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『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』引き算の美学

史上最多の12人戦隊など挑戦的なアプローチが数多く行われた『宇宙戦隊キュウレンジャー』が無事に終わり、先週から新たなスーパー戦隊が始まった。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』である。
タイトルからもわかるように怪盗と警察の二つの戦隊が存在することが最大の特徴となっている作品で、ルパンレンジャーとパトレンジャーは時に衝突し、時に協力し合いながら各々の目的を完遂しようとする。Vシネマ等では二つの戦隊が衝突したり、ともに戦う事はあったものの、テレビシリーズにおいて二つの戦隊がどちらも主役級として扱われている作品は本作が初。「戦隊VS戦隊」という随分と攻めたコンセプトであることから、放送前は「どうなるものか」と期待半分不安半分ぐらいで放送開始を待っていたのだが、現在放送された三話まで見たところ、今では期待が十分である。正直「かなり面白い」。細部に至るまで考え抜かれた作品であると感じている。
本作が凄いのは徹底して「足す」のではなく「引いていく」――つまり引き算の美学で作られていることだ。
本作に登場するルパンレンジャーもパトレンジャーも「独立した戦隊」として見ると非常に寂しい。前作が最初は九人で最終的には十二人まで増えた史上最多のスーパー戦隊だったことや、組み換えによってそれぞれの専用アイテムめいたものを作り出せる戦隊だったこともあるが、それにしてもルパンレンジャーもパトレンジャーも三人編成だし、専用アイテムめいたものがない。「共通装備をどう使うか」で一人一人のアクションの違いを差別化している。そのため画面の中に収めた時にちょっと寂しい。またそれぞれの戦隊が背負っている物語も比較的オーソドックスな作りになっていて、コレ単体では少々物足りなさを感じてしまう。
しかし「二つの戦隊が競い合う」という要素をここに加えてみると、この寂しさと物足りなさはむしろ大きな役割を果たす。
メンバーの少なさや専用アイテムめいたものがないことによる画面内での寂しさという問題は、二つの戦隊が同じ画面の中に存在することで「両戦隊の違い」を際立たせて寂しさを帳消しにしつつ、それぞれの戦隊の魅力を引き出す。
「大切な人を取り戻すために怪盗になった」「人々を守るために警察官になった」という、それぞれの「ベタだが王道的な物語の導入」も二つの戦隊が戦う事で新鮮さが生まれる。また「怪盗サイドは警察サイドの素顔を知っているが、警察サイドは怪盗サイドの顔を知らない」という情報の違いによって素顔で顔をあわせた時に緊張感が生まれているのも面白い。
総じて「戦隊VS戦隊」という斬新極まりないコンセプトに合わせているといえる。
一つの戦隊を構成する要素をシンプルにしたことにより、二つの戦隊がぶつかったときに面白くなる。
「色々加えて盛り上げる」のではなく「引いてシンプルにすることがVSしたときに面白さを生み出す」とした本作のこの作りはあまりにも美しい。

そうそう。『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』は両戦隊と敵対する犯罪組織もなかなか面白い。
この世界の人間ではなく「異次元からやってきたストレンジャー達による犯罪組織」として位置づけられているのだが、そのボスを務めるドグラニオ・ヤブーンはやりたいことをやり尽くして現状に飽きてしまったことから、「この組織を相応しい後継者に譲りたいと思っている人間」なのだ。つまり隠居を決め込みたい男なのだ。なので後継者になるために頑張ったものの、ルパンレンジャーやパトレンジャーに負けた組織の構成員を労って巨大化させる指示を出す程度のことはやるけれど、基本的にはやる気がない。組織のアジトでけだるげに座っているだけで指示すら出さない。『ジュウオウジャー』のジニスですらもうちょっと行動していたような気が。
こういう設定なので本作の怪人達は今のところ単独犯ばかりだ。「自分こそが後継者である」ということを証明したいがために勝手に行動しているので、誰かと組むということはやらない。怪人が連携を取らない理由もこれで説明がついているし、幹部級が動かない理由も解決している。よく練られた設定である。宮本充なので本当に大物感とけだるげな感じが合ってるんだ、ドグラニオ……。
ただ巨大ロボについては今のところ、ルパンカイザーとパトカイザーのどちらかしか登場できないようだ。
コアになっているものが一つしかないので当然といえば当然の話なのだが、しかし代わりに双方のアクションはモチーフに忠実になっていてとても良い。ルパンカイザーは軽快なアクションと手数で勝負するタイプのようだし、パトカイザーは重い一撃と地に足の着いたアクションで戦う。どちらが戦うのか出番が来るまでわからないこともあり、毎週の楽しみとして上手く機能しそうで、こうした点でもよく練られているなぁ、と感心させられる。

何にしても、今年のスーパー戦隊も楽しめそうだ。仮面ライダービルドが重い展開ばかりなので、明るいノリだと嬉しい。


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