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「なぜスーパー戦隊に女性リーダーはいないのか」についての雑感

四月からのニチアサチェックは喜ばしくも大変なイベントだ。どれもこれも面白すぎて、全てチェックして適度に感想戦をしていたら正午を回っていることがそこそこ高い確率で発生し、おかげで週末にやっておきたかった作業やプレイしておかなければならないゲームのプレイが滞ってしまう。
『HUGっと!プリキュア』は「育児」というコンセプトの一つを据える事で下の年齢層へと確実に訴求する作品にしつつ、だからこそデリケートな問題に真っ向から立ち向かう作品になっているし、『仮面ライダービルド』はライブ感を大切にしつつも外してはいけないところは外さずに「ヒーロー」を描いている。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』は「戦隊VS怪人VS戦隊」という三つ巴の構図を作ったうえで、相互に干渉しあいながら進んでいくので毎回変化に富んでおり、「今回はどちらの戦隊が合体ロボになるのか」という毎週のサプライズも入っている。時間枠が被っているが『ゲゲゲの鬼太郎』の六期シリーズは現代を舞台にしているからこそのホラー話が非常に多く、最新話では劇場版でやりそうなネタをやっていて続きが気になるし、『ミラクルちゅーんず』の後継作となる『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』もコミカルな部分とシリアスな部分の比率が絶妙かつアクションにも比較的挑戦していてとても良い。締めくくりとして『キラッとプリ☆チャン』も見ているが、最新話では「トップクラスの人気を誇るプリチャンアイドルの人気っぷりに打ちのめされて卑屈になった少女が、『誰もが最初から出来るわけではない』『何度でもやってみることが大事』と諭されて、自分なりのペースで彼女の後を追いかける」という物語が展開されていて、「プリティーリズムからプリパラに引き継がれたガチな精神はここにも健在であったか」と唸らされた。あと主役の一人が顔のいいイケメン女子とデートして壁ドンされてた。
と、前置きが長くなった。先日ぼーっとTwitterを眺めていたところ、こういう記事がタイムラインを流れてきていたので読ませていただいた。

5人戦隊モノの特撮で、今までレッドを女性が務めていないのがこの国の限界 - サブカル 語る。

何とも雑なお話である。主語の大きさもさることながら、主張そのものの脇の甘さたるやどうしようもない。「誰だこんな雑な記事を書いたのは」と思ったら3年ぐらい前に『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て』を雑弄りしていた人だった。なるほど。
この記事を書いた人間が投げかけた「今年で40数本目になる戦隊モノで、どうして女性が作品の中心であるレッドを通年で務めているシリーズってないんだろう?」という疑問についてであるが、確かに「女性がレッドを務めた」と言う事例はスーパー戦隊シリーズの長い歴史の中でも少ない。女性レッドがゲスト扱いで登場した『侍戦隊シンケンジャー』とかぐらいだろうか。そもそも色が固定されていないため乗り換えていく『烈車戦隊トッキュウジャー』も女性レッドはやっているが、それを言い始めると『海賊戦隊ゴーカイジャーもそうなるか。いずれにせよ、これらは例外的なもので、「最初から最後までレッドが女性だった」という事例は自分が知る限りではないように思う。今やっている『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』は「二人のレッド」だが、どちらのレッドも男性戦士に割り振られていて、女性戦士はどちらも黄色とピンクになっている(もっとも黄色はここ数年男性戦士の色になっているし、ピンクを配色されたパトレンジャーサイドは色ではなく『トッキュウジャー』のように一号、二号呼びである。この辺は非常に勉強になったのでどこかで使いたい)。
なのでこの疑問については確かに検討する余地がある。「男児をメインターゲットとしたビジネス」である事を考えると実現させるのはとても難しいものではあると思うが、ともあれ検討してみる価値があるのは事実だ。ただこの記事の場合その後につけた「女の子がリーダーを務めているロボットアニメは1976年にタツノコプロが制作をしています。」の一文が邪魔だ。この一文を含んで読んでしまうと「女性がレッド(=リーダー)を務めた戦隊はなぜないの?」のように感じられてしまうからだ。
そうなってくると話はまた違ってくる。なぜなら「女性がリーダーを務めたスーパー戦隊シリーズ」は『忍者戦隊カクレンジャー』『未来戦隊タイムレンジャー』『獣拳戦隊ゲキレンジャー』などが既に存在しているためで、スーパー戦隊を真面目に見ていれば見ている人ほど呆れて真面目に意見を聞く気も失せてくる。これはもう構成のミスだ。
おそらく知識のひけらかしか、スーパー戦隊を踏み台に使って「自分の知ってる先進的な作品」を持ち上げるためのどちらかをやるために「ちなみに」と挿入したのだと思うが、何にしても問題提起をやりたいのならこの一文は削除してしまってよかったのではないか。正直これで燃えるのは当然ではあるかなぁ、という印象である。
とここまでは「なぜ燃えたのか」と言う話だが、そもそも大前提として。ゲストキャラを主役とした一エピソードを引き合いに出して、『一年を通して女性レッドのスーパー戦隊はなぜないのか』は暴論以外の何物でもない。
その理屈でいうのならば、「なぜプリキュアに男性プリキュアはいないのか」も成立してしまうわけで、そこに気づかずに問題提起した気になっているのならお粗末だ。というか「一つの作品が全てを拾っておく必要があるか」というとそういうわけでもないだろう。あの時間帯の他の作品が掬い上げておけばいいように思う。というか、そうした役割の一部を担っている作品こそがプリキュアシリーズではないのか。「特撮じゃないとダメ」という事なのだろうか。だとすれば『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』も同じ日曜朝に放送されているわけで、やっぱりわきが甘いなぁと思う。

余談。
『HUGっと!プリキュア』最新話放送後から『プリパラ』が引き合いに出した感想を見ることが多いのだが、『プリパラ』が凄いのは「男子であるレオナがスカートを履いて女の子の世界でアイドルをやっている」ということではない。そうしたことに触れなければならない時には事実として触れつつも、「レオナがどうしたいのか」「レオナの良いところは?」という話をやっているからだ。
レオナが男子であることが分かるエピソードの主題は「シオンが優柔不断だと思っていたが、それは誰も優しく傷ついて欲しくないレオナの優しさであることに気づく」だったし、幼少期に「男らしくない!と言う理由で幼少期は虐められていた」というエピソードが語られた時は「いつも守ってくれていた姉ドロシーからの姉離れ」が主題になっていたわけで、こうした点を抜きにして「プリパラは凄い」と言われても困る。
それから『アイドルタイム・プリパラ』では「アイドルは男子がやるものであって、女子がアイドルになるのはおかしい」という『プリパラ』とは逆の構図の話になっていたのも押さえておきたい。ちゃんとその後で男子も女子も互いを認め合っていて合同フェスもやっているし、最終回では互いの楽曲を交換してライブをしている。こういうところのバランス感覚の良さもまた『プリパラ』の良さでもあるので、全部で191話ぐらいあって銀英伝よりも長い作品だけど見てほしい。
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