの可能性を描いたことで「みれぃと出会った事」は『プリパラ』という作品の中で特別なものとなったと言ってもいいだろう。あの時の出会いは最高に価値のある出会いだったのである。
このらぁらルートで描かれるifの世界では単純にみれぃがやったことがなおに置き換えられている。アイドルの世界へと勧誘するのもなおだし、アイドルデビューに躊躇するらぁらを「プリパラが好きなら大丈夫」と励まし、背中を押すのもなおである。らぁらはなおに誘われ、アイドルデビューを果たす。もちろんプリズムボイスも発揮されるし、そのプリズムボイスによってファルルはらぁらに興味を持っている様子もきっちり描かれているのだが、この事から推察するにみれぃの役割をなおが果たしたとしても大きな変化はないのだろう。おそらく誰と出会ってもらぁらはアイドルデビューを果たすし、プリズムボイスを発揮していたに違いない。大局的に見ればみれぃもなおも「らぁらをデビューさせるきっかけを作った要因の一つ」であり、それ以上の価値は存在しないのである。
しかし誰と出会ったとしても結果は変わらないからこそ、あの時偶然出会った事には特別な意味を持つのだ。
確かにみれぃと出会ってもなおと出会っても、らぁらがアイドルデビューをする結果は揺るがない。そふぃでもちゃん子でもおそらくらぁらはデビューしていただろう。だが、「出会うのは誰でもいい」からこそ、『誰と出会ったか』は無数に存在する可能性の中で選ばれた「特別なもの」なのである。故にこの展開は我々の知る「みれぃとらぁらの出会い」を逆説的に特別なものへ変えていく。
無数に存在する可能性の中で「らぁらのデビューのきっかけを作る存在」として選ばれたみれぃは、この世界のらぁらにとって間違いなく特別な存在だ。
それはみれぃにとってもそうだろう。あの時、みれぃが出会う相手はらぁらじゃなかった可能性もあるのだ。
みれぃのことだから、おそらくらぁらでなくとも彼女はアイドルとして大成していただろう。しかしあの時らぁらに出会ったから今のこの世界のみれぃがある。その事実は紛れもない真実だ。無数に存在する可能性の中でこの世界だけが放つオリジナルな輝きだ。

今回用意されたルートは残り二つ。ひびきルートとみれぃルートだ。
らぁらルートは「無数の可能性の中でらぁらとみれぃが出会えたこと」を特別なものへと変えてくれた。ではひびきルートとみれぃルートはどんな可能性を見せてくれるのだろうか。例によって十回以上見そうな勢いではあるが、最後の最後まで見たいところだ。


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