Entries

『ウルトラマンジード』とんでもないものの始まりを予感させる一話

「とんでもないものが始まってしまった」。それが『ウルトラマンジード』の一話を見た最初の印象である。
ここ数年のウルトラマンは過去の資産を活用した挑戦が光る意欲的な作品が多い。「つながる力」をテーマにウルトラマンと人間がバディとして戦い、怪獣と共に共存できる世界を目指した『ウルトラマンエックス』や二人のウルトラマンの力を借りる事で変身し、闇を克服するのではなく受け入れることで一つ成長を遂げる『ウルトラマンオーブ』などが記憶に新しいが、『ウルトラマンジード』はそんな意欲作ばかりの昨今のウルトラシリーズの中でも予想外の切り口で攻めてきたとんでもない作品だった。
というのも、本作の主役となるウルトラマンジードは裂けるように吊り上がった目が特徴的な、シリーズ初の「悪のウルトラマン」であるウルトラマンベリアルの息子だったからである。

『ウルトラマンジード』の一話はこうだ。
舞台は「かつて発生した宇宙規模の大爆発「クライシスインパクト」がウルトラマンベリアルにより引き起こされたのではないか」という都市伝説が広まる地球。地球人離れした身体能力とヒーローへの憧れを持つ「朝倉リク」は謎の巨大怪獣が街を破壊したその日、地下秘密基地を発見する。その地下基地の報告管理システム「レム」から自分にはあの怪獣を止めるほどの力を持つ特別な存在であることを知らされたリクは、彼女から託されたジードライザーの力で本来の姿「ウルトラマンジード」へと変身。巨大怪獣を退けることに成功するのだが、同時に自分がウルトラマンベリアルの息子であることを知ってしまうのだった。
一話としては若干薄味ではあるが、リクとリクの相棒的キャラクターとして登場するペガッサ星人のペガに話の焦点を絞り切り、物語に入るための主要な要素を押さえた展開がなされている。本作の監督を務める坂本浩一の持ち味とも言える外連味のあるアクションやインパクトのある画面作り、そしてシリーズとしても相当久しぶりな気がするプールを使った泥臭い戦闘なども格好良く、一話としては内容面では申し分ないのだが、リク=ジード=ウルトラマンベリアルの息子というところに不安感を抱かせるためにホラーやサスペンスのような、不安な印象を残す一話になっているのが面白い。
例えば「アイスクリームがなぜか一個だけ溶けている」という現象や、巨大怪獣によって無惨に破壊されていく街を横目に見ながら避難場所に向かうべく足を動かす人々、ジードの変身シーンに差し込まれるベリアルの影に初登場にもかかわらず全くヒーロー然としていない立ち姿、そして一話全体で暗い/不安な印象を残す色彩で統一された画面などなど、「今回のウルトラマンはヒーローとして期待していいのか?本当に応援していいのか?」という気持ちにさせる要素が数多く散りばめられている。
そうした不安感は当然作中の一般民衆達も抱いているようで、街を破壊しようとする巨大怪獣との戦闘を開始したウルトラマンジードを見守る人々は「応援していいものか」と不安を抱いた表情で見つめている。ベリアルと似たつり目をしたウルトラマンである。その反応は当たり前の事ではあるが、その当たり前の事をきちんと描いてくれたことが嬉しい。この作中の人物たちと共有した不安感のおかげでこの世界におけるウルトラマンジードの立ち位置と背負う物語がきちんと定まった印象だ。一話で演出した不安感がどこで裏返り、ウルトラマンジードを応援できるウルトラマンにしてくれるのだろうか。
終着地点が気になるところだが、気になると言えばウルトラマンベリアルである。
2009年の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』にて初登場以来、『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』や『ウルトラマン列伝』などの活躍により悪の権化でありながらファンからも妙に愛される存在となっていたベリアルだが、『ウルトラマンジード』では秘密基地をジード=リクに譲るなど真意がいまいち読めない存在になっている。『ウルトラマンジード』の作中では現在行方不明の身であるが、仮に「息子を心配して」ということなのだとすれば、ここにウルトラマンベリアルのこれまでとは違った一面――つまり「息子には意外と優しい」という一面を見出すことが出来る。
登場以来「悪のウルトラマン」という点は守り続け、悪の化身としてふるまってきたウルトラマンベリアルが、もし自身の息子には結構甘い性格だとしたら……それはもうウルトラマンベリアルのカリスマ性がまた強化されてしまうというしかないのではないか。だとすればちょっと面白すぎるのではないか。ダークネスファイブがジードを勧誘する話とか滅茶苦茶見たいので頼みます。

何にしても『ウルトラマンジード』。一話からして飛ばしているので是非とも見てほしい。
シリーズ構成が乙一なので、先が全く見えないぞ!


スポンサーサイト
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://ilya0320.blog14.fc2.com/tb.php/2370-3a101275

0件のトラックバック

0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

魔界戦線


■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

プロフィール

水音

  • Author:水音
  • tumblrの方が積極的に更新してるマン。
    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

    魔界戦線



    連絡先  :mizune.moon.sounds@gmail.com
    @を半角にして下さい

カウンター