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『ウルトラマンR/B』を最新話まで見終えて

ここ数年のウルトラマンは映像的にも物語的にも面白い作品が多く、毎年夏になると「今年はどうだろうか」と楽しみにしているのだが、今年2018年の『ウルトラマンR/B(ルーブ)』もやっぱり面白くてまたしても毎週の楽しみになってしまっている。
平成最後のウルトラマンとなった『ウルトラマンR/B』は「ウルトラマンに変身する能力を得た人間が実の兄弟」という設定で、一話からウルトラマンロッソとウルトラマンブルという二人のウルトラマンが登場する。「纏うは火!紅蓮の炎!」「纏うは水!紺碧の海!」という簡潔ながらも詩的で美しいセリフと共に登場する二人のウルトラマンは本当に格好いいのだが、自分が今回の『R/B』で好きなのが「ウルトラマンの戦い方も発想も一般人をベースとしたところからスタートしている」という点である。
前年の『ウルトラマンジード』は新人ウルトラマンであるジードのバックアップ体制として、レムやウルトラマンゼロが存在していたこともあって作戦立案や必殺技など適切なアドバイスが行われていたし、二年前の『ウルトラマンオーブ』はそもそもオーブ/クレナイ・ガイ自体が物語開始以前から闘い続けている戦士という事もあって、割と最初から戦士として闘っていた。
しかし『R/B』は本当に一般人がウルトラマンに変身した力を得ただけで、『ジード』におけるゼロのようなアドバイスをしてくれる先輩や、分析を担当してくれるレムのような存在も特にいない。結果としてウルトラマンロッソもウルトラマンブルも自分達の手札と、出現した怪獣の動向を見ながら戦っていくのだが、この「地に足のついた泥臭く、人間臭い戦い方」がたまらなく好きだ。
水の力で動きを止めてから炎の力で攻撃して水蒸気爆発によって怪獣にダメージを与えたり、自身の発したエネルギーによってダメージを受けているロッソを助けるために水の力で暴走を押さえたり……。発想のベースとなっているのが人間レベルのものなので、「本当に普通の人間が変身して戦っている」というのが伝わってくる。何より兄弟が協力して実現する作戦になっているのが素晴らしい。ウルトラマンに変身している兄弟らしい、連携プレイが本当に格好いい。
またストーリーテリングも本作はよく練られている。『ウルトラマンオーブ』から見られるようになった「ウルトラマン対怪獣を召還する者」という対立構図は本作でも踏襲されているのだが、ウルトラマンにしろ怪獣にしろ物語の中心にいるのは行方不明になった母親であり、「いなくなった母親」と「その母親が研究していたもの」を追いかける事で物語は前へ前へと進んでいく。母親と付き合いがあった人間が実は怪獣の召還者で……といういつもの要素もあるが、「視聴者視点では分かっているが、主人公達は知らない」は物語に適度な緊張感を与えており、日常回であったとしても面白いものを描けている。個別の話として見ても、先週の話では「恩師の引退試合を有終の美で飾ろうと思うも怪獣の出現により叶えられない」という幕引きとなっており、「ウルトラマンとして戦う事でこういうこともあるんだ」という事を思い知らされるビターな結末となっている。
決してスーパーヒーローなんかではない、ごくごく普通の一般人がウルトラマンになった物語だからこそのビターさだが、この辺りのビターさが最終的にどのような効果を及ぼすのか楽しみだ。

大石昌良の歌声も気持ちよい『ウルトラマンR/B』。配信が充実している作品でもあるので、機会があれば見てほしいところである。

『アイカツフレンズ!』とフレンズとしての在り方の話

『アイカツフレンズ!』はアイドルの少女達二人が「フレンズ」を結成して「ダイヤモンドフレンズ」というトップアイドルを目指す物語だ。
長編の中でユニットを結成することがあっても基本的には「一人で頂点を目指す」であり、その戦いも「自分自身との闘い」という要素が強く出ていたアイカツ!シリーズとして初めて「一人ではないアイドル活動」を中心にした作品である『アイカツフレンズ!』だが、主役級ユニットであるピュアパレットの結成までで1クール近く物語を割くなどの大胆さを見せながらも、地味であっても描写を一つ一つ積み上げて昇華していくストーリーテリングによって「これまでのアイカツ!の良さも残しつつ、これまでのアイカツ!にはなかった魅力」を作り上げられているように思う。
とりわけ魅力的なのが「フレンズ」で、まだ放送されたのは16話と少ない話数ながらも、現在のところ三組のフレンズ――前述したピュアパレット、前年度のダイヤモンドフレンズカップで優勝したラブミーティア、ピュアパレットと友好関係にあるハニーキャットの三組――が登場。どのフレンズも違った魅力を放っていて面白いのだが、どういう魅力があるのかようやく言語化できるようになったので書いていきたいと思う。

まず主役級ユニットであるピュアパレットであるが、一言で言えば「三次元的な面白さがあるフレンズ」だと思っている。
ピュアパレットはトップアイドルである湊みおと、そんなみおに素質を見出されてアイドルデビューすることになった新人アイドルの友希あいねのフレンズであるが、二人の実力も大切にしているものも違うせいか、メインキャラクターになっているかどうかで全く違う性質の物語を出来ているのだ。例えば友希あいねがメインキャラクターになると湊みおとの実力差やアイドルとしての経験値の低さも相成って「湊みおが友希あいねを引っ張り上げる」という縦軸の物語(アイドルとしてステップアップしていく成長物語)が生じるのに対し、湊みおがメインキャラクターになると今度は彼女の「人付き合いの下手さ(=『一人で何でもできるが故に他者に協力を求めるのが不得手』)な部分がクローズアップされて友希あいねとの交流を通じて横の繋がりを広げていく物語(横軸の物語)が展開されていく。この縦軸と横軸が両立しているところがピュアパレットの面白さなのだが、物語が進むにつれて二人が積み重ねてきた時間やエピソードも増えていき、関係性に厚み(つまり奥行)が生まれつつあるのも興味深い。
現在のところ友希あいねと湊みおがステージの上に立つと比較対象がある分友希あいねの拙さを感じるところがあるが、一つのエピソードを経て増えた思い出が目新しい魅力として機能するのはピュアパレットならではのものだろう。そうした「アイドルとしての成長物語」「人間と人間の繋がりの物語」「積み重ねていく時間の物語」という全く異なる物語が両立している事こそがピュアパレットの魅力ではないだろうか。

次にハニーキャットだが、こちらはピュアパレットの三次元的な部分はあまりなく、どちらかと言えば「個と個の衝突が双方をより高みへと導く」という衝突と化学反応の面白さであると思う。蝶乃舞花と日向エマが結成したフレンズだが、この二人は持ち味としているものも趣味嗜好もバラバラ。したがって普通に組み合わせただけではチグハグになってしまうのだが、「昔から仲良くしている」という時間を触媒とすることで高いレベルで調和のとれた素晴らしいフレンズになっている。もちろん好きなものが違うこともあって衝突することはあるし、現にベストフレンズレアドレスを製作した回では舞花はエマのことを、エマは舞花のことを考えすぎて衝突してしまっている。しかしながら長い時間を共に過ごしてきたからこそ「相手の真意」を知る事で変わっていけるのがハニーキャットの良さだろう。喧嘩の果てに誕生したセクシーさとポップさを併せ持つファッションブランド「ハニーキャット」は、趣味嗜好が違う二人が相手の意見を組み入れながら共に作り上げたものとして非常に印象深い。ライブとして披露された「個×個(きみ×わたし)」はまさしくハニーキャットに相応しい楽曲だ。
こうした「衝突に伴う化学反応」はおそらく今後も繰り返されていくだろうしハニーキャットのテーマともいえるものだが、そうした化学反応が二人を発展させた先に何があるのか見たいものである(どう見てもブランドが二人の子供に位置付けられている現実にエモさを感じつつ)。

最後にダイヤモンドフレンズであるラブミーティアだが、物語上はまだ遥か高みにいる存在であるので、具体的なものはまだ見えてこないのだが、「頂点に立てるほどの実力を持つ個として最強のアイドル」が「互いに背中を預け合っている」と言う点で別格の強さを感じさせる。物語が進んでいけば彼女達の過去のエピソードも明かされていくと思うが、この最強が生まれるまでのエピソードは非常に気になるところだ。「人間力が高いもの同士」なのは間違いないが、はたして……。

以上のように『アイカツフレンズ!』は「フレンズ観」の名のもとに人間の特別な関係性を多様なものとして描いている。
来週からは白百合さくやというアイドルが投入されることが分かっているが、彼女はどんなフレンズを作るのだろう。
毎年の事ではあるが、今後とも目が離せない作品になってしまった『アイカツフレンズ!』には期待しかない。まだ三組しかフレンズが出ていないというのに、こんなにも面白いだなんて!

プリティーシリーズにおける対決についての思考整理メモ

プリティーシリーズはしばしば「他者との対決」に主眼を置いた物語が展開される。
『プリティーリズム・レインボーライブ』では「プリズムの煌めきの減衰を食い止めるためにプリズムの使者であり現王者である天羽ジュネと戦う」という物語が展開されていたし、『プリパラ』では「伝説のコーデを巡ってアイドル達が競い合う」が基本的なフォーマットとなっていた。最新作となる『キラッとプリ☆チャン』でも桃山みらい&萌黄えものミラクルキラッツと赤城あんな&緑川さらのメルティックスターがコーデをかけて対決しているわけだが、やはりこの「他者との対決」はシリーズ全ての作品で印象に残ることが多い。「なぜどの作品も他者との対決が印象として強く残るのか」を考えていたのだが、なかなかまとまらないのでメモ書きと言う形で残しておく。

シリーズ一作目において『プリティーリズム・オーロラドリーム』において「他者との対決」が重要視された物語はそれほど多いものではない。これは『オーロラドリーム』自体が「伝説のプリズムジャンプ・オーロラライジングに対して、どのような回答を出せるのか」を重視した作品だからだ。『オーロラドリーム』は考え方や価値観も含めた「個性」の物語である。「他者との対決」よりは「自分との戦い」の要素が強くなるのはテーマ上仕方がない問題だと言えよう。とはいえ他者との対決が全くと言ってないわけではなく、せれのんとの戦いなどそうした「他者との対決」の物語は比較的行われている方である。ただしそこで問われているものもやはり「自分なりの解答」であり、敗北する際は「自分」を殺した表現に行きついてしまった時の方が多い。
『ディアマイフューチャー』は『オーロラドリーム』よりも「他者との対決」の要素が強く表れた作品であり、主役ユニットであるPrizmmy☆とPURETTYの関係性を「友達でライバル!」と表現していることからもそのことはよく分かる。そんな「他者との対決」を比較的重視した『ディアマイフューチャー』だからか、この作品のクライマックスでは「一人の勝者と無数の敗者」という競争構造の残酷な真理に切り込んだ物語が展開されており、「勝者として敗者に何が出来るのか」という命題に「敗者達の気持ちも全部背負って勝者として未来を照らすスタァになる」と言う回答を出す事で物語は終演を迎える。この点を見ていると「勝者とはどうあるべきものなのか」「敗者は何が出来るのか」こそが最終的に重要になってくる『ディアマイフューチャー』は、「勝った後に何を見せてきたか」が対決そのものの印象深さを作りだしている気がして止まない。そういう意味でも本作は異色作と言える。
そして『レインボーライブ』だが、こちらは「自分の気持ちに素直になった者がより高みへと上ることが出来る」という理屈が働いているように思う。プリズムライブもそうだがプリズムジャンプの内容もそうで、プリズムスタァ達は自分の心に素直になればなるほど出来るプリズムジャンプの回数は増していく。つまり本作における対決は「どれだけ自分の心に素直になり、自分らしい表現をできるか」で勝敗分岐が行われていると言える。
また「プリズムの使者を超える」という部分が重要な物語なので、「行ったプリズムジャンプの回数」がそのままプリズムスタァの実力として勝敗を分ける大切な要素になってくるのは直感的で分かりやすい。「ジャンプの回数で超える=あのスタァを超えた」とする理屈は非常に具体的で、「まさか超えてくるとは」という驚きがリアルタイムで見ていたファンの間で共有されていたのは思い出深いところである。なお本作のスピンオフである『KING OF PRISM』も同様の理屈が働いているようで、速水ヒロはべると同じ「俺はこういう王になる」という覚悟を見せた事で王になっている。同じ世界の作品なので当たり前のことであるが、この点は留意しておきたい。
『プリパラ』にシフトしてからの対決はプリティーリズムとは打って変わって「仲間がいるから超えられる」である。らぁらのプリズムボイスが他者が絡んだ時に真の力を発揮するように、本作ではとにかく「友達」「仲間」と言う要素が重要視され、一人で挑んだものは大体の場合において仲間と友達の前に敗れ去るわけだが、プリティーリズムで大事にされていた「個性」の話は本作でも有効であり、『2nd season』のウィンタードリームグランプリの戦いは「一流のものを見続けて自分達の感性を研ぎ澄ました天才チーム」と「みんなで同じものを作り上げようとした努力チーム」の構図となり、没個性化を招いた努力チームの敗北で終わっている。あれは天才チームの勝利と言うよりも努力チームが勝手に自滅した事例で、「負ければ自分達のプリパラが失われる」という約束から勝負にこだわりすぎ、個性を失ったが故の必然的な敗北である。プリティーリズムの後を引き継ぐ作品だったからこそ「個性を押し殺すやり方は敗北する」というのはシリーズらしさを保つ重要な要素だ。
『アイドルタイム・プリパラ』になってからは他者との対決は少なくなっているものの、「夢に対する強い想い」が勝敗を分けていたりとテーマに基づいた勝敗が設定されている。何にしても『プリパラ』シリーズは「実力では勝っていても、見ている観客に届く想いでは負けていれば敗北する」と言う意味でアイドル物らしい勝敗のつけ方をしていると言える作品である。そらみスマイルがトリコロールに勝てた理由として述べられているのはつまるところ「思い入れ」の話であるし。
で、最新作となる『キラッとプリ☆チャン』についてだが、この作品は「自分達が考えたものに挑戦したかどうか」が勝敗を分けている。人気動画のアイデアを拝借したチームにミラクルキラッツが勝てたのも、世界的人気プリチャンアイドルであるメルティックスターがミラクルキラッツに敗北したのも、ミラクルキラッツは「自分達が考えたものに挑戦し、成功したから」であり、自分達で考えなかったり挑戦しなかった者達はきちんと敗北している。メルティックスターは復活したばかりなので安全な道を取っただけだと思うが、そうした油断から敗北した辺りが非常に印象深い。世界的に人気があっても挑戦しないのはダメなのである。
もっとも後のエピソードでメルティックスターは「挑戦する気持ち」を取り戻しているので、今後の課題としては「互いに挑戦する道を選んだ時、その優劣をつける理屈をどうするのか」といったところが思い浮かぶが、どうするのかなぁ。「挑戦失敗」を敗北する理屈に持ってこなければ何でもいいところはあるが。




Appendix

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■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
44829979_m.jpg
とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

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    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

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