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『アイドルタイム・プリパラ』不器用な少女と未熟な少女の仲直り

『プリパラ』は明るく楽しい作品ではあるが、物語が終盤に差し掛かるにつれて姿を現す物語の全容はとても重くシリアスなものであることが多い。第一期は「人々の願いによって生み出された存在(=ボーカルドール)は、真の意味で友達になる事は出来ない」という残酷すぎる運命の話であったし、第二期は「友達に裏切られた経験から、これ以上傷つかないために緩慢な自殺を選ぶ」と悲しすぎる物語を、『プリパラ』としては最後となった神アイドル編も「滅びの運命を受け入れてしまったもの」を中心に据えた物語を紡いできた。明るく楽しい作品に仕上げられているが、『プリパラ』が三年間の歴史の中で紡いできた物語は非常にヘビーなものなのである。
そしてプリパラシリーズ最終章となった『アイドルタイム・プリパラ』もその点は変わらず、今年もまたヘビーな物語が紡がれている。
本作の鍵を握るのはガァララだ。
ガァララは姉であるファララと表裏一体のボーカルドールで、ファララの活動時間である昼間はガァララが眠り、ガァララが起きている夜はファララが眠るようにプログラムされている。プリパラは夜になると閉まってしまうため、ガァララは常に一人だった。ファララはプリパラにやってきた少女達と友達になったり、ライブをしてファンから声援を浴びたりできるのに、ガァララはどれだけ友達を求めても誰とも出会うことができない。その運命を変えたいガァララは、少女達の夢を奪ってファララを強制的に眠らせる事で自身の活動時間を伸ばそうとする。当然それに対抗する勢力も出てきて主人公である夢川ゆい達は当初こそガァララに対抗していたわけだが、ガァララの目的が明かされた事によって「自分の夢のために他者の夢を犠牲にしてしまうのはありなのだろうか」という問題を直視することになってしまう。
ガァララが自分の夢(=昼間でも活動したい)を叶えると少女達の夢が失われてしまう。
少女達が自分達の夢を守ろうとすると、ガァララの夢は失われてしまう。
「みんな友達!みんなアイドル!」をテーマとしてきた『プリパラ』が、この問題を解決せずに放置してしまうのはテーマの否定になってしまうわけで、夢川ゆい達はファララとガァララにプログラムされた運命を変えることで問題の解決を図ろうとするのだが、しかし結局のところガァララ本人に「自分がやっていることの自覚」と「その問題に立ち向かう意思」がなければどうしようもないわけで……。おそらくガァララの自覚を促すために考案されたのが今回の「ガァララと華園しゅうかの喧嘩」なのだろう。そしてこのガァララと華園しゅうかの喧嘩と仲直りの流れがあまりにも良い……(ここまでが前ふり)。
華園しゅうかは孤高のアイドルだ。努力に努力を重ね、出来ない事も出来るようにする。夢を持ってもすぐに現実に変える。しかしストイックな努力家で何でもできるが故に彼女は人間関係に関しては物凄く不器用で、心の底から「友達」と言える存在を持たない少女だった。そんなしゅうかの事をガァララは好きだと言い、しゅうかもまたガァララとの間に友情を感じていたわけだが、ガァララがプレゼントしたマイクこそが少女達から夢を奪う元凶であったことを知らされたしゅうかはガァララに激怒。二人の友情は失われてしまう。
この喧嘩はどう考えてもガァララが悪い。ガァララは「自分が起きている時間が長くなればしゅうかとも一緒にいられる。それはしゅうかも嬉しいでしょう?」とは言うが、しゅうかから見れば「ガァララが何も知らない自分を利用して少女達から夢を集めていた」でしかなく、それは裏切り行為に他ならない。だからしゅうかはガァララに激怒するしその怒りは正当なものだろう。
しかし「なぜしゅうかが怒ったのか」がガァララには分からない。これはガァララが人ならざるものであるからではなく、彼女がこれまで過ごしてきた時間に起因する。有体に言えば彼女は人間的に未熟なのである。
ガァララはそもそもプリパラの中に誰もいなくなった夜にしか活動することが出来ず、また少女達の夢を奪って活動するようになっても他者との関わりを持とうとしてこなかった。そんな少女が「自分がこのアクションをすることで、他者がどう考えるか」を学ぶ機会があるだろうか。対人関係において失敗や成功を積むことができるだろうか。出来るわけがない。だからガァララは善かれと思ってやった事でしゅうかを傷つけてしまう。これはとても悲しい出来事だと言えよう。ガァララが少しでも人と触れ合う時間を過ごしていればこんなことは起きなかったはずなのだ。
ガァルルから「自分がやった事」を教えられたガァララは猛省し、仲直りをしたいと思うようになる。
しゅうかもなぜ自分がそこまで深く傷ついたかを分析し、友達だと思っていた事を自覚し、二人の思いは一つ。しかしきっかけは見つからない……。
その事を知ってか知らずか、妹のために仲直りのきっかけとして自身のライブを用いるしゅうかの姉、華園みあは本当に凄い。
ライブそのものも神アイドルそのもの。今を生きる者達に希望を与えるライブだろう。「Dear My Future 〜未来の自分へ〜」は名曲だと信じて疑わないのだが、「未来で後悔させないために今動こう!」というエールはまさに今のしゅうかとガァララに相応しいもので……月並みであるが泣いてしまった。ありがとうみあ……。自分の諦めかけた夢が叶う瞬間に立ち会えた感動もあって涙が止まらなかった。きらめきフューチャースターもよかった……。

かくしてしゅうかとガァララは仲直りを果たす。しゅうかとガァララがトモチケ交換するシーンは『アイドルタイム・プリパラ』の中でも屈指の名シーンだろう。アイドル達が一致団結し、一つの目的に向かって進み始める流れは神アイドル編を彷彿とさせるが、こういう光景は何度見てもいい。彼女達ならきっと何とかしてくれるに違いない。
これからも頑張ってほしい。出来ればしゅうか×ガァララのデュオも見せてほしいのでよろしくお願いします。



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