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『ラブライブ!サンシャイン!!』九話とリアルを巻き込んだプロジェクトへの発展の可能性について

『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』九話「Awaken the power」は未来を明るく照らす熱い一話だった。前話の「姉との最後のラブライブ!を自分のミスで台無しにしてしまった鹿角理亞とそんな理亞に共感した黒澤ルビィ」を引き継いで紡がれる「妹たちの姉離れ」「自分達で一つの物事を成し遂げる自立」という物語は、姉が卒業し、先輩達がいなくなったとしても「スクールアイドル」という夢を追い続けるだろうという確信と、先人たちの想いを背負い勇気に変える事の大切さを後輩達にも教えてくれるだろうという期待を抱かせてくれた。
「あれだけ食べまくっている花丸よりも津島善子の方が太ってしまう」という小ネタも程よい笑いを生み出していたし、二年生組&三年生組の中で唯一の妹である高海千歌だけが一年生組がなぜ頑張っているのかに感づいている辺りのキャラの立たせ方も実に上手い。また「Saint Snow」の最期の物語としても素晴らしいものがあった。
「二人でラブライブ!の頂点を目指す」と決めたものの、最後のチャンスが無残にも散った二人。姉は「自分が卒業してもスクールアイドルを続けてほしい」と願うものの、妹は「姉のいないスクールアイドル活動はやりたくない」と返す。しかしAqoursの一年生組と共に「自分がどれだけ姉に守られていたか」を知り、自分で行動していく中で教えられた自分のスクールアイドル活動が生み出した数々の思いによって、鹿角理亞が「姉以外の者達と紡ぐスクールアイドル活動」を始めようと決意する。「姉と二人の夢が別の誰かの夢や希望になっていた」は彼女達が憧れたA-RISEよりもμ'sの方が近いと思うが、ともあれ「姉の思いも背負う」ことで一つ人間的な成長を果たした理亞は今までのような抜き身の刀めいた鋭さこそ失ったものの、ずっと魅力的なスクールアイドルになったように思う。ライブパートも合同ライブらしく総勢11人と大所帯ながらも、二つのユニットがただ合体しているわけではなく、各所でそれぞれのユニットの見せ場を作りながらも、クライマックスでは渾然一体となっており、ロングショットで見ると圧巻の光景だ。実に良い展開であるのだが、今回取り上げたいのはアニメ本編というよりアニメ全体を含む『ラブライブ!サンシャイン!!』というプロジェクトについてだ。
今回の話が放送された直後、CM枠を利用してある告知が行われた。その告知とは来年4月末にSaint SnowとAqoursの合同ライブを函館アリーナで開催するというもので、今回のエピソードを踏まえた開催決定告知に放送直後から驚きの声が上がっていたのだが、こうした「アニメとリアルイベントの連動」そのものはラブライブ!シリーズ的にはおかしなことではない。『ラブライブ!』のときにも九話放送直後に同様のことは行われている。したがって別にこのイベント告知そのものは珍しいことではない。むしろ作中に登場するファンと現実に存在するユーザーを重ね合わせる事が多い『ラブライブ!』らしい展開ではあるのだが、個人的に「興味深い」と思っているのはプロジェクトそのものがリアルタイム性を重視しつつ、唯一無二の体験を生み出す方向へと変性しつつあるように見えた点だ。いくつもの会社が協力して行っているプロジェクトとしてはちょっと連携が取れすぎているのである。
そもそもラブライブ!シリーズはアスキー・メディアワークスとランティスとサンライズの合同プロジェクトである。
アスキー・メディアワークスは「電撃G'sマガジン」という毎月刊行される紙面連載を提供し、ランティスは楽曲を制作・販売したりライブ周りを取り仕切り、サンライズはある一人の監督を中心としてアニメーション制作を担当する。「一社が全てを管理する」のではなく、「それぞれの持ち味を活かして一つのコンテンツを作り上げていく」というのがラブライブ!プロジェクトのコンセプトであり、これまでも連携を取り合いながらやってきたわけだが、今回はわざわざ作品の舞台となった「函館」、そして出演者もAqoursだけではなく「Saint Snow」も!というのはこれまでにはなかった。あれだけ話題になった『ラブライブ!』の頃だってここまでのことはやって来なかったのである。
なぜこうした事をやるようになったのだろうか。自分が思うに、「リアル」もまたラブライブ!プロジェクトを構成する要素の一つとして新たに定義付けたからだと思うのだ。これまではアニメと楽曲と紙面連載を三つの柱としてやってきたわけだが、既にこのプロジェクトはリアルにまで手を広げている。静岡県沼津市は市を上げてAqoursを応援しているし、コラボの一環としてご当地商品まで販売されている。ここまで来たのなら、もうリアルも巻き込んでしまった方が面白いのは明白だ。なにせリアルと連動する事は「今このコンテンツに付き合っている」という体験を極上のものに変えてくれる。アニメ・楽曲・紙面連載・リアルをAqoursを含むスクールアイドルで繋いでしまって、同時代性を強めていくのは作品への思い入れが増すやり方としてはありである。面白いやり方だといえよう。是非ともこのリアルを巻き込んだプロジェクトとして成功してほしいところだ。
いやまあ、沼津に関しては大成功と言っていい結果を出しているのだが。やるな、『ラブライブ!サンシャイン!!』!



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