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『劇場版魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』について

佐島勤の『魔法科高校の劣等生』は小説投稿サイト「小説家になろう」で発表され、現在は電撃文庫に舞台を移し展開が続けられているSF作品である。
2014年4月から9月にかけて小野学監督によってTVアニメが制作され、その出来に関しては賛否を含め様々な意見があるもののアニメ化をきっかけに知名度を上げる事に成功。現在23巻まで刊行されている人気シリーズである
本作『劇場版魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』は、そんな『魔法科高校の劣等生』の初の劇場版アニメとなる作品で、来訪者編直後の2096年3月下旬から4月初旬頃を舞台に、映画らしいスケールの大きな物語が展開される。
「原作者自らが書き下ろした」ということもあり、物語そのものは『魔法科高校の劣等生』の原作の面白さをアニメ以上に色濃く残している。例えば複数の勢力の思惑が入り交じりながら繰り広げられる諜報ドラマ的なテイストもあれば、魔法が技術として確立された世界だからこその派手なアクションもある。監督が経験の浅い吉田りさこということもあり一部至らないところがあるものの、アニメシリーズでは殆ど見られなかった司波深雪の美少女描写が存在する事や、アニメでは登場していないアンジェリーナが何の説明もなく登場することなど、どちらかといえばアニメしか見ていないユーザーよりも原作も読んでいるファンに向けて制作されており、大筋においてはファンとしては面白い作品であった。大筋としては、だが。
なぜ「大筋においては」と前置きをしたかというと、本作の最後に持ってきたある台詞が特にWEB小説時代から追いかけてきたユーザーにとっては絶対に許せない「さすがお兄様です」だったからだ。
確かに「さすがお兄様です」は電撃文庫の編集部が喜んで宣伝に使っていることでもあるし、「さすおに」だのなんだのと揶揄も含みながらユーザーの間では一つのコードとして共有され、「共通意識のもとでの面白がり」として使われているものではある。しかし原作では似たような台詞こそあるもののそんな台詞はなく、また多用されているわけでもなく、ましてや決め台詞でも何でもないそれをユーザーと編集部を繋ぐ共通コードとして電撃文庫編集部側が面白がって運用していることについては、WEB小説時代のファンからとしてはもはや吐き気を催す邪悪以外の何物でもない。おそらく無意識的で、そこに悪意はないのだろう。しかしそれだけに質が悪く、作品のイメージとして定着しているのは甚だ遺憾であると言わざるをえない。得ないのだが、それがこちら側にとっては腹立たしいだけで、知名度の向上と言う観点においては「間違いではない(正しいとも思わない)」ので百歩譲って原作に持ち込まれなければどうでもいいと思ってはいたのだが、今回の「原作者書き下ろし」の作品でよりにもよってそんな「さすおに」に発言を聞くことになるとは夢にも思わなかった……!
しかも思いっきり唐突なツッコミ方で演技もへったくれもないクソみたいな付け加え方! 「この台詞を付け加えよう」と判断した人達はどこまでこちらを愚弄してるのやら。想像したくもない。そもそもその台詞を付け加える暇があるなら、なぜ司波達也が隕石を破壊しただけでオーロラが発生したのかについて理論的な説明台詞を入れたほうが「伝説になる」というキャッチコピーを回収できただろう。そこを削って付け加えたのが「さすおに」というのは、もはや「悪ノリ」にしても悪趣味の領域にある。何を考えていたのだろう。せいぜい「さすおに!」とSNS上で盛り上がってる姿を見たいぐらいか。それも悪趣味な楽しみ方だと思うのだが。あとパンフレットに日笠陽子が「どんな作品?」と早見沙織に聞いたところ、「さすがお兄様な作品です!」と答えたという話が載っていて、早見沙織に対する好感度が著しく下がった事だけは個人的な話ではあるが書いておく。なお日笠陽子はちゃんと原作を読んでくれたみたいなので良い演技をしていた。サンキュー日笠陽子。

ところでなぜこういう話を公開終了後に書いたかというと、いい加減書いておかないと「さすがお兄様!押しはユーザーには全面的に受け入れられている」だと受け止められ、継続されそうだからである。それは屈辱的すぎる。今までも大概その屈辱を味わってきたのに、最初で最後かもしれない劇場版アニメでもその台詞をゴリ押しされて、挙句の果てに「ファンにはウケてました!」と言われてしまうぐらいなら死んだほうがマシだ。
原作者があまりにも大人で、監督も経験は浅いとはいえ必死で『魔法科高校の劣等生』と言う作品を映像にするために頑張っている。にも関わらず余計な一言を付け加えてファンサービスのつもりで喜んでいる人達はせめてもうちょっと真面目に原作を読んで欲しいなぁ、と思いました。
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1件のコメント

[C1722]

自分がフワッと感じたことをしっかり文字に起こして下さった様です

声優さんの舞台挨拶も生放送?で見ましたが同じことを言ってました(笑)
製作スタッフ?がそれを推してるなら出演者として宣伝するために??『さすおに』をコメントしたのでは?それ以外にとっさに思い付かなかったのかも(笑)

長文失礼しました!
  • 2017-09-15
  • かったー
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