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貴方は何者にも縛られることなく『KING OF PRISM PRIDE the HERO』を見ればいいという話

『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』の滑り出しは前作が比較にならないほど好調のようで、既に二桁回視聴の次元へと突入しているファンとしては大変喜ばしい限りだが、その一方で「見ておいた方が楽しめる作品が多すぎる」「見てない作品が多いので自分が見て楽しめるか不安」という声を多く目にした。
なるほど。確かに『PRIDE the HERO』は監督を務めた菱田正和が「全てを込めた」と語っている通り、彼の携わってきた多くの作品の要素が70分の作品とは思えないほど無数に確認することが出来る。
クライマックスの流れは『オーロラドリーム』『ディアマイフューチャー』『レインボーライブ』のクライマックスを逆の順番で展開する(つまりシリーズを遡っていく)構成だし、登場するプリズムジャンプの中には『陰陽大戦記』の要素が盛り込まれている。ストリート系の衣装の一部は『魔神英雄伝ワタル』や『魔動王グランゾート』を彷彿とさせるものだし、観客達の中には菱田監督とは縁も深い『リルリルフェアリル』の五条桜監督似のキャラクターも紛れ込んでいる。
一条シンのプリズムショーに挑む直前のやりとりは明らかに『ラブライブ!』のパロディであり、正直上げ始めるとキリがない。自分のような二桁にようやく到達した程度の人間ですら網羅出来たとは思えない。それほど多くの菱田監督にまつわる要素が本作の中に詰め込まれている。
そうした「出し惜しみせずに自分の全てを叩き込んだ」としか形容できない作品だからこそ自分は「菱田正和の七連続ジャンプ」という表現を用いたわけだが、では本作を楽しむために『KING OF PRISM』以外の知識が必要かというと自分はこう答えるだろう。
「NOだ。貴方がプリズムショーが好きであり、あの物語の続きが気になるのであればまず間違いなく100%楽しむことが出来るだろう」と。

前述したように、本作には確かに菱田正和監督が携わった数多くの作品の要素が数多く見受けられる。
例えばプリズムキングカップの進行役の声優を務めた近藤隆は『オーロラドリーム』『ディアマイフューチャー』に登場した「ショウ」を演じた声優だ。ショウといえば無限ハグを我々の前で一番最初に披露した男子プリズムスタァであり、「『プリティーリズム最終章』と語る本作でショウを演じた近藤隆を連れてきた」という事実にファンとしてぐっと来たりもするわけだが、しかしこの要素を分かったからと言って物語の本筋である「誰がプリズムキングになるのか」「ストリート系の後継者争いの行く末は?」「オバレはどうなってしまうのか」には全く少しも関係ない。小ネタに過ぎないのである。
他の要素にしてもそうである。あくまで「知っていればより味わい深くなる」「笑える」という程度の小ネタであり、菱田監督が「本当に描きたかったもの」「今まで応援してくれた、そしてこれからも応援してくれるファンたちに見せたかったもの」はこれらの小ネタを理解出来なかったからといって色褪せることはない。なので安心して1000円札と500円玉と100円玉を握りしめて映画館に行ってほしい。男達がPRIDEを賭けてぶつかり合う中で誰がプリズムキングになるのかを、そして地球が一体何色なのかをその目で確認して欲しい。『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』はいつでもどんな人でも笑顔で映画館を後に出来る最高のエンターテイメントなのだから。

なお最初に見るのであれば最前列とまでは行かないまでも前寄りの席を確保することをお勧めする。
本作の最大の見せ場であるプリズムショーパートは、会場でステージを見上げる観客の視点に近づけるべく若干煽り気味のアングルになっている。そのため後ろの方の席だと映像と自分の姿勢が合致せずに「臨場感」という意味では少し物足りなさが残る。前の方の席であれば姿勢と映像が合致し、より迫力のあるプリズムショーを堪能することが出来るため、最初に見る場合は最前列ではなくていいものの出来る限り前の方の席で鑑賞していただきたい。きっと最高の体験ができるはずだ。

余談だが、自分はまだ応援上映会に参加できていない。
なぜなら「この映像は自分如きが応援していいものなのか?」という疑念を全く払しょくできておらず、どこから応援に参加していいのか全く読めないからだ。前作が応援上映会勢により新たな楽しみ方を開拓されていく事を受けて、菱田監督は「挑戦状」として本作で幾つか挑戦的な演出を行ったという。しかしながらその全てが「自分が声を発することで作品の大事な部分が壊れてしまうのではないか」という不安感を覚えるものであり、二桁回に突入しても未だに「応援」という形で作品に介入する事が出来ていない。なんだこれ。怖い。
そのうち参加すると思うが、応援上映会を世に広めた作品が本当にとんでもないものになって帰ってきた事に色々な思いを噛み締める次第である。
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