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『ラブライブ!サンシャイン!!』11話に見る終わりの迎え方の自由さ

物事には必ず終わりがやってくる。形あるものは皆いずれ壊れてガラクタになり、生き物には死という終わりが必ず訪れる。
「永遠」なんてものはこの世の中に存在しない。終わりは必ず誰にでも、そして何にでも訪れる。楽しい時間もいつかは絶対に終わってしまうのである。
しかしその「終わり」をどう終えるかは自由だ。ただ漫然と終わる瞬間を待つのも、最後の最後の瞬間まで足掻くのも、楽しい思い出を最後に作るのも自由なのである。
『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』11話がよかったのは、そんな「終わり」に浦の星女学院の全校生徒で向き合い、「楽しい思い出」を持って綺麗に締めくくったことだ。それは「終わりゆく時間」を慈しむ事であり、同時に「浦の星女学院」と言う場所そのものを尊ぶ行いでもある。

そもそも『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』はAqoursの物語であるとともに、浦の星女学院に通う全校生徒達の物語だった。
「0から1に」を合言葉に努力を重ねてラブライブ!地区予選まで進出したAqoursが、浦の星女学院に通う全校生徒達の心に「足掻く」という炎を灯すまでを描いた『1st season』からダイレクトに繋がる形で10月から紡がれてきた『2nd season』は、Aqoursを中心核とした物語ではあるものの、Aqoursの活躍の傍には必ずと言っていいほど浦の星女学院の生徒達が描かれているなど「Aqoursの物語であるとともに、浦の星女学院の物語でもある」という二重属性を持った物語として制作されてきた。入学説明会とラブライブ!が同日になってしまい、どうにか切り抜けた時も「浦の星女学院の生徒の協力を得て何とかした」という展開になったのはAqoursだけではなく、浦の星女学院の物語でもあったからこそであろう。
また努力も虚しく廃校が決定してしまって、ラブライブ!どころかスクールアイドル活動そのものについてもどうでもよくなってしまったときのことを思い出して欲しい。
あの時、「スクールアイドルの歴史の中に浦の星女学院の名前を刻みつける」という目的を得て彼女達は再び立ち上がった。しかしその新たな目的をAqoursに与えてくれたのは浦の星女学院の生徒達だった。Aqoursの輝きは浦の星女学院の輝きであり、少なくとも『2nd season』は最初からAqoursと共に「浦の星女学院」の物語は紡がれ続けてきたのである。
だからAqoursが終わりと向き合ってそれぞれの答えを見つけたのなら、浦の星女学院そのものも「終わり」と向き合って「残りの時間をどうするのか」「最後の瞬間をどんな気持ちで迎えるのか」を見つける物語が必要となってくる。少なくとも「浦の星女学院の物語」を捨てる気がないのであれば、浦の星女学院も終わりを見据えた物語を描かなければ片手落ちになってしまうのである。
そういう意味では今回のエピソードはとても良く出来ている。
まず提案者がAqoursではなく浦の星女学院の生徒達で、Aqoursが大きく取り上げられることもなく、またAqoursのライブもない。
Aqoursの九人もあくまで浦の星女学院の生徒として参加していて、起こした問題も浦の星女学院の生徒として対応するし、やっていることも「自分達がこの学校でやっておきたかった事」を自分達の力だけで一つ一つ全うする。ダイヤはクイズ大会をやるし、善子は占い屋。そこにAqoursの面々が絶妙に絡んでくる辺りは「この学校だから出来たこと」なのだろう。善子の夢を叶えようとする花丸や梨子は今までとはちょっと違っていて新鮮味がある。ここまで描写を積み上げたからこその新鮮さだ。
最後に合唱で締めたのも素晴らしい。浦の星女学院と浦の星女学院を愛する者達と歌った思い出はきっとこの時歌ったものたちの中で思い出として燦然と輝き続けると思うが、燃え尽きたキャンプファイヤーが暗示させる終わりと合わせてみると実に美しい。
終わりも含めて思い出になることを予感させるこの特別なエンディングは最高だ。

今回のエピソードを見るまで「奇跡が起きるかもしれない」と期待してしまっているところがどこかにあったが、今回こういう展開になった以上、自分が期待するような奇跡は本当に起きないのだろう。Aqoursがラブライブ!で優勝したとしても浦の星女学院は無くなってしまう事実は決して変わることはない。
しかしそれでいいとも思う。少なくとも今回のエピソードで作中に登場した全てのメインキャラクター達が「浦の星女学院の終わり」という事実と向き合って最後の瞬間まで楽しい時間を過ごす事を決め、自分たちの手で一つのイベントを興した。ここで奇跡が起きてしまうのはあまりにもあんまりだ。台無しだ。このエピソードそのものを欠番にした方がいいぐらいである。
だからこそ視聴者も「本当に終わってしまう」という事実に向き合わざるをえない状態になっているのだが……とはいえ、物語はまだ残されている。
Aqoursが本当に「スクールアイドルの歴史」という記録の中に名を残せるかどうか。
応援していきたい。
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