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『GODZILLA 怪獣黙示録』怪獣と戦った人類の半世紀がスーパー東宝怪獣大戦すぎると言う話

いよいよ公開間近となった新たなるゴジラ映画『GODZILLA 怪獣惑星』。この物語はシリーズ初となる長編アニメーション作品であり、全三部作からなる人類と怪獣の戦いの物語の第一幕であることが既にアナウンスされているが、そんな『GODZILLA 怪獣惑星』の公開に先駆けて、プレストーリーとなる作品が角川文庫より発売された。
その作品の名は『GODZILLA 怪獣黙示録』。1999年に地球に怪獣が初めて出現してから、ゴジラの出現と二種類の宇宙人と邂逅を経て人類が地球を退去するまでの半世紀近くにも及ぶ人類と怪獣の戦いを描いた作品である。

本作『GODZILLA 怪獣黙示録』がどういう作品か、というと怪獣が立て続けに出現するようになった「怪獣黙示録」という時代を生きた人々の体験談を集積・編纂した「オーラルヒストリー」である。1999年に初めて人類の前に姿を現した怪獣。彼らにより街を追われ国を失い家族を奪われた者達にはその目で見たもの、感じた事を他者に伝える言葉がある。その言葉で伝えたかったものは怪獣という人知を超越した絶大なる存在と相対したことによる絶望と無力感かもしれないし、家族を守り切れなかった無念かもしれない。あるいは自分が見たもの・触れたものを伝え、「人類」という種そのものの未来を怪獣達から守り抜いてほしいという祈りなのかもしれない。
何にせよ本作は怪獣黙示録と呼ばれた時代の地球を生きた人々の体験談を元に、「人類が怪獣に敗北し続けた歴史」を描き出す。怪獣の暴力的な振る舞いを前にしても一致団結する事が出来ず、人類は本当に守りたかったものを片っ端から失い、生存圏を追われてその数を減らしながら地球の端へと追いやられていく。敗北続きとはいえ勝利もある。しかしその半世紀にも及ぶ戦いの中で勝利はわずかで、そのわずかな勝利すらも多大なる犠牲を払ったうえでの勝利ばかり。地球の支配者気取りだった人類が、怪獣達圧倒的な暴力を前にその座から転げ落ちていく様は何とも悲惨で悲痛なものだが、それでも僅かにではあるが「まだ負けていない」という想いは残っていた。そんな人類の想いをゴジラは木端微塵に粉砕し、人類を絶望と狂乱の地獄へと叩き落した。
人類の英知の炎にして最も使ってはいけない力だと思っていた核兵器の攻撃すらも無力化し、その口から発する熱線は人類が全力で挑んでようやく突破できるほど頑強な怪獣の皮膚すらも貫く。熱戦の余波として撒き散らす電磁パルスは精密機械を無力化し、人類に残された立ち向かうための牙をもへし折る。なるほど。黙示録の獣に例えられるのも納得である。神が人類を終末に追いやるために産み落としたとしか思えないかの怪獣王は紛れもなく人類にとっての滅びの象徴だ。絶望以外の何の感情も出てこない。しかしそんな絶望を目の当たりにしてもなお踏み止まろうとしたものがいたから人類の未来は繋がる。
「神の啓示を受けた」とする男の尽力により世界統一政府の誕生。時をさほど開けずに来訪した親愛なる二種類の宇宙人の存在。そして人類と宇宙人達の文化と技術が混ざり合った事で実現した怪獣への反撃と、名誉ある撤退。
激しい戦いの末、人類は地球を追われてしまった。しかしその先に希望があると信じて助け合い、希望の火を絶やすことなく戦い抜いた人類の姿はとても鮮烈だ。まさに体験談(という切り口)だからこそ映える物語である。最後の不穏さも含めてこの続きを映画館で見たいと心の底から思う。

というのが本作を読み終わった直後の自分の大まかな感想であるが、もう少しボンクラな感想を述べると「東宝怪獣映画祭」という話になる。本作は凄い。何が凄いかと言えば東宝が製作した怪獣映画に出てきた怪獣達が矢継ぎ早に登場する。まず最初にニューヨークに出現した怪獣はカマキラスだ。あのヤラレ役としか言えないカマキラスがバンカーバスターで倒されるまでの72時間にも渡って暴れまわり、250万人を殺戮し尽くす。
続いてドゴラやアンギラス、メガロ、ゲゾラ、マグマなども登場し、人類に牙をむく。最高だ。ゲゾラがここまで活躍するとは読むまでは思いもしなかった。
個人的にシビレたのはヘドラだ。中国政府が怪獣退治の切り札として特殊なバクテリアを培養して作り出した「人造の怪獣」とよんでもいい今作のヘドラは、「怪獣を自分達で制御できると思うことの方が間違い」という教訓を植え付けてくれる。結果人類は数千万単位で死んでるとか書かれてるが、怪獣を操ろうと思う方が間違いだ。最高のヘドラだ。
あとはゴジラの亜種疑惑を出しながらビオランテ、ハリウッド版をモデルにしたジラなども登場して暴れまわるし、地の文レベルでなら目次に記されているものの倍以上の怪獣が登場する。はっきり言って怪獣映画が好きな者にとっては最高極まりないのだが、完全に不意打ちで出てきた轟天号にはやられた。しかも大活躍する。
これは我々にとってのご褒美です!東宝怪獣映画好きは読もう読もう。


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