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『アズールレーン』不運をも飲み込ませ、美味しいところを摘まみ食いさせるゲームデザインについて

先日から無事に配信開始となった『アズールレーン』が面白い。仕事の合間に思わずプレイしてしまうほどに夢中になっている。
『アズールレーン』は『艦隊これくしょん』や『戦艦少女』に代表される艦船擬人化ゲームである。ビリビリ動画で配信されている『碧蓝航线』の日本語ローカライズタイトルとなる作品で、プレイヤーは指揮官として美少女と化した艦船を指揮し、敵対する勢力と戦っていく。アメリカ艦やドイツ艦、イギリス艦に日本艦等が一堂に会し、同部隊で共に戦う姿はそれだけで面白いものがあるが、本作はゲームとしても非常によく出来ている。
本作のジャンルは簡単に言えば「弾幕シューティング」になる。一つの部隊は大きく分けて駆逐艦・軽巡洋艦・重巡洋艦によって編成される前衛三人と戦艦・空母によって編成される後衛三人によって構成され、敵部隊と接敵すれば戦闘画面に移行。シューティングゲームの要領で敵部隊を攻撃、これを撃破する。主に操作するのは前衛に配置した三人で、後衛になる戦艦や空母はボム相当として扱われ、時間経過でたまっていくゲージを消費して強力な攻撃を行う。

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前衛が三人ともやられてしまうと後衛が三人とも残っていても部隊壊滅扱いになってしまうため「敵を発見した際に戦うかどうか」も考える必要がある。もっとも、轟沈によるキャラクターロストはないので、そこまで深刻に考えなくてもいいところではあるのだが。

本作をプレイしていて、特に素晴らしいと思うのはランダム要素が余り存在せず、失敗してもある程度納得出来る事だろう。
艦船擬人化ゲームとしては先行事例であり草分け的存在として『艦隊これくしょん』が存在するが、あちらはプレイヤーが関わることが出来るのは準備段階までで、実際の戦闘も含めた攻略は天に祈るしかなかった。そこも含めて「提督」という役職であり、その提督を演じることこそが『艦これ』というゲームの面白さであったと思うのだが、その一方で運に左右される部分は試行回数を増やすことでしか解決することが出来ないため若干理不尽さを感じる部分もあった。
しかし『アズールレーン』は弾幕シューティングゲームとして製作されているため、「プレイヤーがキャラクターを操作する」事で自分の望む結果をある程度引き出すことが出来るのだ。移動速度の遅さや当たり判定の大きさなどからレベルや装備の至らなさで落ちる時は簡単に落ちてしまうのだが、それでも納得度が違う。その分、「役割を演じる」という要素は薄らいでいて、強化やレベル上げが「育てる」よりも「自機を強くする」という印象になってしまっているため、(おそらく元ネタだろう)『艦これ』から「かけ離れたゲーム」になっているが、逆に言えばそれは「先行事例と差別化が出来ている」と言える部分でもあり、最終的には好みになるだろう。自分は『アズールレーン』の方が「やられた時の納得度」という観点に置いて納得できるため、こちらの方が好みである。建造においても、ある程度欲しい艦種を狙えることや支援によって特定の艦を狙い撃ちできるため「無駄になった」という印象が薄いところも良いところだ。

本作は作品世界もユニークで、その作品世界であるが故にキャラクター達もユニークな造詣のものが多い。
本作の舞台は人類が一丸となって結成した軍事連合により「セイレーン」という異形の敵の猛攻をどうにか凌いだ後の世界。しかし完全にセイレーンを撃退できずに戦いが長引いた事で勢力ごとの理念の違いが表層化。軍事国家&君主制国家は軍事連合を離脱して新たに「レッドアクシズ」を組織し、王政国家&連邦制国家のみとなった軍事連合「アズールレーン」とスタンスの違いから対立を深めている――という、いささか面倒な社会情勢となっているのだが、単なる勢力同士の対立ではなく、兵器ごとの技術の違いになっている点がとても面白い。
アズールレーンに所属しているキャラクター達は基本的には「機械+少女」という組み合わせとなっており、「王政国家所属のキャラクターは騎士や王をモチーフにしている」と言った違いはあれども、明らかに人間ではない姿をしているものはいないのだが、レッドアクシズに所属する勢力のキャラクター達はどこか異形のものが多い。軍事国家所属のキャラクター達は「セイレーンを研究して得た力を兵器に転用している」という設定から機械生物のようになった装備を身に着けているし、君主制国家のキャラクター達は獣耳が生えているなどするものもいる。
こうした一目で分かる違いは端的に言えばその勢力の特色であるし、ひいてはモデルになっている国ごとの違いを色濃く反映している。君主制国家は日本をモデルにしているので和服を模したものが多かったりする。だからといって赤城と加賀が狐耳の巫女というのは盛りすぎている気もするが……。ともあれ、キャラクターごとの勢力の違いが分かりやすいのはありがたいところだ。

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また「スキル」と言った形で各艦ごとの個性を出そうとしているのもよい。「インディアナポリスを同時に組み込むと強くなるスキルを持つポートランド」などは姉妹艦として覚えさせようとしている。ゲームシステムと紐づけするのは悪くないアイデアだ。

なお本作は装備とスキル、そしてレベルがモノを言うゲーム性であるために、レベル上げの時間が比較的かかる。一回の出撃で五戦は出来るとはいえレベルを上げるためだけに時間を費やすのは何とも味気ない。そういう人のためなのか、本作はオートレベル上げの手段が非常に多い。。戦闘そのものにもオートバトルが組み込まれているし、寮室にキャラクターを配置し、ご飯を食わせるだけでレベルが上がるし、8時間の委託の経験値が結構な量なので一日二回ほど委託に出すだけでもレベルが上がる。スマホゲームの並列プレイは通常大変な労力がかかるし、本作もオートバトルで操作する手間が殆どいらないとはいえ攻略するためにはそれなりの時間がかかる。しかし大切ではあるが面倒なレベル上げの労力が少なく設計されているのであれば最低限のスタートラインには立ちやすい。レベル上げなどという非生産的で人間に向いていない事は早々にオートに任せて一番おいしいところだけを摘まみ食いするのもいいのではないだろうか。

何にしても本作は触ってみることで見えてくるものが多い作品である。
是非一度、プレイしてみてほしい。

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