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『レッドデッドリデンプション2』時代に翻弄されて失う男と、守り通した男

先日『レッドデッドオンライン』が開始されたが、自分の心は『オンライン』開始と時をほぼ同じくして終わらせた『レッドデッドリデンプション2』のメインストーリーに打ちのめされていた。「無情」の二文字が脳裏に浮かんでは消えるのを繰り返すし、最後について思い返すほど『レッドデッドリデンプション』の結末が再生されて言葉にならない。開発者の思惑どおりの反応をしているようで悔しいのだが、それはすなわち『レッドデッドリデンプション2』を開発者の設計意図どおりに堪能していたということであろう。そういう意味では自分は最高に楽しんでいたと言える。

一言で述べるのなら『レッドデッドリデンプション2』は「時代に飲み込まれていく無法者達の最後の悪あがきの物語」だろう。
ブラックウォーターでの銀行強盗に失敗したダッチとダッチの仲間達は追手の手が届かない雪山へと逃げ込む。雪山はまだまだ文明の手が届いていないと踏んでの行動であり、ダッチ達はほとぼりを冷ましてから逃亡することを計画していたのだが、この時点で既に分かっていることが一つある。それは「ダッチのやり方は既に通用しないのではないか」という事だ。
前作『レッドデッドリデンプション』でのダッチは狂気的な扇動者として描かれていたが、本作でのダッチはギャングではあるもののカリスマ性と義をわきまえた存在として描かれている。敵対するギャングに痛い目に合わされた女性を救い、仲間に引き入れているし、仲間のためなら命を賭ける男になっている。しかしそんな優秀なリーダーであるダッチの元でも、ダッチギャングはいつもの銀行強盗に失敗し、文明の手から逃れるべく自然の力が吹き荒れる山奥に逃げるしかなくなっている。「ダッチのやり方はもう通用しないのではないか?」という疑惑がうっすらとであるが感じられるのだが、チャプターを進めるにつれてその事は確信へと変わっていく。逃走用の資金を集めることをギャング達に命令するもののバレンタインでは派手に動きすぎたせいで追手に勘付かれるし、2つの金持ちが長年の恨みから覇権を競いあっているローズでは双方の対立を煽って出し抜こうとするが、そのせいで痛い目を見ることになる。このゲームで唯一の都会であるサンドニでは街の重鎮に取り入ろうとするも、その重鎮に騙されてひどい目に合い、仲間を傷つけられた報復を感情的に行った結果、ダッチ(とアーサー)は一時的に辺境へと流されてしまう。
ダッチの行動の一つ一つは別段間違っているわけではない。おそらく彼としてはいつものように立ち回っているし、これまではそのやり方でも通用していたのだろう。しかし時代は、文明は、人は無法者の存在を許さなくなってきた。無法者に好き勝手されることを許さなくなってきただけなのだ。
窮地に追いやられたダッチは起死回生の一手を考え、そのために行動するもそれが裏目に出て、どんどん追い詰められていく。その結果、ダッチは自分と長年付き合ってくれた主人公・アーサーの言葉を聞き入れず、ある男の甘い言葉に乗ってしまうのだ。「俺だけがあんたの味方だぜ」という言葉に。そして訪れるのがダッチギャングの壊滅という終焉……。
前作をプレイしていればこの末路は必然であるが、時代に翻弄されてダッチが狂気に落ちるまでの物語が丁寧に展開されていて腹の底に綺麗に落ちていく。まるでバラバラだったパズルが一枚の絵を作り上げていくように、最後のピースがハマって決定的になった瞬間の美しさたるや筆舌に尽くしがたい。前作をプレイ済みであればこれだけでも満足であるが、チャプター6に入ってから展開され始めるアーサーの物語が美しいのが『レッドデッドリデンプション2』の魅力である。
ダッチが時代に翻弄されて大事にしていた仲間すらも失ってしまう人間であるのならば、本作の主人公であるアーサーは時代に翻弄されながらも大事にしていたものを最後まで守り通した人間だと言える。物語終盤においてアーサーはある病気にかかっていたことが判明する。その病気とは結核で、『レッドデッドリデンプション2』の舞台となっている1899年においてその病は明確な治療方法は無く死に至る病気である。
結核にかかってしまったことでアーサーもまた時代の流れに翻弄される当事者としての地位を与えられる。その地位は個人レベルではあるが、アーサーは結核にかかったことで否が応でも「終わり」に向き合わされ、自分のこれまでを見つめ直すことになってしまう。物語が進行するにつれて、目に見えて体調は悪くなり、本作では重要極まりない食事すらも満足に取れない体になっていく事で、アーサーを操作している我々プレイヤーにも「アーサーの死期が近い」ということを噛み締めさせるが、そんな中でアーサーは最後の最後まで大事にしていた仲間、そしてダッチへの忠誠を守り通す。
残された時間の中で大切なものを守り通したアーサーの姿は「時代に翻弄されながらも、大切なものだけは守り通すと決めた男」そのものだ。裏切り者に一矢を報いる形で勝ち逃げを決め切ったアーサーは良い男であった。
エピローグではジョンが主人公となり前作へと繋がる筋道を立てながら、アーサーの思いを受け継いだもの達とともに物語にピリオドを打つべく裏切り者の元へと向かう。ジョンの妻であるアビゲイルが言うように「する必要はないこと」ではあるのだが、アーサーに守られ、そしてアーサーから思いを受け取ったダッチギャングのジョンだからこそ過去に決着を付けねばならなかったのだろう。前作を考えるとその結末は決していいものではないのだが、本作で決着をつけておくべき事案ではあるのでこの判断そのものは間違っていない。
無法者から牧場主になるべく悪戦苦闘するジョンと、そんなジョンの無法者としての最後をつけたこの物語をエピローグにするのはそう悪いものではなかったと思う次第である。

やはりあの結末を見ると言葉にならなくてため息が出る。しかしこのため息は『レッドデッドリデンプション2』の物語に対する賞賛の声である。物語にあそこまで没入させたからこそ、「言葉にならない」のであるし、「ため息」になるのだ。
本作をプレイできて本当に良かった。操作性を含め細かいところでは問題があるが、少なくとも自分にとって、プレイしていた時間に後悔を残さない素晴らしいゲームであった。

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