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『Fate/Grand Order』英霊剣豪七番勝負について

10月14日に『Fate/Grand Order』にて「亜種特異点3:屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」が配信開始されました。
この「亜種特異点3:屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」は、昨年末に完結を迎えた『Fate/Grand Order』第一部と、そして現在絶賛開発中の第二部を繋ぐ1.5部の一つ。2017年に突入したと同時に実装された宮本武蔵が看板キャラクターとなっている事や、彼女の体験クエストにさらりと柳生宗矩が出演していた事、そして散りばめられたキーワードのきな臭さから、「ひょっとして『Fate』シリーズ全てのオマージュ元である『魔界転生』をやってしまうのでは?」と情報公開以来ごくごく一部の時代伝奇ファンから期待されていました。
自分もそんな「『魔界転生』をやるのでは?」と期待していた人間の一人で、山田風太郎の『魔界転生』を下地にするのか、はたまたせがわまさきの『十 〜忍法魔界転生〜』の方を下地にするのか、いやいやあの「一切鬼才」ケン・イシカワ先生の『魔界転生』を下地にするのか……と楽しみにしていたわけですが、いざ実装されたものを喜び勇んでプレイしてみれば……まさかFateに石川賢を組み込んで忍法・魔界転生した傑作だなんて……!

今回の舞台となるのは寛永16年の下総国。再び「ストレンジャー」宮本武蔵と邂逅した主人公は、彼女と共にこの地に突如現れた七人の魔人「英霊剣豪」との戦いに身を投じる事になる。いずれもその身に植え付けられた「一切鏖殺」の宿業に違わない残虐非道かつ天下無双の武技を誇る魔人を相手に、空位を目指す宮本武蔵の二天一流の剣技が冴え渡る――!

今回のシナリオに関しては概ねこのような筋書きで、物語の骨格そのものは『魔界転生』そのままだと言ってもいいでしょう。ただし天草四郎時貞が黒幕であったり、ダンテの『神曲』由来とはいえ「魔王サタン」「ルシフエロ」と言った聞きなれぬ単語が飛び出してくる辺り、『魔界転生』は『魔界転生』でも根幹にあるのは石川賢の方の『魔界転生』の方ではないかと思います。「英霊に宿業を植え付けることで魔人『英霊剣豪』として転生させる」というアイデアは魔人に転生する際に「魔物」の要素が組み込まれる石川賢版を彷彿とさせる要素ですし、そもそも山田風太郎の『魔界転生』において天草四郎時貞は割とあっさりと倒されていますからね。石川賢の方ならば――石川賢版の最後は天草に挑むところで打ち切りですけど――天草四郎がラスボスを務めるのも納得です。まあ必殺の技は忍法・髪切丸ではなくツインアームビッグクランチでしたが!そこまでやったら怒られるから仕方ありませんね。
それはさておき。
今回の剣豪七番勝負が山田風太郎が執筆した原典である『魔界転生』ではなく石川賢のコミカライズした方をあえて選んでいるのは、「原作への挑戦」を胸にコミカライズに挑んだ石川賢へのリスペクトなんじゃないかなーと思っております。ただ単に『魔界転生』をやるのではなく、『魔界転生』の骨格の中で『魔界転生』にはないものを生み出したいと願う。だから、あえて石川賢先生の方を選び、山田風太郎の原作にある発想を活かしつつも独自アレンジする気概を自身の中に組み込んで、昇華したかったのではないか。そんな風に受け止めてしまうのです。これが上手くいっているかどうかは人それぞれだと思いますが、宿業により己の歪みと向き合うことになった頼光と酒呑童子はこれまでのイベントでは見せてこなかった一個の個体としての顔を見せてくれましたし、その他の剣豪達も本来の姿が気になるような脚色のされ方をしていて、個人的には面白かったです。ただ宮本武蔵が刀を投げた時には「刀を大事にしない石川賢版柳生十兵衛をそこまでなぞるのか!」と笑ってしまったわけですけども。そこまでやらなくてもいいんだヨ!
ただこうした『魔界転生』を巡る要素だけが「英霊剣豪七番勝負」の面白さの全てではありません。その他にも面白い要素は数多く存在しています。その中でも個人的に特によかったのは、あくまで「宮本武蔵が空位に至るまでの物語」を一貫して描いていた事、そして『Fate/stay night』へのリスペクトまで織り込まれていたことでしょうか。
前者については概ね本編そのままの話になってしまうのですが、自分のために剣を振るい続けた宮本武蔵が今回だけはと少し在り方を変えたこと、そして人の身を超えた剣技を振るう英霊剣豪達との戦いを経て、天衣無縫の無二の剣に至る辺りは震えましたし、その展開に合わせて少しづつサポートで呼べる宮本武蔵が強化されていくのも演出として素晴らしかったです。そして最後の最後に待ち受けるのが共に空位に至り、そして戦うことを宿命付けられたあの男だったのは何もかも素晴らしい。宮本武蔵と言えばあの男ですからね。
「あの男と戦いたい」という思いはユーザーの多くが抱いていたと思いますから、それに応えたのはよかったと思います。加えて言うのなら、エピローグにおけるあの男と宮本武蔵の会話はよかったですね。『魔界転生』にならない宮本武蔵として、あの結末は最高のものだったと思います。
後者についてはまあ千子村正周りですね。かねてからの噂通り、千子村正は衛宮士郎の姿を取って物語に参加してきたわけですがそんな彼が最後の最後に見せた宝具があからさまに「勝利すべき黄金の剣を投影してバーサーカーを撃破する」「衛宮士郎による是・射殺す百頭の投影」のオマージュであったのはよかったですね。「士郎と言えば投影魔術」であり、その投影魔術を活用して逆転したあの名シーンのオマージュを和風アレンジを効かせたあの楽曲と共に見せてくるのは最高でした。
その他にも演出面において『サムライスピリッツ』っぽい要素があったり、英霊剣豪達が宿業を植え付けられ己の歪みを増幅された事で様々なことに気づきながら消えていく辺りは本当によかったです。
それにしても英霊剣豪達のアレコレはライターを隠す意図がほぼ機能してないぐらい分かりやすかったですね……。ここまで過去作と似たような事をやられてしまうと「これでこの人が書いてなかったら誰が書いてるんだよ!」というぐらい分かりやすかった……。わざとだと思うんですけども。

ところで今回追加されたサーヴァント達、大体設定過積載気味じゃないですか? 特に飛び加藤。
「ロボット忍者」ってだけでも既に面白いのに、そこに母親属性ヒロイン属性まで積むのは強すぎやしませんか。

追記。
ああ、そういえば吉川英治の『宮本武蔵』も下地になってるっぽいですね。そういえばアレも「宮本武蔵が名人になるまでの話」であった。

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