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『スパイダーマン:ホームカミング』『劇場版仮面ライダーエグゼイド トゥルーエンディング』『ベイビードライバー』見た映画の雑感

昨年夏は『シンゴジラ』『君の名は。』など素晴らしい作品が多かったが、今年の夏公開された映画も昨年に負けず劣らず素晴らしい映画ばかりだ。というか個人的な期待作が多すぎる。
夏コミの原稿を脱稿してからというもの、それらの期待作をリスト化した「映画館で見ておきたい映画のリスト」を少しでも消化するために、ほぼ毎週のように映画館へと足を運んでいるが、そのリストを未だに消化し終えていない。それどころか「あの映画、面白かったよ」と言われれば「そうか」とリストにそのタイトルを書き加えるため肥大化する一方である。さすがに「一本消化したところ二本見たい映画が追加される」というサイクルは先日脱したものの、このリストに記された映画を全て映画館で見る事については既に諦めている。無理だ。そんな時間ねぇよ。この後『KING OF PRISM PRIDE the HERO』のお手本上映会と『劇場版プリパラ』のアンコール上映が始まるのに。
閑話休題。
それはさておき、情報が公開されて以来「何としてでも映画館で見なければならない」と思っていた『スパイダーマン:ホームカミング』『劇場版仮面ライダーエグゼイド トゥルーエンディング』『ベイビー・ドライバー』の三本を先日すべて見ることが出来たので感想を書いておく。

■スパイダーマン:ホームカミング

『キャプテン・アメリカ:シビルウォー』からマーベル・シネマティック・ユニバースに合流したスパイダーマンの単独映画。『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』の視聴をある程度前提としているのでスピンオフのような趣きがあるけれど、物語としては一応単独でも成立している。
物語としてはアイアンマンからスーツを託されたピーター・パーカーが様々な間違いをきっかけに、「スーツがあるから自分はヒーローである」ではなく「自分はヒーローだからスーツを身に纏うのだ」という結論を出し、「親愛なる隣人」へと成長を遂げる!というもの。「マーベル・シネマティック・ユニバース内におけるスパイダーマンのオリジン」と言っていいものなのだが、原作からある省略の仕方と「マーベル・シネマティック・ユニバースに組み込まれたからこその物語展開」が面白い。
まずピーターがスパイダーマンの力を得る過程は省略されているし、それにともなってサムライミ版でも『アメイジング』でも描かれたベン・パーカーの「大いなる力には大いなる責任が伴う」という台詞もカット。そのため本作のスパイダーマンは「父親的存在の影響を受けてこなかった未熟な少年」の要素が強く出ていて、優秀ではあるものの背伸びをすることに躍起になって様々な失敗をやらかす。その結果、自分を認めてくれていたアイアンマンからも失望されてスーツも失ってしまうのだが、そこで自分を見つめ直すことで「自分の身の丈にあったことをやる」というヒーローへと成長。「世界を守るアベンジャーズの一員」ではなく「親愛なる隣人」になるのは見事。スーツに依存していたことがあるアイアンマンがスパイダーマンにスーツへの依存を説く流れも良く、マーベル・シネマティック・ユニバースの物語の厚みを感じさせる良い映画だった。
なお今回のヴィランであるバルチャーだが、何というか「父親」としてよかった。「家族を守らなければならない父親」として腹いせ混じりではあるものの仕方なく「バルチャー」になっていた男。同情できる部分があまりにも多すぎるので、死ななくて本当に良かった。

■劇場版仮面ライダーエグゼイド トゥルーエンディング

先日TVシリーズも完結を迎えた『仮面ライダーエグゼイド』の単独映画。物語時系列上は一番最後に当たるエピソードではあるが、この情報は最終回放送終了後まで伏せられていたのでTVシリーズの最終回を見て無くても問題ないが、最終回を見てから見に行くとこの作品が「トゥルーエンディング」と名付けられていることの意味がわかるはず。
物語は新種のバグスターウイルスを撒き散らす忍者軍団を率いる仮面ライダー風魔が聖都大学付属病院を襲撃し、鏡飛彩や花家大我、そして研修医時代に永夢が出会った小児脳腫瘍患者の星まどかが意識不明になった事から幕を開ける。黎斗神や貴利矢の活躍により風魔を雇うマキナビジョンの社長がVR空間に天国を作り出すために現実世界の崩壊させて人々を絶望させることをもくろんでいることを知った永夢は黎斗神の協力を得て敵のVR空間に侵入するのだが、そこに広がっていたのは誰も予想だにしない世界だった!という話なのだが、良かったのは永夢が医者として成長を遂げるために大切なピースを丁寧に描いてくれたことと、「子供と向き合う大人(医者や親も含む)はどうあるべきなのか」を描いてくれたことだろう。
特に後者の「子供と向き合う大人(医者や親も含む)はどうあるべきなのか」を描いてくれたことは本当によかった。仮面ライダー風魔は例え手術したとしても先に続く少女の未来に悲観して今回の事件を引き起こしたわけだが、永夢やドクター達はそれでも「希望があれば生きていける」と綺麗事を語り続ける。その綺麗事は現実を悲観している人間にとっては腹立たしい事にほかならないのだが、しかし子供と誰よりも近くで接する親や、病気で苦しむ子供に傍に立つ医者が誰よりも「子供の未来」という希望を信じて、「大丈夫だよ。きっと良くなるよ」と叫ばなくては誰が叫ぶのか。そんな綺麗事を叫び続けることを「大人の義務だろ!」と言い切る永夢は本当に格好良かったし、子供と一緒に見に来た親にも刺さるだろういいセリフだった。

■ベイビー・ドライバー

『ホット・ファズ』『ワールズ・エンド』のエドガー・ライト監督最新作。日本公開が決まった時点でエドガー・ライト監督のファンとしてはもうエンジン全開で見に行くしかなかったわけだが、作品の感想に入る前に声を大にして言いたいことが二つある。
一つ目は「この作品は音響設備に優れた映画館で見た方がいい」ということ。この作品は音楽を含む「音」というものに強いこだわりを持っているので、出来る限り音響設備に優れた映画館で見たほうが良い。後日、家で見るのもありだが、ベイビーの気持ちに寄り添った作品なので細かい機敏を感じ取るためにも映画館で見て欲しい。そして二つ目だが、この作品は大傑作だ。後から見て映画館で見なかったことを後悔するぐらいなら、二時間の時間を無理やりこじ開けて車を飛ばして映画館で見た方がいい。
主人公・ベイビーはその天才的なドライビングテクニックを裏社会のボスに見込まれ、犯罪者達を逃がすゲッタウェイドライバーとして活躍している。ある日、常連の店で出会ったウェイトレスのデボラに恋をしたベイビーは、裏社会から逃げ出す決意を固める。しかし逃げ出そうとしていることを所属する組織に感づかれてしまい……というのが大まかな粗筋なのだが、何が最高だったかと言われれば「音楽を聞くことで交通事故の後遺症である耳鳴りが止み、天才的なドライビングテクニックを発揮する」というベイビーの設定をあらゆる場所で反映していることだ。ベイビーは音楽を聞いている時に全身を使って表現する。ダンスを踊ることもあるし、ドラムの音に合わせてテーブルを叩くこともある。それは運転中でも変わらない。ベイビーの運転はドリフトの時のタイヤの音ですら音楽にノッている。追いかけてくる者達を撒くために車同士を激突させることもあるが、その激突音ですら彼の音楽の一部に組み込まれている。特にクライマックスとなるクイーンの「ブライトン・ロック」は最高だ。予想もしない使われ方をしているのでぜひ見て欲しいのだが、物語そのものも完璧と言っていい。
エドガー・ライト監督の作品ではしばしば「因果応報」と言わんばかりに「やったことの責任を取らされる」という展開がある。『ホット・ファズ』では主人公たち警察官が派手なガンアクションやカーチェイスを繰り広げた後は始末書を書かされているし、『ショーン・オブ・ザ・デッド』では「とにかくパブ」をやりすぎたショーンは恋人から振られているわけで、やったことの責任は必ず自分が取らされている。『ベイビードライバー』も同じで、ベイビーは仕方がない事とは言え「犯罪者を逃がす」という形で犯罪に加担し続けていた事で裏社会から簡単に抜けさせてもらえない。そしてどうしようもなくなって力技で逃げようとしたところ、彼はデボラ以外の存在を全て失っていく。この失っていく過程がとても辛い。幸せな時間を様々な音楽とともに見ているだけに、ベイビーが一つまた一つと大切なものを失っていくたびに身を削ぎ落とされるような感覚を覚える。その感覚が辛くて怖い。ベイビーが何もかもを失ってしまいそうだった。
しかしエドガー・ライトは何だかんだでエンターテイメントに徹する監督である。ベイビーは因果応報的にあらゆるものを失っていくが、しかし積み上げてきたものが無駄になるわけではない。これだけハードな作品なのに、積み上げてきたものがハッピーエンドをもたらすのだから、エドガー・ライトは本当に凄い。なんだよ!普段はボンクラ映画ばっかり撮ってるのに今回は万人に勧められる傑作じゃん!!!



ところで『ワンダーウーマン』をまだ見てないのでそのうち見に行きます。
『ダンケルク』はどうするかなぁ。映画館で見る予告が全然面白そうに見えないんだよなー。





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