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『PERSONA5 the Animation』についての雑感

ゲーム『ペルソナ5』はゲーム以外の媒体――特にアニメで表現にするには些か難易度が高い作品だ。スタイリッシュなアクションはあるし、ペルソナによる異能バトルのような趣きもある。「心の怪盗団」というキャッチーな要素もあるし、登場するキャラクター達はどいつもこいつも魅力的だ。しかし「期限までに解決すれば後は何をしていても良い」という一日一日の選択肢をプレイヤーに全て委ねるゲームデザインと、大どんでん返しのある物語はまさしくゲームならではのものであり、そのまま安易に映像にしてしまっては『ペルソナ5』という作品の面白さを損ねてしまう。だから「アニメ化する」のなら細心の注意が必要だった。ましてや「リプレイ動画」になってしまうのは言語道断だ。そういう意味では石浜真史監督の『PERSONA5 the Animation』は上手くやっているように思う。なぜなら「ジョーカー(=プレイヤー)の物語」という『ペルソナ5』に、アニメならではの「雨宮連の物語」という側面を持たせることに成功しているからだ。

ゲーム『ペルソナ5』の主人公=ジョーカーは喋らない。選択肢等で個性を見せることはあるものの、具体的な台詞として喋ることはない。これは「プレイヤーが主人公」という形式であるためで、大まかな行動や感情は選択肢やキャラクターの身振り手振り、記号などで表現されているものの、「この主人公はこういうキャラクター」という固定的なイメージを持たれないようにあえて曖昧に処理している。それによりプレイヤー達は自分の思い思いの主人公像をジョーカーの中に詰め込むことができるわけだが、これはゲーム開始からエンディングに至るまで主観的に処理できるゲームだから成立する話であり、「アニメ」という第三者視点で進める上では非常に面倒であるし、そもそも物語の中心にいる人物としての魅力が分かりづらい。なのでアニメ化に当たって「アニメならではの個性」を付与して「キャラクター」として立たせていく手法を取るのはある意味当然の結論だといえる。問題は「どこまで原作のキャラクター性を尊重した上で、キャラクターを確立するか」だが、『PERSONA5 the Animation』は「ゲーム進行の中でやっていたことをアニメではやらない」「しかし選択肢が出てくる場面ではきちんと選択肢にあるものを選んでいる」という面白い表現になっている。
「居候先の喫茶店にやってきた主人公は物が散らかった屋根裏部屋を寝床として宛がわれる」はアニメもゲームも共通だが、家主が退場した後でゲームの主人公は掃除をして少しでも住みやすい環境を整える事に力を注ぐが、アニメの主人公は掃除を特にせず二話終了現在に至るまで屋根裏部屋は散らかったまま。自分の暮らす環境をそれほど気にしない性格である事が窺える。姿勢の対比も面白い。ゲームでは常に猫背で歩いていたのに対して、アニメではむしろ姿勢が良いため周囲からあまり浮いていない。真逆の描き方ではあるが、そこが「アニメと原作の違い」を浮き彫りにして「別物である」ということを認識させる。むしろ「別物感」を出すための芝居として、「原作とは逆に姿勢の良い主人公」にしたようにも感じられる。
しかしだからといって「ゲームの主人公とは姿かたちだけ同じの全くの別人である」として見えるかというとそうではない。むしろ「違う存在」として描いているからこそ、ゲームで選択肢を選んだ時と全く同じ反応をする主人公の姿に同じ存在であることを意識させる。「そういえばこのシーンの選択肢ではこういうのがあったなぁ」がプレイヤーそのものであった「ジョーカー」と雨宮連を接続し、原作を知っているからこその面白さがそこに生まれる。非常によく出来ていて、感心させられた。これはまさしく「アニメになった『ペルソナ5』」なのだ。
ただ残念なのは一話でたっぷり時間を使ってジョーカーがペルソナに覚醒する下りを見せたのにも関わらず、二話目のスカルの覚醒シーンが端折られ、溜めが無くなってしまっていることだ。元々第二話は「やっておかなければならないこと」が多く、詰め込み気味な構成になるのは仕方がないのだが、その結果として「スカルが鴨志田にされた数々のことに募り、虐げられる側から脱却する」という重要な部分が若干駆け足になってしまった。顔出し程度の扱いで世紀末覇者先輩など、仲間に入るキャラクター達が出ているのはうれしいのだが……。まあ言っても仕方ないか。ひふみんだけよろしくお願いします。




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