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『KING OF PRISM PRIDE the HERO』は今世紀最高の煌めきを宿す破壊と再生の神話だ

昨年公開された『KING OF PRISM by PrettyRhythm』は「応援上映会」という特殊な上映会の人気と共にスマッシュヒットを飛ばし、ファンの応援も相成って昨年を代表する作品の一つとなった。6月10日に公開された『KING OF PRISM PRIDE The HERO』はそんな『by PrettyRhythm』の続編にしてプリティーリズムシリーズの最終章となる作品で、四年に一度男子プリズムスタァの頂点に立つプリズムキングを決めるための大会「プリズムキングカップ」の様子を描く。

前作の最後でエーデルローズを支える神浜コウジ・仁科カヅキ・速水ヒロの「Over The Rainbow」はプリズムキングカップ出場のために活動を無期限休止。その隙にエーデルローズとその代表・氷室聖を憎む法月仁総帥率いるシュワルツローズが更なる攻勢に出ることが予告されていたが、本作の冒頭で早くもそのエーデルローズを滅ぼすための一手が描かれる。
それはプリズムキングカップ優勝の有力候補である速水ヒロのネガティブキャンペーンと、彼が親友であるコウジから託され、二人の友情の象徴となっていた楽曲「pride」を取り上げるというもので絶体絶命の危機に追いやられる。エーデルローズそのものも法月総帥と結託し、エーデルローズごと自身と敵対する十王院カケルを排除しようとする十王院財閥常務の圧力により「プリズムキングカップで優勝者を出せなければメガバンクの融資は打ち切り」という危機の中にあり、速水ヒロもエーデルローズもどうしようもない状態に置かれていた……。
本作のテーマは一言でいえば破壊と再生の物語だ。
自分達が守ろうとしてきたもの、大切にしようと思っていたものを法月総帥率いるシュワルツローズ達に破壊され、奪われてしまった者達が最後に残ったものだけを支えに立ち上がり、自分の大切なものを再生し取り戻すまでの物語である。そのため前半の拠り所すらも木っ端微塵に破壊され、ボロボロになっていく姿は思わず目を背けてしまいたくなるほど痛々しい。特に速水ヒロはボロボロの状態でコウジに縋りつくも手痛く追い返され、両親のことすらもある事ない事を書かれ、プリズムショーを続ける事すらも諦めようとするなど、彼の幸せな頃を前作でさんざん見ているだけに非常に辛いものがあった。自分は速水ヒロをずっと応援してきた人間なので、ボロボロになっていく彼の姿は涙なしには見られなかった。
しかし徹底的に打ちのめされて、何もかもを一度は失いかけた彼だからこそ、氷室聖から託された「法月仁に煌めいていた事を思い出させてほしい」という願い、両親から受け取った強い愛情、そしてコウジからの想いをコアとして「プリズムスタァ・速水ヒロ」を一から組み上げ、走り出す姿に気が付いたら再び涙を流していた。「氷上のプリンス」と呼ばれチヤホヤされるだけだった彼が、今立派な王者の風格を携えたスタァになっていたのだ。泣かずにいられるか。

そうして迎えたプリズムキングカップ。「シュワルツローズによって審査員は買収され、観客はシュワルツローズの息のかかった存在が多い」という絶望的な状況であったが、プリズムスタァ達は怯むことなく自分達のプライドを賭けて戦いへと飛び込んでいく。
大和アレクサンダーは仁科カヅキとの再戦を望んだ。あれほど優勢だったにも関わらず「引き分け」に持ち込まれた事に苛立ちを覚えた彼は、「何者にも縛られない」「自由」というストリート系を「破壊」という行為をもって表現する。しかしストリート系の「自由」は本来そういうものではない。画一的な評価基準に縛られるのではなく、ただ自分があるがままに表現することそのものが「ストリート系」。それは「自分達が躍るに相応しいステージは自分達で作り出せばいい」ということ。
そのストリート系の神髄を「破壊されたステージの再創造」「破壊があるからこその創造」という形で表現した仁科カヅキによって大和アレクサンダーは救われる。自分の破壊をも含めて「ストリート系」というものを表現した仁科カヅキのプリズムショーに、彼はようやく「ストリート系のカリスマ」という名の後継者の姿を見出したのである。
仲間達の支えによりプリズムの煌めきの再生に成功した一条シン、そんな一条シンに触発されて法月仁の命令に背いて「自分の最高のプリズムショー」を行った如月ルヰを経て、残す戦いは速水ヒロのみ。「pride」を奪われ、使用すれば即敗北が決定するという状況の中、速水ヒロが歌ったのはやはり「pride」だった。
コウジとの友情の証であり、自身の象徴とも言える楽曲。かつては自身の虚像と共に待っていた楽曲を今度はコウジやカヅキというかけがえのない友の幻影と共に舞う。それは今の彼の全てが込められていると言っても過言ではない「最高のプリズムショー」だった。
そんな彼の想いに観客達もプリズムの女神も応える。
速水ヒロこそが正真正銘の「プリズムキング」なのだと。
正確な採点が下る前に見ていた観客達全員が勝者を確信している事や、如月ルヰの行動などは明らかに『オーロラドリーム』のオマージュで、戴冠からの一連の下りは『ディアマイフューチャー』を想起させる。会場にそびえたつ像一つ一つに明りがともっていく流れは『レインボーライブ』のプリズムショーを再生させた綾瀬なるを思い出させるが、なんにせよ「プリティーリズムシリーズの最終決戦で行われた事を全てこの速水ヒロのプリズムショーに集約させている」という詰め込み方をしたうえで「速水ヒロがプリズムキングに相応しい」という事を圧倒的な説得力をもった映像で1000%表現してくる点に「菱田正和」という監督の恐ろしさがある。
ストリート系同士の激しい戦いの後にも関わらず、コウジから与えられたマント、カヅキから託された剣、女神から授けられた王冠を身に纏い煌めきに満ちた姿での「朕はプリズムショーなり!」宣言は、「王」としての風格そのもの。プリズムショーを統べる王として、あらゆるプリズムショーの王道を征かんとする速水ヒロの姿はまさしく「プリズムキング」であった。

あまりにも至福にして極上、究極にして絶対と言える映像作品である。『by PrettyRhythm』と比べれば全体的なテンポは大人しくなっているものの、密度は倍以上になっているため体感時間は5分程度。TVシリーズの最終回のような展開が次々と繰り広げられていく様はそれだけで圧巻だが、それら全てに「ここにある意味」を持たせられている辺りがもはや狂気の沙汰。そこまでの事を行っていながら、ピリオド力は圧倒的に強く、そのあまりにも美しい幕の引き方には劇場が明るくなった時に拍手喝采が起きるのも納得の出来。まさに「監督・菱田正和の集大成」「菱田正和の七連続プリズムジャンプ」と表現するに相応しい作品である。
本作を見てしっかりと死に、安心して生まれて「僕、生まれた!」と叫んでほしい。

余談だが大和アレクサンダーの衣装が格好良すぎて直視できない。
名前が「アレクサンダー」なので、マケドニアというかアレクサンドロス大王をモチーフにするのは分かるのだが、それにしても格好良すぎる。アレクサンダーも前作以上に暴君として君臨しているので最高に格好良かった。カヅキ先輩といい、ストリート系プリズムスタァ達の衣装はどれも男の子心をくすぐるデザインで、なおかつバトルは少年漫画のそのノリなので好きな人は本当に見て欲しい……。

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