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『Marvel's SPIDER-MAN』はピーター・パーカーの幸せを失う物語だった

『Marvel's SPIDER-MAN』が発売されてからまもなく一ヶ月が経とうとしている。
来週10月23日にはブラックキャットが登場するというDLC「黒猫の獲物」の配信が予定されているが、その前に『Marvel's SPIDER-MAN』のメインストーリーとはどのようなものであったかについて述べておきたい。
本作は「既存ストーリーのどの作品とも異なる経緯を辿った世界」である。したがって本作開始時点でのピーター・パーカーはヴィラン達が引き起こした数々の事件をスパイダーマンとして解決し、ニューヨーク市民から「親愛なる隣人」として絶大な支持を受けているし、私生活においてもオクタヴィアス博士の助手として新型の義手の開発に携わるなど精力的に活動しているし、ヒロインであるメリー・ジェーン・ワトソンとは一度破局して距離を置かれている。
ざっくり言えば既にベテランヒーローの領域に突入しているといったところであるが、本作はそんな「ベテラン」となったピーター・パーカーだからこそ残酷な展開を突きつけてくる。というのも、本作は「ピーター・パーカーがピーター・パーカー個人の幸せを捨てることで、『スパイダーマン』というヒーローになる」という物語だからだ。
本作のあらゆる事件はピーターが「キングピン」ウィリアム・フィスクを逮捕したことに端を発する。裏社会を牛耳る犯罪組織のボスであるキングピンは、自らの利益のためであるとはいえある意味ではニューヨークの秩序を守っていた存在だからだ。彼が逮捕され、刑務所に送られてしまったことでニューヨークは再びギャングやマフィア達が表舞台で混乱を巻き起こす都市へと変貌してしまう。もちろんピーターもスパイダーマンとして秩序を守るべく戦うのであるが、小市民に過ぎない彼の手から様々なものを零れ落ちていく。
自分と協力して事件解決に尽力したジェファーソン・デイビスはミスターネガティブの市長を葬り去る計画のために犠牲となり、恩師であるオクタヴィアス博士はピーター自身が考案した神経インターフェイスによって憎悪を増幅されてヴィラン「ドクター・オクトパス」となって彼の前に立ちはだかる。
あまりにも残酷な物語である。
ピーターは偶然蜘蛛に噛まれてしまって力を得ただけで、根の部分はどこにでもいるような青年に過ぎない。そんな彼がヒーローとして振る舞えば振る舞うほど彼は個人として得ていた幸せを削ぎ落とされていくのである。一緒に街を守るために戦った戦友は自分の力が及ばないところで殺され、自分の恩師は自分が生み出したものでヴィランとなり、そして自分をここまで育ててくれた最大の理解者であるメイ叔母さんは、彼にヒーローであることを望んで死んでいく。
彼がそうした事に痛みを伴わない人間であればそこには苦痛はないだろう。しかし彼はどこにでもいる青年であり、ピーター・パーカーとして幸せになる権利を有していたはずなのである。しかし彼はスパイダーマンであったがために、その幸せを諦めなければならない。そしてその諦めたものをマスクの中に封じ込めてヒーローにならなければならないのだ。こんなにも残酷な話があるだろうか。あまりにも痛々しいヒーローの姿がそこにはある。
ただ救いなのは「ピーター・パーカーがスパイダーマンであり続けるために流した涙」を覚えてくれている存在が、わずかではあるがいることだろう。「メイ叔母さん」という最大の理解者を失った彼の悲しみを覚えていてくれる存在は、彼がピーター・パーカーであることを許してくれる。そうした存在が残っているからこそ、まだ彼はピーター・パーカーとしての顔を見せることが出来るのだ。

本作でひとまずピーター・パーカーの物語は幕を下ろした。
しかしエピローグで語られたように、開発者はまだまだスパイダーマンの物語を語っていきたいようだ。ヴェノム、グリーンゴブリンなどなど、まだまだ登場できるヴィラン達は数多く存在する。マイルズ・モラレスも蜘蛛の力を獲得しているようだが、続編は二人のスパイダーマンが活躍する物語になるのだろうか。だがまずはDLCだ。
DLCで描かれる新たな物語をプレイしながら続きが描かれる日を楽しみにしていきたい。



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