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『アイカツスターズ!』とシリーズ構成について

『アイカツスターズ!』の放送も残すところあとわずかとなった。2016年4月にスタートした時はメインスタッフの一新やM4など『アイカツ!』にはなかった新要素が数多く投入されていた事もあって、一時はどうなることかと心配したものだが、二年間の締めくくりに差し掛かりつつある今の物語がグランドフィナーレと言ってもいい集大成感に満ち満ちていることを考えると、全て必要なものだったのだろう。『アイカツ!』の後継作ではなく『アイカツスターズ!』という一個の作品として美しく、そして未来の希望溢れる素晴らしいエンディングになることを期待しているが、ここまでの物語を見ているとおそらく『アイカツスターズ!』は当初から「二年間で一つの物語になる」ということを意識して製作されていたのだろう。というのも、二年目となった『星のツバサ』シリーズ、とりわけエルザ・フォルテの物語は明らかに一年目で虹野ゆめが辿り着いたステージと対比し、最終的にぶつけることを意識して設計されているからだ。
『アイカツスターズ!』の一年目の物語を一言で言えば「自身の体に宿った不思議な力をどう扱っていくのか」という物語だった。
この不思議な力は、新人アイドルどころか数多いるアイドル志願者の一人でしかなかった頃の虹野ゆめのパフォーマンスを、アイドル界の頂点に立つS4達の領域に肉薄するまで押し上げるほどのとんでもない力であり、ゆめは当初その「不思議な力」によって勝ち得た知名度に振り回されていた。後に人間性の部分で認めてくれている桜庭ローラや香澄真昼といった仲間を得ることで周囲からの不信感からは解消されたものの、その不思議な力はゆめにとって諸刃の剣のようなものであり続けた。
と、ここまで話すと『アイカツスターズ!』は「ゆめが不思議な力を自分のものにして頂点に立つ話」に思えてくる人もいるだろう。しかし『アイカツスターズ!』の実際の物語はそうした想像とは真逆に位置するところにある。なぜなら虹野ゆめは不思議な力に頼るのではなく、自分の実力を確実に磨き続けることでアイドルの頂点に立ったからである。
この展開を見た時、自分はあまりにも「凄い」と思った。「不思議な力をそもそも不要なものになるほどの実力をつけてしまえば、そういう力に頼らなくてもいい」とするこの展開は王道を外した意外性もありながら、これまでの日々が全てをもって説得力を生み出し、そしてそれらすべてをひっくるめて外連味に変換していく。そうしたところを「凄い」としか言えなかった。一年の重みを感じさせる最高の展開だった。
シリーズ構成的には『アイカツ!』と似通っているところはあるし、「アイドル学校に入学して始めたアイドル活動で、最終的に頂点に立つ」というメインストーリーは間違いなく『アイカツ!』の色を受け継いでいるものではあるが、「最後に伝説のアイドルの娘であることが明かされるものの、そこまでの物語が血筋による実力ではないことを証明する」という展開だった『アイカツ!』と全く違う地平へと辿り着いた『アイカツスターズ!』はやっぱり凄い作品であった(地味に『その展開の保証はこれまでの物語が行っている』という点ではどちらも同じなのが最高だった)。
一年かけて『アイカツ!』の後継作から『アイカツスターズ!』という一個の作品としての地位を確立したからか、『星のツバサ』へと投入した『アイカツスターズ!』は「外部からライバルがやってくる」という展開こそ『アイカツ!』二年目と同じであるものの、物語としてはかなり自由度が広い作品になっていたように思う。クリスマスツリー伐採が少々形式ばったものとなり、元々持っていた「女の子が斧だけでモミの木を伐採する」という面白さを損なっていたのだけは残念ではあるが、それでも自由度が高い作風は非常に面白いものだったし、新たに登場したアイドル達もこれまでにいない方向性をきっちりと展開で来ていて、とても素晴らしいものだった。星のドレスをめぐる戦いもチーム戦めいたものがあって楽しかった。
しかし『星のツバサ』はやはりゆめとエルザの対比構造があるからこそ、成立する物語であったように思う。
なぜならエルザとゆめは「不思議な力」への向き合い方が真逆だからだ。
ゆめは一年目の項でも述べたように、「自身の身に宿る不思議な力を自覚した上で、自分の実力を磨くことで不思議な力に全く頼らない存在」になった。対してエルザ・フォルテは元々実力は誰もが認めるほどのトップアイドルでありながら、「太陽のドレス」という不思議な力に溺れていく存在となった。
ゆめで一年。エルザで一年。不思議な力とそれに対するあり方が真逆の二人を二年かけて描き切ったからこそ、二人の戦いが物語としてのクライマックスとして成立する。二年計画でなければおそらくここまでの熱い戦いはなかったことだろう。
当初から二年目も一年目の地続きのものとして物語を組んだからこその価値がこの二人の戦いにはあったと思うのだ。

本作のシリーズ構成を務めた柿原優子氏は『アイカツフレンズ!』でも筆を執ることが予定されている。
「アイドル学校」など部分的な要素は継承するものの、基本的には一新と言ってもいい『アイカツフレンズ!』で柿原氏はなにを描くのだろうか。ものすごく期待している。
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