Entries

『仮面ライダーアマゾンズ 2nd season』完結によせて

6月30日に配信された13話「AMAZONZ」をもって『仮面ライダーアマゾンズ 2nd season』は完結した。
『仮面ライダーアマゾン』のリブート作品として制作された『1st season』が好評に終わった事を受けて『2nd season』の制作決定が発表されたのが2017年3月9日の出来事で、配信開始されたのが同年4月7日のこと。何だかんだ言いながらも四カ月近く『仮面ライダーアマゾンズ 2nd season』という物語に付き合ってきて、リアルタイムでずっと見てきた人間として思う事も色々あるし書きたい事も多いのだが、とりあえずこれだけは最初に言っておきたい。本作は傑作だった。とても残酷で切ない物語ではあったけれど、少なくとも彼らが必死に生きようとした「意思」はこの作品の中で最も美しいものだったと。

まず最初に述べたいのは『仮面ライダーアマゾンズ』は残酷でハードな物語だということだ。
『1st season』から時間が経ち、人間社会に出現するようになった新型の怪人(=アマゾン)は溶原性細胞を何らかの理由で体内に取り込んでしまった人間達であり、そんな不慮の事故のような理由で怪人になってしまった者達が人間を襲って食らう様は悲惨極まりないし、そうした「元人間達によって人間が食われていく姿」を本作では序盤からガンガン見せていく。いきなり襲われてガブリとやられることもあれば、罠に嵌められて腸を食いちぎられる描写もある。三話ではゾウやゾウムシのアマゾン達が何も知らずに治療にやってきた患者の耳に管を突っ込んで脳汁をすすっていたシーンなどは思わず目を細めるほど残酷な描写だった。激しいアクションの中で、脳をすすられた患者がぴくぴく動いているのはやりすぎていて、何度見ても見慣れないほど惨い殺し方であり喰い方だったと思う。
こうした描写は物語が進めば進むほど少なくはなっていくのだが、代わりに立ち上がってくるのが主人公である千翼とヒロインであるイユの置かれている状況の残酷すぎる運命だった。
八話で千翼こそが人をアマゾンへと変える溶原性細胞の持ち主であり、「千翼が原因でイユの父親はアマゾンになり、イユも含む家族を食らった」という真実が明かされてからはとにかく見ているこちらが泣きたくなるような展開ばかりだった。前述したとおり、千翼は何も悪くないのだ。ただその身体が生まれながらにして溶原性細胞を作り出す仕組みを持っていただけだ。生まれながらにしてそういう「罪深い身体」だっただけだ。「この世に生まれた事そのものが千翼の罪で、生きようとする事そのものが害悪である」として、千翼に「死んでくれ」「生きるな」と周囲の人間が言い続け、実際に銃を向ける展開は何もかもがつらい。千翼とわずかながら接点があった一般人代表のヒロキも「逃げろ」とは言うものの、「生きろ」とは言わない。誰も何も変えることは出来ないし、千翼は生き続けるだけで惨劇をバラまき、罪が重なっていく。最終盤ではイユすらも彼を責めていく。
また『1st season』では「アマゾンと人間が共存できる可能性」を見せてくれた元駆除班組も大変つらい目に合っている。「人間の肉の味を知ってしまった時にマモルを殺していれば……」という展開が続くし、認知症の親を養うためにアマゾン狩りを続けていたフクさんは親を自分の手で殺す羽目になる。「根幹から異なる生物同士の友情や絆など成立せず、どちらかが絶滅するまで殺し合うしかない」とする理屈は理解できるものの、『1st season』で共存の可能性を見せてくれただけに自分達の手で過去の行いを清算しに行く駆除班の戦いは何もかもが辛い。かつての仲間を殺すことでしか決着がないのだから。
ここまで書いた事からも分かるだろう。『仮面ライダーアマゾンズ 2nd season』はハードな物語で、千翼達には何一つとして明日はない。力技のような奇跡が起きる隙もないし、どうやっても千翼は死ななければならない。一度体内に入れば人食いの怪物を生み出す溶原性細胞の持ち主は死ぬことでしかその身体が作り出し続ける罪を清算することは出来ないのだから。
そして本作の最後で千翼は死ぬ。イユも亡くなる。マモルも駆除班に殺されてしまう。
始まりのアマゾンと終わらせるアマゾン以外の全てのアマゾンはこの世界から姿を消してしまう。
凄惨極まりない展開が続いた作品なだけに終わり方にも壮絶なものがあるのだが、しかし見終えた後に心に残るのはどこか爽やかな気持ちと、鮮烈な彼らの生き様だった。
確かに千翼もイユも死んだ。しかし「生まれながらに背負った罪」を持ち、「死ななければならない存在」だったとしても、その命を終える最後の最後の瞬間まで「生きよう」として戦い抜いた彼らの生き様は無駄なものではなかった。生きようとする意志は最後の最後まで尊ばれていたし、その全てを知ってもなお「生きたい」と願う強い意思は何よりも鮮烈で美しいものだった。
彼らがこの世界から退場しなければならない人間だったとしても、そうして全力で「生きた」事は無駄にはならない。強い意味をもつものなのである。

ところで駆除班が圧裂弾を撃つシーンは完全にスーパー戦隊のメソッドで思わず笑ってしまった。
そこで結束感を出すのは分かるのだが、なんというかこうスーパー戦隊過ぎて作品のリアリティレベルが違うよ!

スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://ilya0320.blog14.fc2.com/tb.php/2368-4b810eaa

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

水音

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

    魔界戦線



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
    @を半角にして下さい

カウンター