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『プリキュアドリームスターズ!』かつて物語の主人公だった者達だからこその説得力について

歴代のプリキュア達が全員集合する『プリキュアオールスターズ』。2016年の『映画 プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!』ではシリーズ最多の44人のプリキュア達でシリーズ初となるミュージカル映画にも挑戦し、新しいものに絶えず挑戦し続ける「プリキュア」と言うシリーズの力強さを印象づけてくれたが、そんな『プリキュアオールスターズ』のチャレンジスピリッツを受け継いで今年の春のプリキュア映画として制作された『プリキュアドリームスターズ!』はプリキュア映画の新たな可能性に挑む凄い作品だった。

『プリキュアドリームスターズ!』の物語を簡単に述べるとこうだ。
『キラキラ☆プリキュアアラモード』の主人公・宇佐美いちかは桜の切り株の傍で謎の少女「サクラ」と出会う。「桜が原」という異世界から来たというサクラは身を挺して自分を逃してくれた友達「シズク」を救うために、カードに記された「スイーツ」「鍵」「宝石」に該当する存在を探しているという。サクラと友達になったいちか達はサクラに協力するべく、カードに書かれたアイテムを持つ存在=プリキュアを探し出し、サクラを手中に収めようとする存在――鴉天狗と戦い、シズクを取り戻す。
今回の『プリキュアドリームスターズ!』に登場するキャラクター達はそれぞれ独立した世界を持っていることから、これまでの『オールスターズ』で見られたような「それぞれの作品を同一世界として扱い、クロスオーバーさせていく」という手法を取るのではなく、オリジナルキャラクターであるサクラやシズクをそれぞれの世界を繋ぐ橋渡し役として機能させる事でクロスオーバーさせていく過程がまず面白い。
『魔法つかいプリキュア!』の世界で仲間を探すいちか・ひまり・あおいの中学生組は「魔法の存在する世界」の何でもありさ加減に振り回されつつ本人の持ち前の資質で仲間を勝ち取っていく姿はドタバタコメディのようで見ていて楽しく、『Go!プリンセスプリキュア』の世界へやってきたゆかり・あきらの高校生組はあきらの無自覚なイケメン挙動で周囲に発生した勘違い感がシリアスな笑いを誘う。
プリキュアが全員揃ってからはサクラとシズクの物語へとシフトしていき、どんなことでも諦めずに前を向き続けるいちかに勇気づけられる形で見せるサクラの奮闘っぷりに応援したい気持ちにさせられるのだが、素晴らしいのは『魔法つかいプリキュア!』も『Go!プリンセスプリキュア』も決しているだけの存在ではなく、むしろ物語を一つ終えて、自分達なりの結論を出しているからこそのアドバイスをいちかとサクラの双方に送っていることだろう。
『魔法使いプリキュア!』と言う作品は人と人、世界と世界が繋ぐ力と美しさを描いた作品だった。だから本作の中でシズクの事を想うサクラに対してその絆を強く信じることの大切さと、その絆がもたらす力の尊さを説いた時に強い説得力が生まれており、『魔法使いプリキュア!』を見ていた人間にとってはぐっと来る描写になっていたし、『Go!プリンセスプリキュア』は自分のなりたい自分になるために絶対に諦めずに歩み続ける事の大切さを描いていた作品なので諦めそうになる心を奮い立たせる際に強い意味を生み出す言葉を投げかけていた。
クロスオーバー物の面白さの一つに「異なる作品同士のキャラクターが出会い、交流するからこそ自分達の背負っているものに見識を深めたり、意味を改めて勝ち取ったりする」というのがあると思うが、今回の『プリキュアドリームスターズ!』はそうした「一つの物語を終えた者達からの言葉で自分の想いを更に強くする」という描写が見られた。「彼女達でなければいけない理由」がしっかりされていたのは過去作も見ている人間にとってとても嬉しいことだった。

また映像面では3DCGと手描きを組み合わせている点が熱い。
「桜が原は3DCG」「プリキュア達の世界は手描き」という形でそれぞれの世界を作画手法の違いで表現しているのだが、単に「手法が違う」というだけでなく、桜が原に戻った後のサクラに対して「姿が変わっている」と言う表現がされているように、手法の違いを同一人物の「本来の姿/別世界での姿」として扱っている点が面白かった。
またプリキュア達は桜が原に来た当初は手描きであるものの、あるプロセスを踏む事で3DCG化されて各所に桜があしらわれた衣装へとフォームチェンジ。この3DCG化された姿は「今作限定フォーム」と言ってもいいもので、こうした形でいつものものに変化をつけてきたのはとてもユニークであった。

唯一残念だったのは「観客に呼びかける」というシーンが数か所あり、そこで物語が停滞してしまうこと。
元々ヒーローショーに近いテイストがあるシリーズなので、こうした演出があることは別段珍しい事ではないのだが、今作はそこで現実に引き戻されて没入感が落ちているところがあるので、そこだけは残念だった。あ、ここでも3DCGのレンダリング処理の方法を変えている点は凄いと思います。

ともあれ、「『オールスターズ』シリーズの流れを受け継ぎつつも、新たなものを作り上げてきたな」と実感できる辺り、宮本浩史監督と東映の挑戦は成功しているように思う。願わくば、来年には今回の挑戦がより凄い作品になって実を結んで欲しいところである。



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