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『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』12話に見る九人の理由とシリーズとしての眠れる物語の可能性について

『ラブライブ!サンシャイン!!』が発表された当初、自分が期待していたのは枠組みを広げてくれる事だった。
「枠組み」というのは端的に言えば作品のキャパシティのことで、『ラブライブ!サンシャイン!!』が誕生した事で、自分は『ラブライブ!』は単発の作品として終わるのではなく「スクールアイドル」という共通の価値観を持つ少女達の青春を描くシリーズブランドへの第一歩を歩き始めたと信じていた。アニメ一期シリーズが「μ'sからの脱却」を一つのテーマにしていた事でそんなシリーズブランド化への思いは確信へと変わった。二期が発表された時は「μ'sのフォロワー」ではなく「Aqours」の物語が本格的に紡がれる事で内包する物語が増えて、この二組以外の物語も内包できる余地が生まれる!というさらなる期待を抱いた。ちょっと時期尚早かも知れないという思いはないわけではなかった。しかしスタッフもキャストも一丸となって「Aqours」という存在を盛り上げ、そして「ラブライブ!」という作品が末永く愛されるように振る舞う様は不安感をも忘れさせるような力強さがあった。
そして今週放送された『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』12話を見て自分はこう感じた。
「ラブライブ!は少女達の青春を受け止められるシリーズブランドになった」と。

『ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season』12話は、アキバドームで開催されるラブライブ!本戦に挑まんとするAqoursの緊張・不安・期待・情念を丁寧に描いた一話だった。
「廃校を止めたい」という想いから再び始めたアキバドームを目指すためのスクールアイドル活動。途中で思いも虚しく廃校が決定したものの、「浦の星女学院と言う場所が確かにあったことを歴史に刻みつけて!」という仲間達の思いをも背負い、全力でやってきたスクールアイドル活動。閉校祭や三年生達の進路を知って本当に「終わり」、「違う道を征く」ということを知ったからこそ「悔いを残さないように全力でやり通す」と決めたスクールアイドル活動。
しかしこれらは「Aqoursの」スクールアイドル活動であった。「歴史に浦の星女学院の名を刻みつける」もAqours共通の目的でこそあるものの、個々人の理由ではない。Aqoursの思いは一つだが、九人が「ラブライブ!」に挑む理由は一つとは限らない。というか一つではなかった。
ある者は「臆病で一歩を踏み出せなかったもののスクールアイドルに誘ってくれたから変わることが出来た。だから優勝したい」と語り、ある者は「本来は痛々しいから捨てるはずだったものを肯定してくれた皆のために優勝したい」と語る。「ここまで来れたから満足」と仲間の前では口にするものの、「この九人だからここまで来れたんだから優勝したい」という強い思いを持っている者もいるし、「逃げ出して選んだこの道は決して間違ってなかった」という事を証明するためにラブライブ!優勝したいという思いを抱いている者もいる。
Aqoursというユニットは一つなれど、そこに詰まったラブライブ!優勝へと賭ける思いは九つ。ここに自分は「スクールアイドル」が内包できるドラマの多様性を見た。そしてその多様性こそが「ラブライブ!」という一つの作品が「ラブライブ!シリーズ」というブランド化するのに最も大切なことだったのではないかと気付かされたのだ。
つまりスクールアイドル達は皆Aqoursと同じなのである。
どのスクールアイドル達も皆Aqoursと同じように努力しているし、皆Aqoursと同じように思いを一つにして、Aqoursと同じように今アキバドームのステージに立っている。『ラブライブ!サンシャイン!!』はAqoursを主人公にした物語であったため、作品の中ではただ描かれていないだけで、スクールアイドルの数だけ作品の中には思いがあり、ドラマがある。それは描かれるのを待っている物語であり、敗者のドラマであったとしてもそれはそれでAqoursと同じぐらい描く価値のある物語ではないかと思う。今後も続けていくのであれば、Aqoursと同時代を生きたスクールアイドル達にもスポットを当てて欲しいと願う次第である(もっとも、それは残酷さを孕んでいる部分があるので細心の注意を払う必要があるのだが)。

ところで今回のエピソードで印象的だったのは渡辺曜である。
高海千歌が始めたスクールアイドル活動に最初に加わった仲間の一人だが、思えば彼女からスクールアイドルに関しての言葉はなかった。スクールアイドル活動も千歌と一緒にやりたい何かのためだったわけで、そんな彼女が「スクールアイドル」というものに自分なりの思いを述べるシーンは本当に素晴らしいの一言に尽きる。
加えて一年生組の友情の流れも良い。この三人に関してはまだ出会ったばかりなのだが、そこに関するフォローも忘れない辺りに酒井監督の気配りが感じられる。

残すところあと一話となったが、終わりを迎えた時に彼女達がどういう道を歩んでいくのだろうか。
奇跡は起きないものだが、ここまで頑張った彼女達の活躍に少しの奇跡があることを期待したい。






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