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『UQ HOLDER!』が良かったので褒めたい!という話

10月2日に『UQ HOLDER!』の第一話がついに放送されたが、アニメ化決定が発表されてから視聴するまでの数ヶ月間もの期間に自分が何を感じていたかというと、全く何も感じていなかった。面白くなる事を期待する感情もつまらないものになってしまうかもしれないという不安もなく、波風の全くない海面のような心境だったのである。
こうなってしまったのは全て前作『魔法先生ネギま!』が全くと言っていいほど映像化に恵まれていなかったことに起因する。特にアニメ化プロジェクトの最期を飾った『劇場版 魔法先生ネギま! ANIME FINAL』は、シーンとシーンが繋がっていないレベルでの未完成っぷりでOADで僅かに芽生え始めていた「今度こそはと期待したい」という想いを容赦なく打ち砕き、大いなる絶望と虚無と「期待する方がバカなんだ」という悪い意味での教訓を与えてくれた。その悲しみのおかげで好きな作品がアニメ化されてもスタジオパストラルではない方の制作スタジオが製作だと聞くと、期待するよりも先に失望の方が先に出る始末である。監督もまあうん。製作に関わる全ての責任者が監督だからネ! 「ここ、多分こういうカットがあったんだろうなぁ」というのが誰でも分かるレベルでの未完成作品を観客の前で見せてしまったのはどうかと思うヨ!
そんな本来なら喜ぶべきアニメ化を果たすたびに悲しみを味わい、プロジェクトの最期を飾る映画が未完成という凄まじいまでの爆発炎上具合を見てしまった人間なので、『UQ HOLDER!』のアニメ化を聞いても何も思わなかった。いや違った。厳密には「スタジオパストラルではない制作会社と、あの劇場版を作った監督でさえなければどこでも/誰でもいい」ぐらいには思った。ともあれアニメの放送開始時刻が近づくにつれてそわそわしだす友人知人達を見てようやく「あ、今日放送開始か」という事を知ったぐらいで、どうしようもないぐらいに期待はしてなかった。しかしタイミングが合って、視聴するだけの体力と意欲があるのならば見てしまうのが人間であるので、リアルタイムで視聴した。そして涙を流した。

作画は特別に良いものではない。演出も良くいえば奇を衒わずに基本を忠実に貫いたもので、キャストも「『魔法先生ネギま!』に出演しているキャラクターの声優は続投」というところ以外は特別なものは感じない。刀太の声優も「頑張ってるなぁ」というのが一話を見た限りでの正直な感想だ。
しかし「キャストは頑張っている」という点を除けばよく分からない事をガンガンやってきたのが『魔法先生ネギま!』の映像化プロジェクトだったのだ。「話の流れとしてヒロインを火葬するのは分かるけど本当に火葬する過程を丁寧に見せる奴がいるか!?」とか、「キャラクターの根幹に兆す設定を外してキャラクター同士の関係性をリセットするだけリセットしたものを「完全オリジナルシナリオ」として提示してきたり、前述したように「プロジェクトの最期」となるものを未完成で納品したり……。今だったら大炎上待ったなしの事を平気でやってきたわけだが、今回は本当にまともだったのだ。『魔法先生ネギま!』はとっくに連載終了して、『UQ HOLDER!』という名前になってしまったけれど、ようやく面白くてまともなあの世界を見ることが出来たのだ。
最後の映像化から5年以上の月日が流れた。「あの時に映像化プロジェクトがやらかしてくれたこと」は自分の中では積年の恨みと化しているところはあるが、そんな恨みすらも浄化させるだけの力が『UQ HOLDER!』のアニメ第一話にはあった。「このスタッフならやってくれる」と信じさせるだけの力が今回のアニメにはあったのだ。その事実だけでもう泣かざるを得ない。だって見れなかったものがついに見れたのだもの。
アバンタイトルがエヴァンジェリンの追想という形で『魔法先生ネギま!』をやってしまったことや、オープニングが「ハッピーマテリアル」だった事はとんでもない博打だと思うし、正直今のところは上手いとは思えなくて「同窓会」という印象がぬぐいきれないが、元々完璧な『UQ HOLDER!』原作一話を原作で現在いる地点からのフィードバックを織り交ぜながら展開していくのは調理の仕方としては素晴らしいものだった。アクションについても悪くなかった。何より心配だったグロテスクな描写はほぼそのまま展開されていた。こういうところで逃げないところにこのスタッフの原作への理解っぷりが分かる。不死者をテーマにした作品であるからこそ、こういう描写から逃げてしまえば不死者設定は設定だけのものになり宙に浮いてしまう。だからこそ真っ正面から立ち向かう。本当に良く分かっている。最高だ。二話以降にも期待したい。

ところで長谷川千雨の声優は引退しているわけだけど、今回の『UQ HOLDER!』にもし千雨を出すのであれば彼女を呼び戻すのだろうか……。正直そこまでやってほしいところだが、難しいかなぁ……。



スマホゲームのあれこれについての雑感

主戦場がスマートフォン向けゲームに移行しつつあることもあって、ユーザー視点の記事などを定期的にチェックするようになってから久しいのだが、先日「ソーシャルゲームが日本でだけ流行っているのは今のユーザーは日々の仕事に追われて疲れているからなのでは?」という趣旨の記事を読んだ。
確かに自分も日々の仕事に追われていると、ソーシャルゲーム――最近はソーシャル要素が薄いゲームも数多くリリースされているので「スマートフォン向けゲーム」「スマホゲーム」と呼ぶのが適切だと思うが――ぐらいしかやる時間が無く、そのゲームも「ログインだけだったりスタミナやらAPやらと言ったポイントを自然回復だけプレイする!」といった状況になりがちだ。
そのスマホゲームにしても優先順位の低いものはログインだけになってしまっている。家庭用ゲームに至ってはこの夏にプレイ出来たのは『スプラトゥーン2』ぐらいで、その『スプラトゥーン2』も一試合三分のナワバリバトルが主戦場で、マッチングから結果発表も含めて五分程度で終わる事からプレイ出来ているだけだ。腰を据えてじっくりとゲームをやっていたのは正直なところゴールデンウィーク直前ぐらいに『Fallout4』をやっていた頃まで遡らなければならない。
その『Fallout4』も発売日に購入して「体力があるときにやろう」と塩漬けしていたゲームの一つである辺り本当にどうしようもない気もするが、ともあれ「疲れてるから家庭用ゲームはプレイできない」という気持ちは理解はできるし、そういう部分はある。しかしその話の前提となる「ソーシャルゲームが日本だけで流行っている」だけは現実に即していなくて、「雑すぎるなぁ」以外の言葉が出てこなかった。

itunes storeなりGoogle play storeのトップセールスランキングを見てみれば分かるが、『リネージュ2 レボリューション』や『サマナーズウォー』や『ミラクルニキ』と言った韓国や中国、欧米でリリースされているゲームのローカライズタイトルが幾つも発見することが出来る。
本当に日本以外でソーシャルゲームが流行っていないのあれば、これらのゲームはなぜ誕生し、そしてなぜ日本でローカライズされているのだろうか。日本発のタイトルにしても『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』は「全世界ユーザー数4000万人」という発表を出しているし、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル!』に至っては日本の人口よりも多い二億ダウンロードを記録している。先月ついに世界一の売上を叩き出した『Fate/Grand Order』も中国だけでなく北米でもリリースされ、韓国でのリリースも発表しているわけで、「日本国内だけの盛り上がり」とするのはなかなかに厳しい。
課金額基準だと1時間あたりの平均アプリ支出額、日本が世界1位――App Annieが調査の記事を読めばわかるように日本のユーザーは課金する方だと思うが、それにしてもそこを論拠にするのは自分としては相当微妙な意見だなと思うし、ガバガバな論理になるのではなかろうか。

課金の話をしたので、国内外を比較する際に定期的に持ち出される「ガチャは日本だけで海外ではウケない」についても言及しておくと、「今となっては一昔前の話で、現実からは大きく外れている」というのが正直な感想である。
先ほども持ち出した『ドラゴンボールZ ドッカンバトル!』は2億ダウンロードを記録した際に「2017年7月には、16の国と地域でストアセールスランキング1位を獲得している」という発表を出しているし、最近では海外製のスマホゲームにもガチャが搭載される事例が増えているし、「曖昧にこそしているものの突き詰めていけば要はガチャ」というものも多く存在している。
結局人間は「偶発的に起きる自分に有利な出来事」という面白さと快楽からは逃れられないし、だからこそ「くじ引き」というものが人類の文化として存在しているわけなので、色々考えた末に最終的にガチャに行きつくのはもはや仕方がない問題と言える。もちろんガチャに代わる「短時間」で「最小効率」で「ユーザーに快楽を発生させられる仕組み」があればそれに越した事はないが、そんなものが簡単に開発されるのであれば、人類はとっくにくじ引きが生み出す快楽と絶望を克服しているはずだ。なのでまあ現実的には難しいのではないかと思うし、しばらくガチャと付き合っていく方を考えた方がマシではないかと思う。『艦これ』や『刀剣乱舞』や『アズールレーン』にしても消費するリソースがゲーム内資産なだけで結局やることはガチャなのだから。

ところで日本国内でも「課金したユーザーをVIP待遇する」という仕組みは支持されつつあるので、そろそろどこかの有名タイトルに導入してもらえませんか? 個人的には『Fate/Grand Order』とか最高に相性がいいと思いますよ。素材不足に苦しまなくて済むのなら、自分でもVIP優遇される額まで課金します。

『アズールレーン』不運をも飲み込ませ、美味しいところを摘まみ食いさせるゲームデザインについて

先日から無事に配信開始となった『アズールレーン』が面白い。仕事の合間に思わずプレイしてしまうほどに夢中になっている。
『アズールレーン』は『艦隊これくしょん』や『戦艦少女』に代表される艦船擬人化ゲームである。ビリビリ動画で配信されている『碧蓝航线』の日本語ローカライズタイトルとなる作品で、プレイヤーは指揮官として美少女と化した艦船を指揮し、敵対する勢力と戦っていく。アメリカ艦やドイツ艦、イギリス艦に日本艦等が一堂に会し、同部隊で共に戦う姿はそれだけで面白いものがあるが、本作はゲームとしても非常によく出来ている。
本作のジャンルは簡単に言えば「弾幕シューティング」になる。一つの部隊は大きく分けて駆逐艦・軽巡洋艦・重巡洋艦によって編成される前衛三人と戦艦・空母によって編成される後衛三人によって構成され、敵部隊と接敵すれば戦闘画面に移行。シューティングゲームの要領で敵部隊を攻撃、これを撃破する。主に操作するのは前衛に配置した三人で、後衛になる戦艦や空母はボム相当として扱われ、時間経過でたまっていくゲージを消費して強力な攻撃を行う。

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前衛が三人ともやられてしまうと後衛が三人とも残っていても部隊壊滅扱いになってしまうため「敵を発見した際に戦うかどうか」も考える必要がある。もっとも、轟沈によるキャラクターロストはないので、そこまで深刻に考えなくてもいいところではあるのだが。

本作をプレイしていて、特に素晴らしいと思うのはランダム要素が余り存在せず、失敗してもある程度納得出来る事だろう。
艦船擬人化ゲームとしては先行事例であり草分け的存在として『艦隊これくしょん』が存在するが、あちらはプレイヤーが関わることが出来るのは準備段階までで、実際の戦闘も含めた攻略は天に祈るしかなかった。そこも含めて「提督」という役職であり、その提督を演じることこそが『艦これ』というゲームの面白さであったと思うのだが、その一方で運に左右される部分は試行回数を増やすことでしか解決することが出来ないため若干理不尽さを感じる部分もあった。
しかし『アズールレーン』は弾幕シューティングゲームとして製作されているため、「プレイヤーがキャラクターを操作する」事で自分の望む結果をある程度引き出すことが出来るのだ。移動速度の遅さや当たり判定の大きさなどからレベルや装備の至らなさで落ちる時は簡単に落ちてしまうのだが、それでも納得度が違う。その分、「役割を演じる」という要素は薄らいでいて、強化やレベル上げが「育てる」よりも「自機を強くする」という印象になってしまっているため、(おそらく元ネタだろう)『艦これ』から「かけ離れたゲーム」になっているが、逆に言えばそれは「先行事例と差別化が出来ている」と言える部分でもあり、最終的には好みになるだろう。自分は『アズールレーン』の方が「やられた時の納得度」という観点に置いて納得できるため、こちらの方が好みである。建造においても、ある程度欲しい艦種を狙えることや支援によって特定の艦を狙い撃ちできるため「無駄になった」という印象が薄いところも良いところだ。

本作は作品世界もユニークで、その作品世界であるが故にキャラクター達もユニークな造詣のものが多い。
本作の舞台は人類が一丸となって結成した軍事連合により「セイレーン」という異形の敵の猛攻をどうにか凌いだ後の世界。しかし完全にセイレーンを撃退できずに戦いが長引いた事で勢力ごとの理念の違いが表層化。軍事国家&君主制国家は軍事連合を離脱して新たに「レッドアクシズ」を組織し、王政国家&連邦制国家のみとなった軍事連合「アズールレーン」とスタンスの違いから対立を深めている――という、いささか面倒な社会情勢となっているのだが、単なる勢力同士の対立ではなく、兵器ごとの技術の違いになっている点がとても面白い。
アズールレーンに所属しているキャラクター達は基本的には「機械+少女」という組み合わせとなっており、「王政国家所属のキャラクターは騎士や王をモチーフにしている」と言った違いはあれども、明らかに人間ではない姿をしているものはいないのだが、レッドアクシズに所属する勢力のキャラクター達はどこか異形のものが多い。軍事国家所属のキャラクター達は「セイレーンを研究して得た力を兵器に転用している」という設定から機械生物のようになった装備を身に着けているし、君主制国家のキャラクター達は獣耳が生えているなどするものもいる。
こうした一目で分かる違いは端的に言えばその勢力の特色であるし、ひいてはモデルになっている国ごとの違いを色濃く反映している。君主制国家は日本をモデルにしているので和服を模したものが多かったりする。だからといって赤城と加賀が狐耳の巫女というのは盛りすぎている気もするが……。ともあれ、キャラクターごとの勢力の違いが分かりやすいのはありがたいところだ。

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また「スキル」と言った形で各艦ごとの個性を出そうとしているのもよい。「インディアナポリスを同時に組み込むと強くなるスキルを持つポートランド」などは姉妹艦として覚えさせようとしている。ゲームシステムと紐づけするのは悪くないアイデアだ。

なお本作は装備とスキル、そしてレベルがモノを言うゲーム性であるために、レベル上げの時間が比較的かかる。一回の出撃で五戦は出来るとはいえレベルを上げるためだけに時間を費やすのは何とも味気ない。そういう人のためなのか、本作はオートレベル上げの手段が非常に多い。。戦闘そのものにもオートバトルが組み込まれているし、寮室にキャラクターを配置し、ご飯を食わせるだけでレベルが上がるし、8時間の委託の経験値が結構な量なので一日二回ほど委託に出すだけでもレベルが上がる。スマホゲームの並列プレイは通常大変な労力がかかるし、本作もオートバトルで操作する手間が殆どいらないとはいえ攻略するためにはそれなりの時間がかかる。しかし大切ではあるが面倒なレベル上げの労力が少なく設計されているのであれば最低限のスタートラインには立ちやすい。レベル上げなどという非生産的で人間に向いていない事は早々にオートに任せて一番おいしいところだけを摘まみ食いするのもいいのではないだろうか。

何にしても本作は触ってみることで見えてくるものが多い作品である。
是非一度、プレイしてみてほしい。

Appendix

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■DREAM WING(C87新刊)


■プリズムアライブ(C86新刊)
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とらのあなで委託中

■スイッチオン!(C85新刊)
アイカツ3
とらのあなで委託してました

■RUNWAY
表紙
とらのあなで委託してました

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    面倒くさがりなので、Twitterのほうが捕まります。

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