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『アイドルタイム・プリパラ』シリーズが変わってもパワーダウンさせない作品の作り方

『アイドルタイム・プリパラ』が面白い。
それは「女子がアイドルをやるなんてありえない」という空気感に立ち向かう逆境の物語が面白いという事でもあるし、「パパラ宿のプリパラを盛り上げて自分達で自分達のプリパラを作り出していく」というフロンティアスピリッツを感じさせるデザインが面白いという事でもあるのだが、ともあれ『アイドルタイム・プリパラ』が放送直前まで心に懐いて仕方がなかった一抹の不安をも吹き飛ばす作品であった事を、『プリパラ』の一ファンとして喜ばしく思う。どんなプリパラもプリパラなんだ。
それはさておき『アイドルタイム・プリパラ』を見ていて、最近強く感じるのは「『プリパラ』から続投されたキャラクターの格も、作品全体としてパワーダウンを全くしていない」という点である。一度タイトルも含めてシリーズを仕切り直し、物語の主軸(とりわけ成長要素)の担い手が神アイドルにまで辿り着いた真中らぁらから新キャラクターで新人アイドルの夢川ゆいになっているにも関わらず、『アイドルタイム・プリパラ』という作品そのものは『プリパラ』からパワーダウンした印象を微塵も感じさせないのだ。
こうした印象を受けるのは、夢川ゆいには夢川ゆいの、真中らぁらには真中らぁらの物語が存在することをきちんと意識し、視点も立場も違うアイドル二人が「パパラ宿のプリパラを盛り上げる」という一つの目的のためにアイドル活動に励む物語がきちんと組まれているからだろう。本作は「神アイドル(=アイドルの頂点)になったからといってアイドルの物語は終わるわけではない」という事を明確かつ意識的に描いているのである。

夢川ゆいにとって「パパラ宿のプリパラを盛り上げる」というのは自分の夢を叶える物語である。
彼女はプリパラに憧れ、プリパラアイドルになりたいと思っていた。しかし彼女の街に出来たプリパラは、元々あった男子プリパラの影響もあって「アイドルは男子がやるもの」という意識が強く、どれだけ宣伝してもなかなか人は来てくれない。神アイドルであるらぁらやみれぃ、そふぃの活躍によってどうにか「プリパラ」というものへの注目度は上がり、「私もアイドルになりたい」という存在が増え始めているが、まだまだ彼女が夢に見たプリパラの姿とは程遠い。なにせゆいとらぁら以外のアイドル達はまだ歌うどころか、デビューすらしていないのだから!
故に夢川ゆいの視点に寄せた『アイドルタイム・プリパラ』は「彼女が自分の力で夢を叶える物語」だと言える。「夢はもう夢じゃない」とは「Make it!」の歌詞だが、彼女が夢を「夢じゃないもの(=現実)」に変えた時に彼女のアイドルとしての真価が見えてくるはずだ。
一方、真中らぁらにとっての「パパラ宿のプリパラを盛り上げる」というのは「神アイドルの使命だから」に過ぎない。
もちろん彼女のプリパラへの愛情は依然と変わらないし、その愛情もその目的には多分に影響を与えているはずだが、パパラ宿にやってきた理由は「神アイドルの使命のため」であり、「夢」と呼ぶべきものにまでなっている夢川ゆいとは情熱が違う。ゆいはこのパパラ宿でなければダメだが、らぁらは例えパメリカやゴビ砂漠やペジプトであったとしても神アイドルの使命として「プリパラを盛り上げる」という目的に尽力していたはずで、「パパラ宿に暮らす新人アイドルの夢川ゆい」とは視点も立場も違う。言ってしまえばこのパパラ宿での経験はらぁらにとって、「神アイドルとして活動していく中での最初の一歩」に過ぎないのだ。
しかしながら運命のめぐりあわせか、はたまたプリパラの女神の導きか。プリパラに熱い想いを持つ新人アイドルと神アイドル一年生が出会い、目的が合致し、物語は始まった。らぁらは神アイドルとしてパパラ宿を盛り上げなければならないし、ゆいはプリパラで夢を叶えるためにパパラ宿を盛り上げていく。地元で暮らす新人アイドルと外からやってきた神アイドルという組み合わせだからこそ、互いの足りないところを補い合い、ある一つの目的のために邁進する姿は『アイドルタイム・プリパラ』という作品ならではの味わい深さがあり、『プリパラ』が一つのテーマにしてきた「友情」を感じさせる。
加えて、前作から受け継がれていた要素がきちんと本作風に位置づけを調整されているのも面白いところで。
例えば「スーパーサイリウムコーデ」は前作では「神アイドルグランプリへの挑戦権を有するものに、プリパラの女神が授けるもの」ということもあり、「手にするのも難しいアイテム」として描かれていたが、本作では「すでに神アイドルになっている」ということからか、らぁら達はサクッと入手しており、ゆいは未だに手にすることすらできていない。
「アイテムそのものの格は変わっていないが、らぁら達の実力が実力なので簡単に獲得できる」という描き方はインフレ化を抑制する意味でも良い描き方ではないだろうか。あと「神アイドルのらぁら達はサイリウムタイム時に背後にサインが出る」というのはゆいの格を下げない良い変化のつけ方だと思います。

『アイドルタイム・プリパラ』は一年物なだけに非常に丁寧な物語展開を続けている。ようやく二人目のアイドルにスポットライトが当たるようだが、彼女はアイドルに興味が無い。そんな少女がアイドルになる理由は一体何なのか。『けものフレンズ』の田辺茂範氏も脚本チームに加わった本作、今からでも間に合うので見てほしい。

余談だが、真中らぁらの「やるだけやってみて、ダメそうならその時にまた考える」という性格は『アイドルタイム・プリパラ』においては、「新人アイドルと共に同じように悩む」という点で良い意味で生きているように思う。アイドル歴こそらぁらの方が先輩であるが、先輩風を吹かすのではなく同じ目線・同じ立場で寄り添いながら一緒に答えを出していく姿はゆいの成長を見る意味でも効果的に作用しているように思う。いつかはらぁらもいなくなる……と思うが、その時にゆいがらぁらと共に笑い悩んだ事でどのようなアイドルになっているのかが楽しみだ。

 






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